練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『容疑者Xの献身』 東野圭吾

2007-07-07 | 読書
推理小説であれば、最初に事件があって、容疑者がなぞのまま話がすすみ、
犯人を特定できたところでなぞとき、話は終わる、というパターンが王道。
しかし、最近は本当に凝った構成のいろんな小説が出ているからそれが普通とも言えないだろう。

この『容疑者Xの献身』も単なるナゾ解きではない。
最初に事件ありき、というのはそうだけれど、
犯人が犯罪を犯すところから話は始まる。
犯人も誰だか明白である。
主役は恐らく、殺人を犯してしまった女性を助けたいがために、
天才的な頭脳でその犯罪を隠蔽してゆく数学者石神、
そして石神の学生時代の同窓生である学者の湯川、
この二人。
(湯川が事件を解決してゆく、というシリーズがすでにあるらしい)

「答えを導きだすのと、他人が導きだした答えがはたして正しいのか証明するのと、
どちらが難しいか」
作中のこの言葉にまさに集約される石神の完璧な隠蔽行動。

ラスト近くで明かされる事件の全容。
レビューによっては、これは純愛小説だ、ともある。
好きな女性、しかも恋愛関係にあるわけでもなく、ただ一方的に相手のことを思っているだけなのに、その相手のためにここまでできるのか。
真実を知って絶句してしまうほどの石神の思い。

そしてその女性がとにかく幸せになるためにしくんだ完全犯罪だったのに、
結局は誰も幸せになれなかった。
でも、石神だけが不幸になる、というあまりにも理不尽な結末も回避している。
このラスト、よかったのか、悪かったのか・・・。



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