練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

2008-03-29 | 読書
JFK暗殺・・・その犯人と言われるオズワルド。
もはや彼が真犯人だと未だに信じている人間がどれだけいるだろうか?

この事件はリアルタイムで知ることはなかったけれど、
その後の数々の検証を知り、本を読み、映画を観て、
その裏にある「大きな存在」の恐ろしさを痛感した。
でも、本当の犯人、実際に手をくだした人物が誰か、ということすらもう知るすべはないのか。
「死人に口なし」とは恐ろしい言葉である。

『ゴールデンスランバー』はこの事件をベースに書かれた小説だ。

国家権力の暴挙、暴走。
逃げるしかない主人公。
切迫感、緊迫感が読んでいるだけでも伝わってきて、主人公の逃走を応援しているような気持ちになってくる。
最後はむざむざ死んでしまうことだけは「死んでも」なるものか、
というくらいの執念で彼は生き延びる。
ここは織田信長を彷彿をさせる。信長も実はマンホールならぬ、からくり床を通過して生き延びたのではないか・・・なんて思ったりする。
でも、結局はこの大きな力の理不尽さに屈するしかないのか、なにか手痛い一撃を与えることは不可能だったのか、と思ってしまうラストでもある。

張り巡らされた伏線、ビートルズへのオマージュ、青春時代をいとしく思う気持ち、伊坂作品の面白要素を全部持ってきて、ぎゅっと濃縮させてような作品。


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