練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『ひなた』 吉田修一

2006-08-29 | 読書
相変わらず淡々とした人間関係を描く吉田さんの作品。
でも、一見物静かな暮らしの中で、やっぱり登場人物はみんな心の中に人には言えないような秘密を抱えている。
読み始めて最初はちょっとびっくりしたレイの昔は千葉でバリバリのヤンキーだったという過去が一番健全でほほえましいくらい。それくらいみんないろいろなものを抱えている。
個人的には浩一、尚純のお母さんの生き方には思わずうなってしまった。
ただの気のいいお姑さんのように描かれているが実は・・・。
トンデモナイ過去を持ちながらそんなそぶりも見せずに飄々と生きているお母さん。
でも、お母さんってそういう強いところがあるものだなぁ、強くないとお母さんじゃないよなぁ、と思ってしまった。

本当になんの悩みも秘密もなく楽チンに生きている人なんていったいこの世にいるのだろうか?
つらくて苦しくてうわぁ~~~っと叫び出したくなるけれど、みんなそんな波のように訪れる激しい気持ちを自分の中で自分なりに消化して生きているんだろうな。