練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『なんくるない』 よしもとばなな

2006-03-12 | 読書
十年ぶりくらいによしもとばななさんを読む。

どうしてこんなに人間の心の状態がよく分かるんだろう・・・と感心してしまう。
これらはみんな私小説、とまではいかなくても、自分の体験を基に書いているのだろうか?
あとがきに「沖縄にはまった」と書いているので、その部分は体験ベースで書いていると思われるが、その他の微妙な状態の人間の気持ち、家庭が壊れてしまいそうな予感で心が病んでしまっている子どもの気持ち、付き合い始めたばかりで幸せだけでなく漠然とした不安を抱えて周りからもまだ浮いている感じの恋人同士の気持ち、他人からの決定的な悪意に傷つき自分の居場所が見つからない自分らしさに自信が持てなくなっている中年にさしかかる女の気持ち・・・などなど。

なんともいえないあり得そうなんだけど不思議なシチュエーションを小説の題材にしようという発想自体が面白いとおもうのだけど、それがすべて「沖縄」という土地に繋がっているところがやっぱりポイントなのかもしれない。
沖縄という土地が小説家である彼女にインスピレーションを与えたとするのなら、多くの人がはまってゆく沖縄という土地に私もちょっと魅了されに行ってみたいと思った。

ところで、作中に出てくる沖縄にあるイタ飯屋がなんとも美味しそう。沖縄とイタリアというふたつの土地は風土も気候もにているので、沖縄の食材でイタリアの料理を作ってもすごく美味しい、と書いてあるのだ。
半分オープンカフェみたいな外観とか、素敵な家族が豪快に料理してるとか、あ~、そんなお店が本当にあるのなら、行ってみたい・・・