静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

 失敗に学ばず 賞味&保存期限キレの既存習慣を未だ捨てず 抜本改革を怖れる 日本人の盲目的統治 

2021-12-03 15:10:51 | 時評
* 日経新聞を購読されていない読者の為、短いので全文転載する。
〇日経新聞(インタビュー):コロナ検証で既得権打破を 大田弘子氏 <政策大学院大特別教授>
                                          
【Q-1】新型コロナ禍は日本の統治機構に関わる諸問題を浮き彫りにしました。 
【A】大事なことは『以前からの問題が克服されず今回もまた直面した』ということだ。新型インフルエンザの総括が2010年に出ており、ここで課題に挙げられた医療提供体制の改善などが実現
  できなかった。新型コロナ禍では支援の必要な人を選別しきれず国民全員に10万円を配った。これもリーマン・ショック時の定額給付金から進歩していない。『分配』を強化するためには、
  所得をリアルタイムで把握して給付につなげる仕組みづくりが必要だ。


【Q-2】なぜ問題が分かっていながら改善されないのでしょうか。
【A】日本が過去の教訓から学ぶことができないのは、踏み込むと省庁間や既得権の壁に突き当たるからだ。首相主導でもなお、中核になるはずの厚生労働省が危機対応できなかった。
   このガバナンスの検証が喫緊の課題であることは間違いない。第三者を入れて検証し、工程表を作って数値まで含めて政策が実行されているかモニタリングしていく必要がある。
    日本の政策は現状維持、もしくは元に戻そうとする力が圧倒的に強い。政策当事者は産業構造や労働環境の変化に合わせ、10年先の質の高い雇用機会を生み出していく責務があるが、
   この視点がない。政策は供給側の力が圧倒的に強い。規制官庁は既存産業とは密にコンタクトするが、そこに新規参入者や利用者の声は入ってきにくい。それが現状維持につながる。


【Q-3】霞が関の疲弊も問題となっています。
【A】何より官僚が働く喜びを感じられるようにしなければいけない。人事制度を根本から見直すべきだ。技官と事務官が分かれている省庁もあるが、多くの民間企業では採用時に理系と文系を
  分けていない。政策を立案する人も文理相互のセンスを持っていなければならない。視野を広げるため、省庁間や民間も含む人事異動を若い頃に頻繁にやるべきだ。


【Q-4】岸田政権は「新しい資本主義」を掲げています。どう取り組むべきでしょうか
【A】趣旨には賛成だが、具体的な政策はもの足りない。デジタル化やグリーン化など経済環境が大きな転換期にあるなか、規制構造や労働市場の改革に踏み込んだ骨太の政策パッケージが必要だ。
  『成長と分配の好循環』のためには、支援策の拡大だけではなく、反対が強い政策にもあえて取り組まざるを得ない
のではないか。

  今度の政権の課題は、長期ビジョンによる仕切り直しだ。自らの任期に関係なく5~10年後に向けた中長期の視座を持ち、そこから逆算して足元の壁を打ち破っていくことが必要になる。
  今起きている危機をムダにしてはいけない。コロナの検証は可能な限りすぐに始めるべきだ。

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太字下線を施した部分は、色々な人が述べてきた事を太田教授が短く的確に言い当てている。どうか玩味戴きたい。
【Q-1】=統治機構のハードウエアたるデジタル化の遅れ。【Q-2】=ソフトたる日本的組織の構造的欠陥と相俟つ戦略性の欠如。【Q-3】=内閣人事局設置以来の官僚人事への弊害と選抜制度の欠陥。
【Q-4】=選挙に勝つことが至上目的と化した政治屋をのさばらせる議院&選挙制度が招くリーダー不在。

ここで問うべきは、岸田首相はじめ、野党含む全ての政治家が太田教授の指摘を虚心坦懐に受け止め、目先の利得を離れた抜本的な日本改造が本当に必要だと感じ、嫌われてもヤル気を持っているかだ。

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 < 書店で本を探し・出会う知的喜び >  中小書店を倒産から守り この喜びを国民の為に保とうとするフランスよ!

2021-12-03 08:21:32 | 時評
◆ 毎日【金言】これも国の優先事項=小倉孝保 (論説委員) 全文転載
・ フランスで先日、本をインターネットで販売する業者に、最低送料を課す法律ができた。小さな書店の保護が狙いである。2019年にフランスで販売された本は約4億3500万冊。
 その2割がオンラインで購入され、独立系書店の販売シェアは下がり続けている。そこに新型コロナウイルス流行が追い打ちをかけた。
 苦境に立たされた書店を保護しようと政府が送料の一部を補助したところ、多くの書店が事業を継続できた。これをきっかけに書籍の送料に最低価格を設定すべきだとの声が高まった。

・ 小さな書店を守るためフランスは1981年、書籍の定価販売を義務付けた。これによって大手書店による値引きを防ぎ、小規模店の生き残りにつながった。その後、本をネットで購入する消費者が
  増えたことで、送料が新たな課題となっていた。
   フランスではすでに、本の無料配達は禁じられている。ただ、最低送料が決められていないため、アマゾンなどネット販売大手は送料を1セント(約1円)とし、事実上、無料で配達している。
  一方、経営体力の弱い小さな書店は約6ユーロ(約800円)の送料を請求せざるを得ない。
   新法についてアマゾンは、「消費者の書籍購買意欲を減退させる」との懸念を表明する一方、小規模店側は「平等な競争が生まれる」と歓迎している。最低送料は今後、決定される。

・ 日本の小規模書店も経営は楽ではない。残念なことに、明治初年(1868年)創業の朝陽館荻原書店(長野市)や明治8年創業の神谷書店(東京都千代田区)が19年に閉店した。
  100年以上の歴史を持つ松林堂書店(神奈川県鎌倉市)も昨年、店を閉めている。ネット通販の普及で田舎にいても本を購入しやすくなった。最低送料の設定は消費者にとって懐の痛い政策である。

  それでもフランスがこの法律を作ったのは、書店が地域文化の発展や維持に欠かせないと考えられているからだ。
   日本でも書店のない自治体が増えている。思ってもみなかった本と出合えるのは、ネット通販にはない書店の楽しみである
。私たちもその保護について、もっと議論していい。


・ マクロン仏大統領は若い頃から読書家として知られ、カントの哲学書やボードレールの詩集を愛読したという。マクロン大統領は仏詩人、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生誕400年
  (今年7月8日)を前にこう語っている。・・・・「読書は国家の優先事項である」 ← 嘗て日本の政治家で 私的愉悦ではなく”読書は国家の優先事項だ”と言った人は居たか??
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 周知のようにフランスは、1789年の王制打倒革命この方≪ 自由・平等・博愛 ≫のスローガン下、アメリカ合衆国誕生の素地にもなった近代史200年を歩んでいる民主主義国家だ。
大統領制を執り、日本とは別の意味で、緊急時には強い中央集権執行が観られるものの、個人の自律と自由を尊重する度合いは高く、商業においても基本原則は自由市場経済尊重に変わりはない。

それでも「読書は国家の優先事項である」と大統領が言い<書籍の定価販売+最低送料額設定>を大統領令で決め、中小の書店保護に乗り出す。(古書屋がフランスに在るなら、同じく保護対象か?
寡聞にして知らないが)日本ではネット販売を手掛ける少数の大手古書店を除き、地方都市を中心に小規模な零細新刊&古本屋さん共に相次ぐ廃業は目に余るものがある。が、誰も保護策は執らない。

 自分の足と目を使い能動的に書店を訪れ、智的興味を満たしそうな本と出会い読み・考える。これはPCやスマフォを前に限られた情報範囲から検索し注文する作業の先には得難い知的喜びである。
こういう知的喜びを我が国の家庭・学校・成人社会のいずれも教え・伝えようとしてるか? 残念だがその気風は衰退を辿るばかりではないか。知的退嬰。是また、国力衰微の一端でもあるのだ。。
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