静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 過去を振り返り、学ぶのは『二度と同じことをしないために何をすべきか』『より良い未来を作るにはどうすべきか』を考えるため ≫ 『あの当時は仕方ない』と肯定してはならない

2021-12-21 08:22:30 | 時評
毎日:≪「開戦詔書」そのまま受け止め?80年後の自民「保守」派の歴史観 ≫ 【吉井理記/デジタル報道センター】  要旨転載

* 月刊誌「Hanada」10月号。自民党総裁選に名乗りを上げた高市氏のインタビューで。自衛か侵略か、戦争をどう捉えるかは「当時の『国家意志』の問題です」と持論を述べた
  その高市氏、「先の大戦への認識」を問われてこう答えた。
【1】「当時の日本国民は、天皇陛下の詔書によって国家意志を理解したものだと思われます。先の大戦開戦時の昭和天皇の開戦の詔書は<米英両国は、帝国の平和的通商にあらゆる
  妨害を与え(中略)帝国は今や自存自衛のため、決然起って、一切の障害を破砕するのほかなきなり>というものでした」
   太平洋戦争(対米英開戦)は「当時の国家意志」、つまり開戦詔書でいう自衛戦争だ、ということだ。

  <私は常に『歴史的事象が起きた時点で、政府が何を大義とし、国民がどう理解していたか』で判断することとしており、現代の常識や法律で過去を裁かないようにしている>
   その高市さんの応援団でもある安倍晋三元首相も「当時を生きた国民の目で歴史を見直す」(13年の著書「新しい国へ」)という歴史観を披露している。
 「保守」と呼ばれる人たちにはおなじみの考えである。⇔ ユダヤ人虐殺の責任者:アイヒマンの言い訳『私は総統の言いつけ通りやっただけ。当時はそれが正しかったのだ』

【2】関東学院大教授の林博史さん:「『当時の政府の大義』、つまり公式見解ということですね。でもそれは表向きのことに過ぎません。政府や権力者はしばしばウソをつく。
  対米開戦ひとつとっても、政府の表向きの文書と、戦後明らかになったさまざまな内部の文書とは全く内容が違います。開戦詔書は『自存自衛』といいますが、内々では政府は
  南方の重要資源獲得を目標にし、マレーシアやシンガポール、インドネシアは日本領とすることを決めていたのです」

  では、ポーランド侵攻はナチスの自衛行為か。そう考える人が今の世界にいるのだろうか。なぜなら戦後、ナチスは旧ソ連と領土分割の密約を結んでポーランドに侵攻した
  ことが明らかになっているからだ。「『当時の大義』論では、例えばナチスのやったことはどう捉えることになるのでしょうか。国にはそれぞれ『大義』がある。
 『大義』で歴史を捉えると、国際社会における相互理解は不可能です」


  「確かに対米開戦時、多くの国民は喜びました。でもそれは言論弾圧や規制によって反戦の声を潰し、人々に真実を知らせないことで作られた国民感情です。言論の自由がない
  国の『国民の理解』を額面通り受け取るのはおかしいでしょう。北朝鮮国民だってみんな金正恩さんを『支持』しています。でもそれが国民の本心だと思いますか?


【3】高市氏はこうも言っている。<個人の価値観で歴史を見直し、過去の政権や国民を断罪する権利が、はたして50年後の私たちにあるのか>(「政界」1995年3月号)
   前出「Hanada」10月号のインタビューで、高市氏は「過去の戦争やその結果としての他国領域統治の責任を論じ始めると、不幸な未来しか待っていません」とも述べている。

  関東学院大教授の林博史さん:「いや違う。断罪でも批判でもいいのですが、過去を振り返り、歴史を学ぶのは『昔はひどかった』と言うためではありません。
  『今につながる問題はなぜ生まれたのか』『二度と同じことをしないために何をすべきか』『より良い未来を作るにはどうすべきか』を考えるためです。
  それゆえ『悪いことは悪い』と総括することは欠かせないのです。世界各国の指導者や政府は、負の過去であっても総括して批判し、被害者や相手国に謝罪をしています


 ◆ 国民ひとりひとりが個人の価値観で歴史を見直し、過去の政権や国民を断罪する権利こそが自由であり民主的な国の統治ではないのか?
  <他国領域統治の責任を論じ始めると、不幸な未来しか待っていません>・・”不幸な未来しかない”・・・そのように断じる論拠は一体何なのだろう。たぶん論拠などは無い。


【4】シンガポールの「国父」とされる初代首相、リー・クアンユー氏が「リー・クアンユー回顧録」(2000年、日本経済新聞社)でこんなことを書いていた。
  <私は日本から多くのことを学んできたが、一方で率直に批判もする。とりわけ戦争中の行為への謝罪に明らかに消極的な姿勢を問題にする>
  さらに日本軍占領下の数々の残虐行為をも厳しく論じた同書について<「アジアの中の日本」の歴史の一こまを日本の若い世代に読んでもらうことは意味のあることだ思う>
  と結んでいる。
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私が肯定できない政治的信条は青や赤に彩色した部分&太字に現れているが、是だけではない。全貌を知るにはWikipedia に要領よく且つ公平に整理されているので、挙げておく。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B8%82%E6%97%A9%E8%8B%97#%E3%80%8C%E7%B5%8C%E6%AD%B4%E8%A9%90%E7%A7%B0%E3%80%8D%E7%96%91%E6%83%91
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