静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

◆ 意見や価値観が分かれるテーマこそ 金太郎飴的な(画一性/調和の追求)ではなく ≪ 選択の自由が与えられ 多様性が共存する社会 ≫ を目指そう!!

2021-10-15 08:39:12 | 時評
 今朝は特定の事件や事象について取り上げるのではなく<時代の変化と画一性追求の不適合>について述べたい。

のどかで時がゆっくり流れた昔と違い、社会変化のスピードが増すにつれ、多様なモノの見方・考え方の並存が進むいま、単独の価値観や美学で社会を染め上げるのは、虚しい努力となりつつある。
それは単に虚しいだけでなく、異なる観方を排除することが其の社会集団の活力・柔軟性を殺す事に繋がる”自殺行為”となってきた。「いや、そんなことはない!」と反論したい方は、
ざっと30年前までの日本のパフォーマンスと比較されたい。客観的な事実として日本の社会は活力を失い、国際間の競争力も失った。今の日本は、残念だが其の実例になってしまった。

★ この30年で日本が停滞し、世界の変化から取り残された主因は何か? それを一言で集約すれば≪環境変化に対応するには不向きな硬直的画一性にしがみついた≫からだ。私はそう考える。
嘗ての日本は人材の均一性が強みの源泉であった。その強みは製造業において最も効果的に発揮され、世界に冠たる効率と品質保証体制で競争力を維持してきた。その中に居た当人として私は述べている。
 だが産業界だけでなく、日本が抱える真の問題は、画一性再建ではもう周囲の変化に対応できない事に気付きつつも、自身を変えられないまま30年も右往左往し続け、時間を空費している事だ。
国際競争力の低下、全般的な国力沈下/国際評価の悪化に国民も気付いてはいる。だが、政治家任せで自分の頭で理由を考えようとしない。それでは今後も変われないし、日本は没落しかない。

★ ここで我々自身が変わる為の方向性として選択すべきは<画一性追求から多様性を容認する社会への転換>ではないか? 
 鎖国していた時代なら画一性は無害だったろうが、明治の開国以降、嫌でも異なる人々と付き合い、受け入れねばやっていけない世界なのだ。それは既に150年も前に始まったこと。
だが相変わらずガイジンを心の中では遠ざけたいし、できたら仲間内で気楽にやりたい。移民を歓迎し外国人と一緒にコミュニティを創ろう、なんて気分は未だに持たない。これが150年後も本音。
その象徴的な事例が「技能実習生」と呼ぶ安価労働力使い捨て+入国管理庁の差別的処遇の放置による獄死事件だ。あの非人道行為の根っこには、国民一人一人のガイジン拒否感情があり、
間接的に支えてることを忘れてはいけない。 目には見えにくいが、あのスリランカ女性獄死は日本国の評価を確実に貶めてしまった。これを国民は肝に銘じなければならない。

外国人との共生の他にも、画一的価値観の絶対化や単純な好みから多様性容認を理屈抜きで拒否し続ける身近な案件に≪選択的夫婦別姓≫や≪尊厳死許容への法制化≫がある。
どちらも日本社会に固有な非論理的伝統固執の典型であり、時代の変化に向き合おうとしない愚かさだ。<選択の自由/多様性の追求>ではないものの”非論理的伝統固執の典型”では<天皇男系への固執>も同じである。これは国民個人個人に響く事ではないが、国家統治システムの一環として天皇制を冷静にみるなら(天皇制支持者にとり)皇位継承者限定は文字通り自殺行為の筈だが、愚かにも議論さえ
封じたままだ。

★ では、国民自身が自分と国を変えてゆくうえで最初に取り組む手段とは? <国の根本戦略を練り、予算配分したり、必要な法律を作る>国会議員の質を変えてゆくことしかない。質を変えるとは、
 多様性容認社会に国を変えられる資質をもつ候補者を真剣に吟味し投票することだ。つまり、コネ・過去の恩義・地縁などの情実で選ばれる人で国会議席を構成しない、その有権者としての決意だ。

 いくらSNSやNPO活動、地域コミュニティー活動、デモ行進を盛んにしても、代議制民主主義体制で日本が回ってゆく以上、議会を通じた変化しか間に合わないし、変化をもたらす効力は生まれない。
 若年層で積極的に投票しない人の中には、ここを勘違い、或は、はき違えて居る人も居るのではなかろうか? 若しそういう人が周囲に居たら、考え直してもらいたい。 
  そこのところを的確に述べた論稿があるので紹介し、筆をおく。 田中氏の切々たる愛国心に私は胸を打たれた。

『10.31総選挙の選択 -日本が繁栄を取り戻すために』田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長が5月14日の毎日朝刊<政治プレミア>欄に投稿された。
   https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20211012/pol/00m/010/005000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20211014 
コメント
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