安城市緑町 ミドリペットクリニック0566-77-6047

目標毎日更新
動物病院の日常、広報、呟き
午前9:00-12:00 午後4:00-7:00
休診:日曜祭日、水午後

アメリカの自滅と日本の自殺Ⅱ

2013年02月05日 | 政治経済
 ジョセフ・ナイ(J.Nye)、日本国内では「世界を協調主義的にソフトパワーで知恵を出し合って問題を解決していくべきだ」と考えている人と解説されています。
表面上はそうですが、彼こそが米国の一国覇権主義を信じた手練手管としてソフトパワーを使おうと言っている人物です。
本当の意味でバランスオブパワー(BOP)を支持するケニス・ウォルツ、シカゴ大ミヤ・シャイマー、
ハーバード大ウォルト、ハンティントンらはジョセフ・ナイが嫌いです。おもしろいことに2003年の国際法違反のイラク戦争をナイは賛成しています。
BOPグループは皆反対しました。あれによってナイのグループの本性がばれました。
口先でリベラルなきれい事を言いながらブッシュJrのやんちゃな行動に賛成したアメリカ人は自分がオポチュニストであることの馬脚を現したのです。
ケニス・ウォルツは日本の核武装を希望しているか否かはともかく、「日本自身がそうしないことが不思議だ」と述べています。
この部分だけを取り上げられて日本国内では彼を「ミリタリスト(軍国主義者)である」という悪宣伝が行われています。
彼が日本に核武装を容認、もしくは推奨しているのは一種のBOPとして、アメリカの一極支配、ユニラテラリズム、
「自国中心主義によってアメリカ自身が滅びる懸念」から多くの国が、少なくともそういう力を持っている国が
「適当に核を持ってもらってお互いにバランスを取り合った方が健全な世界秩序が達成できる」と考えているからです。

 現在のアメリカの世界支配体制は1945年にできあがりました。その時にアメリカのGDPは世界全体の50%を占めていました。
その後1950年代のアイゼンハワーの時は40%、1971年ニクソンショック30%、ブッシュJr20%、現在はIMFによると18%であるとされています。
1945年の時はアメリカがユーラシア大陸を全て支配して、その重要な部分は西ヨーロッパ、中東、東アジアなのでその3箇所に万全な軍隊を配備し、
絶対に譲らないということをアメリカが行っても世界経済の5割をアメリカが占めている以上それは理にかなうことでした。
ところが現在は18%になってしまい、大借金国で、他国に赤字国債の半分を買ってもらわなければいけない状態です。
なのに1945年の支配体制をそのまま続けたい意思を持っているのです。盗っ人猛々しいとしか言いようがないのです。
現在アメリカでは軍事外交関係のエキスパートとマクロ経済のエキスパートが実際に良好なコミュニケーションを取っていません。
マクロ経済のエキスパートは「この体制は無理だろう」と考えます。今のアメリカの軍事費は世界の軍事費の45%にもなります。
加えて諜報関連で850億ドル使っています。他の国から情報を盗んで分析するだけに自衛隊予算の2倍使っているのです。
それとは別にホームランドセキュリティーという国土防衛の省があり、1000億ドル使っています。他にベテランズアフェアーズ(退役軍人会)。
全て併せると世界の安全保障費の6割を使っているのです。「一極構造を作るのだ」とがんばっているのです。
ジョーンズホプキンス大マンデルバーム教授は、10数年前はイケイケドンドンで一極主義者でした。
彼は最近2~3年弱気になって、「最近アメリカはお金が無い。それでも民主党も共和党も世界を一極構造にするというテーマから動こうとしない」
「外部からショックを与えないと目が覚めないだろう。そのショックとはドル危機だろう。ドルの基軸通貨制度が数年以内に壊れるだろう」と発言しています。
スティッグリッツ、カリフォルニアバークレー大アイケン・グリー、ワシントン国際経済研究所フレッド・バーグストン、それに加えてIMFは
「10年以内にアメリカは財政危機を起こす。今の財政状態でアメリカのドルが基軸通貨として使われていること自体が不自然である」と発言しています。
アメリカがドルを刷って何とか決済しようとしても「アジアはドル使えませんよ」となる可能性があるのです。
今はドルを刷りまくって世界中で無理矢理使わせているからアメリカは借金し放題です。
ドルが基軸通貨でなくなった途端にアメリカは自分たちで発行した国債を自分たちで処理しなければならなくなります。
その途端にペンタゴンの予算はバッサリ切られます。ドルショックを起こしてはいけないと必死になってドルを支える周辺国は日本くらいでしょう。
アメリカに守ってもらわないと日本人は生きていけないと日本人は考えています。日本人はアメリカに命令されると考えもせずに盲従する癖があります。
盲従blind allegianceは外務省の局長事務次官、財務省も同様です。
明治以前のお百姓さんは悪辣な代官には逆らいます。悪代官が大東亜戦争のように大負けすると新しい代官がやってきます。
すると「お代官様~」と盲目的忠誠心を発揮することになります。
日本人の心のどこかに、最近始まったことではない、遺伝子のような、大多数にはそれがあるようです。
武士道の時代には「かくてはならじ」と言う人もいたようです。そういう人が戦争に出て戦って死んでしまいました。
よって死ななかった可能性の高い優秀な女性には潜在的盲目的忠誠心を持っていない人が多いのではないかと期待します。
かつて「鬼畜米英」と叫ぶほど勇気があった男達がアメリカ様の腰にしがみつき、こうなった以上は「日本の男子には絶望する」しかありません。

 アメリカ人の中にも外交を見る見方が2通りあります。
モーゲンソー、ケナン、キッシンジャー、ウォルツ、スパイクマン、ミアシャイマー等のリアリストグループ。
大統領補佐官を勤めたスコークロフト、ブレジンスキーも含まれます。
彼らは17世紀のウエストファリア条約以降の「国際政治とは多極構造下におけるバランスオブパワー(BOP)ゲームであり、それがノーマルな状態である」と考えます。
 もう一方のグループがウイルソニアングループでアメリカの自由主義、経済システム、政治イデオロギー、基本的人権等の
「コンセプトをアメリカの軍事覇権を使って世界に採用させて、世界を同じような状態に、グローバライズ(アメリカナイズ)していくのがノーマルな形である」。
これが物の考え方自体がはっきり最初から違う対立軸です。日本にはBOPの考えがほとんど入っていません。
これは国際政治学者外交評論家達の恐ろしい怠惰だろう考えられます。
アメリカが国際連盟を作ろうとして失敗し、国際連合を作って実質的にはアメリカンヘゲモニーでやってきました。
パックスアメリカーナの状態をノーマルな国際政治とみるか17世紀後半から20世紀初めまで続いたBOPゲームをノーマルな状態とみるか、はっきり分かれます。
なぜか、若い頃ヨーロッパ文学、ロシア文学が好きな人達は決してウィルソニアンになりません。

 パリに暮らしていた有名な文学者ヘミングウェイは「アメリカがいやだ」といって逃れました。
フィッツジェラルドは「アメリカとは何だ!」とアル中になりました。
反アメリカ的な姿勢を持った者だけが世界的に有名で、アメリカの主流文化からはまともな文学が一つも出ていません。
モーゲンソーが言いました。「伝統の積み重ねが無いと文化にはならない」
「アメリカ文明はisolated flash of individual genius otherwise cultural desert.一瞬のひらめきのような天才は生むが文化は砂漠のようだ」、
彼はドイツ生まれなのではっきり言ってしまいました。

 リアリストグループに入っている人間から見ると冷戦後の国際政治が多極に向かっているのは自然なのです。
ところが日本の「アメリカにくっついていれば大丈夫だ」と考えている森本敏、岡崎久彦らは多極化したら困ります。
アメリカは強くないと日本の存在基盤が崩れると考えています。リアリストグループは多極化は極自然です。17世紀からの国際政治のノーマルな状態です。
日本の領土問題に関して、17~16世紀から1914年まで続いていた多極状態のBOPゲームではどの国も勢力圏の拡大競争をやります。その結果領土紛争が起こります。
多極化がノーマルと考えるなら、冷戦の2極構造が壊れ、アメリカオンリーの1極も足下が崩れ始めた現在において、
国際法を持ち出して、「尖閣が日本の固有の領土である」という意見を、BOPの観点から見てみます。
BOPは、Pつまりpowerと国際法のLawとの2元構造になっていることに気づきます。
国際法なんて元々曖昧にしか書いていませんが、それを実質化させるためにはどうしてもPowerが必要となります。
日本人はこのPに気づいていません。BOPだけで無くPの概念そのものが戦後日本から衰えていったのです。

 日本に西側の帝国勢力が極東まで達したのが1850年代です。
1842年にアヘン戦争があって1850年代ロシアが降りてきて1858年アイグン条約、1860年北京条約と立て続けに不平等条約を清が結ばされ、日本は腰を抜かします。
「このままだと俺たちも酷い目に遭う!」。
長い間日本人はpower politicsを味あわないで過ごしてきました。そうするとヨーロッパ人やロシア人のBOPゲームの発想が最初から理解できません。
少なくとも明治維新の大久保利通、伊藤博文などは少しは理解していただろうと思われます。ところが大正に入るとそれがダメになります。
ハンティントンが言っています。「革命第一世代は国際政治に対応できるが第二世代はガクッと落ちる」。
明治より大正昭和の日本人の方がこの点が鈍いのです。21世紀の国際政治が多極構造になるとロシアも中国もインドもトルコも皆BOPゲームをやり出しました。
日本人はそれに気がつきたくないのです。レジテマシーとかルールとか言っています。
日本人だけが「BOPゲームに参加しないと酷い目に遭う」ということに気がつきたくないのです。
この前の大敗戦でpowerの問題はアメリカ様にお預けするという、悪い意味での他者依存の習性が身についてしまいました。
「世界にpowerが必要だと言うことは解っているがなにわともあれアメリカがやってくれるはずだ」「そのご下命があってから我々は動くのだ」。
この頃はそのご下命がなかなか来ません。それどころか「私は知らん」と言われつつあります。
アメリカが1945年に作った国際統治システムは「中東と東アジアを両方ともアメリカが支配し続ける」です。
それが今ぐらついてきて、オバマが「アメリカの軍事力をアジアシフトする」といいましたが、実際にはそんな軍事力の余裕はありません。
しかもオバマは同時にアメリカの「今後10年の軍事予算を5000億ドルレベルに停滞させる」と発言します。
名目予算を停滞とは何を意味しているでしょう。
軍隊の人件費は毎年4%上昇します。武器弾薬は毎年8~9%上昇します。つまり実質軍事予算はどんどん減っていく事を意味するのです。
中国北朝鮮ロシアはアメリカの東アジア支配力の低下を見て、しかもいつまで経っても自主防衛する意欲も判断力もない日本の足下を見て、
領土問題でアグレッシブになってきているわけです。
韓国とロシア中国の行動と考え方はノーマルで、自然な振る舞いなのです。それを認められない日本人の思考パターンに大きな問題があります。

 「尖閣が日本の物だ」、それはそうでしょう。日本が最初そう主張したのは日清戦争のころです。中国がぐちゃぐちゃになって日本が強くなった時に宣言しました。
竹島だって日露戦争の前後です。日本海を含めて東シナ海の領土は取ったり取られたりするのです。
それまでアジア諸国は大混乱だったため日本だけが何とかまとまって領有を宣言しました。向こうに言わせれば「いつか取り戻してやる」となります。
中国人は約束守らないとか二枚舌とかいわれ、相手にするのは面倒ですが、日本人は彼らに学ばねばならないところがあります。
100年以上にわたっていつか取ってやろうと思い続けてきた執念深さ、国際政治をやるのならば「100年くらいは平気で持ちこたえる態度」が必要なのです。

☆お知らせ
営業日の午後12時~午後4時は、手術、治療業務のため留守番電話にしている場合があります。
獣医師不在の場合の営業内容はスタッフにお問い合わせください。
~2月の予定~
2月9日(土)学会出席のため獣医師不在です。スタッフは通常通りです。
2月11日(月)建国記念の日のため、病院お休みです。
2月22日(金)学会出席のため獣医師不在です。スタッフは通常通りです。
2月23日(土)学会出席のため獣医師不在です。スタッフは通常通りです。
不在が多くてご迷惑おかけします。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする