野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

伊豆ヶ岳から子の権現まで

2009-09-12 | ハイキング
 久しぶりに奥武蔵の山を歩いてきた。夏の間は暑さのため不向きな山と思われがちだが、山道の殆どが針葉樹林帯の中を行くので思ったより涼しく歩くことができる。ただ、その分植相が単調なので出会える花の種類は少ない。


 <行程概略>11時20分正丸駅→大蔵山分岐11時45分→12時35分男坂鎖場(崩落のためずっと通行禁止中)通過→12時50分伊豆ヶ岳頂上→高畑山13時20分→天目指峠14時10分→子の権現15時10分→吾野駅16時10分 

 普段歩く奥多摩の山に比べ、道が荒れている。殆ど土に戻りかけている木製の階段や読み取れない標識などが目立つ。歩く人の少ない山道は当然のように自然に帰っていくということだろうか。


 起点の正丸駅。昼近いせいかハイカーの姿は見当たらない。






 ヤブツルアズキが日差しに眩しい
 


 分岐を左折する。右に行くと旧正丸峠だ。 



 小沢に沿って杉林の中を登っていく。一時間ほど登ったところで稜線に出た。甘い香りがしたので見上げると山萩が頭上で咲いていた。



 この辺りからヤマジノホトトギスが目立つようになってきた。ヤマホトトギスとはよく似ているが花弁が平開し、反り返らないので区別される。





 未だクワガタソウも咲いていた。



 600mに満たない標高差の登りなのに結構息が切れてしまった。情けない。汗を拭きながら頂上の大岩に腰を下ろした。










 予想以上に登りに時間がかかってしまったので、慌ただしく昼食を済ませ下山を始めた。高畑山、中沢ノ頭と途中嫌になるほど何度もアップダウンを繰り返す。花の少ない杉林の中を行く単調な道だ。



天目指峠を越え、本日最後の登りを何とか登り終えた。




 崖に咲いていたハハコグサ






 アキギリ



 何んとか子の権現まで来た。




 巨大わらじ



 竹やぶに異様なものを発見。

 解体された仏像の一部のようだ。ブッシュに仏手とは洒落なのだろうか。

 
 子の権現からは沢沿いに下りていく。途中地蔵や野仏が多い。









 沢沿いにはセンニンソウや早くもヒガンバナの姿も見えた。






 一時間ほど歩いて紅葉で有名な東郷公園のある所に出た。そこから高麗川沿いに吾野駅まで歩いた。神社の脇を通った時、狛犬に座り込んでいるネコがいた。あまりに可愛かったのでモデルになってもらった。






野川観察園09九月

2009-09-09 | 植物園
    写真はジュズダマの花



 九月に入って秋の花の開花の具合はどうかと、野川観察園に寄って見た。



夏の暑さを越え、一段と緑が濃くなったようだ。



 イヌホオズキ



 ヤブツルアズキ



 遊歩道沿いにはキツネノマゴが多くみられる



 白花も咲いていた



 萩の花も秋の彼岸が近づき、色濃く染まってきた



 毎年咲いているナンバンギセルはどうだろうとススキの根元をのぞいてみた。もう終わりかけなのだろうか、花弁を落とし雌蕊が露わになっている花もある。



 




 奥まで歩いて行くとカリガネソウが咲いていた。クマツヅラ科の花だが、見た目の繊細さとは異なり強い臭気を持つ。和名は雁草の意。






 周囲にはオトコエシ、ツルボ、キクイモと秋の花が目に付くようになってきた。










 シモバシラ



 足元にはキツリフネの群生






 ホトトギス



 ヒオウギも咲き残っていた



 紅白のゲンノショウコも花数はこの時期が一番のようだ









 香りの強いハッカ、ヌスビトハギよりちょっと花弁の大きいフジカンゾウ







 ミゾソバやキンミズヒキも開花を始めたようだ






 ゆっくりと園内を回って一時間ほど、出口の脇のコムラサキシキブが色づいてきていた。



 夏休みの終わった野川には水遊びの子供の姿は見られない。川岸には顔をのぞかせたばかりの彼岸花が秋のそよ風に遊んでいた。





日向山②

2009-09-06 | ハイキング
 長くはないが結構きつい登りだった。しかも足場の定まらない砂の道だ。やっと稜線に立ち、眼前に広がる白砂の風景を眺める。






 足が砂に埋まり、あと一息の登りがつらい









 滑落しているところが多く風化の進み方が速い、いつまでこの奇景は残っているのだろうか。













 何とか登ってきた、この辺りが頂上になるのだろう、粗末な標識が立てられている。



 眼下には甲府盆地が見えている。ここは展望がよく、天気が良ければ八ヶ岳から甲斐駒ケ岳まで遠望できる。



 荒れ果てた世界にも花たちはしぶとくそれぞれの生活場所を見出しているようだ。切り立ち崩落寸前の崖の上に咲く白い花はコゴメグサに見える。岩苔に残るわずかな水分を糧に生きているのだろう。












 よく見まわしてみると、荒れ果てた土地にもかかわらず、意外に花の種類は豊富なようだ。
トモエシオガマ、シナノオトギリ、オヤマボクチ。









 嬉しいことにハナイカリやヤマオダマキの姿も見える。






 また林道歩きの折に崖で見かけたビランジも、砂礫地のなかにテリトリーを見つけているようだ。








 コオメグサとビランジの群生。



 5,6人のにぎやかな登山客がやってきたところで下山することにした。帰りの道で見かけた雨量計。



 ?の花



 思わず嬉しい花を見つけたナデシコ科センノウ属のセンジュガンピだ。







 ミヤマカラマツ



 帰りは針葉樹林帯の穏やかな下り坂が続いた。歩くには楽だが、花は多くは見られない。登山口の矢立石が見えてきた辺りに咲きかけのトリカブトがあった。



 帰りは甲斐駒ケ岳神社の登山口ともなっている、尾白川渓谷意の起点にある駒ケ岳神社に寄った。






 登山としては少し物足りないものを感じたが、ハイキングと考えれば花の多さといい、展望のよさといいなかなか良い山だったように思う。次回があるとしたら、春先の花の多い時期か、天候の落ち着いた晩秋の時期に来たいものだ。

日向山

2009-09-05 | 野の花
 久しぶりに高速に乗って登山をしてきた。北杜市にある日向山は南アルプスの雄峰、甲斐駒ケ岳の前哨ともいえる山で、近くには紅葉で知られる尾白川渓谷がある。山自体は1659mと低山だが、南アルプスの山や八ヶ岳まで見られる展望の良さと頂上付近の白砂の奇勝が魅力の山だ。


 甲州街道に降りて韮崎を過ぎ小渕沢の手前、白州中学校東で左折する。曲がりくねった細い林道をのぼりつめていくと、登山口である矢立石に着く。付近には10台程度の駐車スペースがあって、午前8時半に着いた時にはすでに一台の車が停車していた。

林道は歩き始めてすぐに車止めになり、そこから先は百万年も時を越えたかのような緑一色の世界となる。



 ヤマハギやホタルブクロ、ミズヒキといった秋の花が目に付く。









 アキチョウジは咲きだしたばかり



 頭ほどの高さの崖の上にやはり秋の花、フシグロセンノウが咲いていた。



 周りの景色はどんどんと緑を濃くしていく。




 森の生き物たちの気配も濃くなっているようだ。崖の岩の間に身を潜めている蛙がいた。



 アカソの葉先にじっとしている甲虫は何だろう



 






 切り立った崖に赤い花が見えた。



 どうやらナデシコ科のビランジの花のようだ。緑一色ともいえる世界にこの花の赤は際立っている。






 途中水飲み場があった。ツリフネソウとキツリフネが混生している。






 歩き始めて小一時間、オトギリソウやヤマハハコなども見えだした。








 ここではタマアジサイもまだ咲きかけだ



 ソバナが冷気を帯び、深い谷底から吹き上がってきた秋の微風に揺れている。



 歩き始めた辺りでは蕾だったヤマホトトギスがここでは咲き始めている。



 キバナアキギリ、ヤブマメ、シデシャジンと夏と秋との端境期ともいえる、この時期なのに花の種類は豊富だ。










 沢の付近ではコバギボウシの花も見られた。




 ゆっくりと花を愛でながら来たので、東屋のある錦滝まで1時間以上かかってしまった。



 



 ここからは手を使って登らなければならない急坂になる。
目の高さと同じところにアキノキリンソウやカシワバハグマがある。






 息を切らせ喘ぎながら登ること一時間弱、やっと頂上付近の白砂が見えてきた。


 <この辺で次回へ>

三窪高原

2009-09-02 | ハイキング
 三窪高原へは奥多摩湖の脇を抜け、大菩薩ラインを登りきった柳沢峠から歩いて行く。ここは6月のレンゲツツジ越しに見える富士が有名なのだが、それ以外の季節はどうかと思って歩いて見ることにした。

 峠のすぐ脇の無料駐車場に車を止めたのは午前十時。すでに止まっている車が4,5台。早速歩き始めるが、整備された山道沿いには花らしい花はほとんど見られない。



 ハンゼノ頭までやってきた。頂では犬を連れたおじさんが一人休んでいた。



 この辺りから少しずつ花が見えだした。ママコナ



 ノコギリソウやヤマハハコも見える。










 ヨツバヒヨドリも咲いているのだが、あいにくの曇り空でアサギマダラの姿は見えない。




 すぐ近くで鹿の鳴き声がした。そのせいか1500mの高原にもかかわらず、ハエがやけに多い。こんな看板もあった。



 坂を登る途中でやっと本日のお目当て、ハナイカリに出会えた。リンドウ科ハナイカリ属の2年草の花だ。






 すぐ近くで小さな花を見つけた。よく見るとコゴメグサと花姿が似ている。後で図鑑で調べたら、タチコゴメグサとあった。



 アザミやススキも花をつけ始めている。高原にはいち早く秋が近付いてきているようだ。






 大きな黄色い花を咲かせているマルバタケブキがずいぶん多い。







 色づき始めたヤマラッキョウはもう間もなく開花だ。



 ウメバチソウやコウリンカも咲いている。 



 




 少し日が差したので飛び始めたキアゲハが再び風が強くなったせいか、地面で休んでいる。






 ハンゼノ頭から少し下ると開けた場所に出た。一帯はお花畑になっているのだが、シカの食害を防ぐためかズミの木を中心に何か所も柵で囲まれていた。柵の中には食害を免れたのか、咲いている花の種類が一段と多い。

 ツリガネニンジンやウスユキソウが見える。






 オトギリソウやアキノキリンソウも咲いていた。






 ヒメシャジン



 シソ科のミヤマクルマバナか


 タニタデ



 無線塔の辺りまで歩いた所で小雨がぱらつきだした。板橋峠までの予定だったが引き返すことにした。途中針葉樹の切れた辺りでは、ヤマブドウやツノハシバミの秋の実が色づきを待っていた。






 林道沿いを歩いていると、結構思いがけない花に出会うことが多い。今回もそうだった。
 ソバナとイケマはよく見かける






 これはイケマの実



 その脇で思いがけなくうれしい花に出会った。リンドウ科センブリ属の二年草アケボノソウだ。花全体は50~80cmと大柄なのだが、花色が緑と地味なのでなかなか気づきにくい。でもよく見ると、5裂した花弁には黄緑色の蜜腺と濃い緑色の斑点が多数見られて美しい。これを夜明けの星空に見立てたのが、和名曙草の由来らしい。






 林道わきのマムシグサが二つ並んで見送ってくれた。



 ハナイカリ、アケボノソウお気に入りの花二つに出会えたのは何といっても嬉しかった。帰りは丹波山村の道の駅に隣接された、のめこい湯に寄ってから帰った。良い花に出会え、流した汗を良い湯で流す、今日はこれ以上ない大満足の一日だった。