『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
1954年、ミルクシェイク用ミキサーのセールスマン・レイ(マイケル・キートン)は、カリフォルニア州サンバーナーディーノのハンバーガーショップが一度に5杯のシェイクがつくれる製品を8台も購入したことに関心を惹かれ、店を訪問。メニューを限定し、厨房を工場式にしてとにかくスピードとクオリティ重視のスタイルをオーナーのマクドナルド兄弟(ジョン・キャロル・リンチ/ニック・オファーマン)に披露され、フランチャイズ化をもちかける。
いまや世界中に展開され、ファストフード、ハンバーガーの代名詞ともなったマクドナルドの巨大化を、事実を基に描く。
なんというか、アメリカってやっぱめっちゃ自由だよね。
だって超えげつない話なんだよ。こんな映画日本じゃ絶対つくれっこないよ。いままでだってやれ『スーパーサイズ・ミー』やら『ファーストフード・ネイション』やらマクドナルドを題材にした映画はつくられてきたけど、どれも観て「わあマック食べて帰ろ♪」なんて気分にぜったいなんない。エグくて。無理。事実、日本じゃこの手の映画はほとんど一般のメディアでは宣伝されてない。『スーパーサイズ・ミー』なんかオスカー候補にまでなったのにがっちり無視されてたもんね。
しかし今作は過去2作と比較してもまた格別なえげつなさです。だってもう健康とか衛生とか搾取とか、そういう問題ですらないんだもん。人が人としていちばん大事にするはずの誠実さを、力いっぱいコケにしてムチャクチャに踏みにじったうえで史上稀に見る大成功をおさめる、そういうサクセスストーリーなんだよ。
そら気分わるいことこのうえないです。
最初にマクドナルドを経営していた兄弟は、シンプルな家庭料理だったハンバーガーとフライドポテトとミルクシェイクを、安く、素速く、かつ高品質なままで提供しようとして独特のワークフローをうみだし、そして当然のごとく成功した。
当たり前のことだよね。うちで食べる定番メニューがもっと安くて速くておいしく買える、家族みんなで気楽に食事できる街のレストラン。ここまで長く続いたかどうかは別として、そんなお店がすぐ近所にできたら、「じゃあちょっと行ってみよう」「たまにはあそこで済ませよう」なんて誰にとっても馴染みのスポットになっただろう。それはマクドナルドのシステムが素晴らしかっただけじゃない。おいしいものを手軽に楽しんでほしいという、マクドナルド兄弟のサービスへの熱いこだわりと愛が、地域社会に伝わったからじゃないかと思う。
でもレイはそんなものどうでもよかったのだ。彼はとにかく成功したかった。ゲームのようなスピードで店舗を増やし、利益を出すことだけを考えた。マクドナルド兄弟となかよくうまくいくわけなんかない。
彼には愛なんか何の意味もなかった。いくらでもえげつなくなれるわけです。
映画に描かれたマクドナルド商法のえげつなさは出だしのほんの一部、レイがただただマクドナルド兄弟を裏切る過程だけなのだが、それでもじゅうぶん腹一杯になれる。
映画の中でレイはまだ消費者まで本格的に裏切ろうとはしていない。実際にはマクドナルド社はそこまでいっちゃうんだけど、そのためにあらゆるメディアから袋叩きにあい、無限に訴訟をおこされまくる企業になる。それでも大成功してるんだから、ビジネスってわからない。
ひとつだけいえるのは、もし「成功」がこんな形でしか現実にならないのだとしたら、すくなくともわたしは、金輪際「成功」なんかしたくないと、はっきり感じたことだ。仮にどっち側にいたいかというなら、裏切られたマクドナルド兄弟の方にいたい。彼らは少なくとも、地域の人においしいものを手軽に楽しんでほしいという夢を叶えた。あたたかくて、ちゃんと手にとれる形ある成功だ。たとえその夢が最終的にレイというバケモノに食い物にされたとしても、彼らをわたしは不幸だとか不運だとは思わない。クリエイティビティの尊さなら、いちおうちゃんとわかるつもりではいるから。
こんなこといったって誰も共感なんかしてくれないことはわかってるけど、それでも。
しかし全編目がイっちゃってるマイケル・キートンはマジこわいです。これもうファウンダー(“創業者”の意)じゃなくてストーカーだよ完全にさ。
この話って商売やってる人、それもまあまあうまいこといってる人からみたらちょっとしたホラーなんだろうな。そういう人の感想がとても聞いてみたいです。
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いまや世界中に展開され、ファストフード、ハンバーガーの代名詞ともなったマクドナルドの巨大化を、事実を基に描く。
なんというか、アメリカってやっぱめっちゃ自由だよね。
だって超えげつない話なんだよ。こんな映画日本じゃ絶対つくれっこないよ。いままでだってやれ『スーパーサイズ・ミー』やら『ファーストフード・ネイション』やらマクドナルドを題材にした映画はつくられてきたけど、どれも観て「わあマック食べて帰ろ♪」なんて気分にぜったいなんない。エグくて。無理。事実、日本じゃこの手の映画はほとんど一般のメディアでは宣伝されてない。『スーパーサイズ・ミー』なんかオスカー候補にまでなったのにがっちり無視されてたもんね。
しかし今作は過去2作と比較してもまた格別なえげつなさです。だってもう健康とか衛生とか搾取とか、そういう問題ですらないんだもん。人が人としていちばん大事にするはずの誠実さを、力いっぱいコケにしてムチャクチャに踏みにじったうえで史上稀に見る大成功をおさめる、そういうサクセスストーリーなんだよ。
そら気分わるいことこのうえないです。
最初にマクドナルドを経営していた兄弟は、シンプルな家庭料理だったハンバーガーとフライドポテトとミルクシェイクを、安く、素速く、かつ高品質なままで提供しようとして独特のワークフローをうみだし、そして当然のごとく成功した。
当たり前のことだよね。うちで食べる定番メニューがもっと安くて速くておいしく買える、家族みんなで気楽に食事できる街のレストラン。ここまで長く続いたかどうかは別として、そんなお店がすぐ近所にできたら、「じゃあちょっと行ってみよう」「たまにはあそこで済ませよう」なんて誰にとっても馴染みのスポットになっただろう。それはマクドナルドのシステムが素晴らしかっただけじゃない。おいしいものを手軽に楽しんでほしいという、マクドナルド兄弟のサービスへの熱いこだわりと愛が、地域社会に伝わったからじゃないかと思う。
でもレイはそんなものどうでもよかったのだ。彼はとにかく成功したかった。ゲームのようなスピードで店舗を増やし、利益を出すことだけを考えた。マクドナルド兄弟となかよくうまくいくわけなんかない。
彼には愛なんか何の意味もなかった。いくらでもえげつなくなれるわけです。
映画に描かれたマクドナルド商法のえげつなさは出だしのほんの一部、レイがただただマクドナルド兄弟を裏切る過程だけなのだが、それでもじゅうぶん腹一杯になれる。
映画の中でレイはまだ消費者まで本格的に裏切ろうとはしていない。実際にはマクドナルド社はそこまでいっちゃうんだけど、そのためにあらゆるメディアから袋叩きにあい、無限に訴訟をおこされまくる企業になる。それでも大成功してるんだから、ビジネスってわからない。
ひとつだけいえるのは、もし「成功」がこんな形でしか現実にならないのだとしたら、すくなくともわたしは、金輪際「成功」なんかしたくないと、はっきり感じたことだ。仮にどっち側にいたいかというなら、裏切られたマクドナルド兄弟の方にいたい。彼らは少なくとも、地域の人においしいものを手軽に楽しんでほしいという夢を叶えた。あたたかくて、ちゃんと手にとれる形ある成功だ。たとえその夢が最終的にレイというバケモノに食い物にされたとしても、彼らをわたしは不幸だとか不運だとは思わない。クリエイティビティの尊さなら、いちおうちゃんとわかるつもりではいるから。
こんなこといったって誰も共感なんかしてくれないことはわかってるけど、それでも。
しかし全編目がイっちゃってるマイケル・キートンはマジこわいです。これもうファウンダー(“創業者”の意)じゃなくてストーカーだよ完全にさ。
この話って商売やってる人、それもまあまあうまいこといってる人からみたらちょっとしたホラーなんだろうな。そういう人の感想がとても聞いてみたいです。
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