落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

座頭市

2003年09月26日 | movie
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とりあえずですね、面白かったです。
まだこれから観ようと云う方も大勢おられるかと思いますので、あんまり詳しくは書けないですけど、ぶっちゃけ映画全体としてはそんなに大傑作とは思わないです。リメイクだけあって物語も特に新鮮では無いし、ツッコミどころもあるっちゃあるし。ヴェネツィアでは絶賛されてたそうですが、意地悪な見方をすれば、時代劇でチャンバラでキタノ映画ってだけでもヨーロッパの人は喜んじゃうからね・・・。
でも、リメイクとは云ってもただのリメイクではない、北野テイストが非常に生きた、ハイブリッドなリメイクになってることは確かです。

今回目立つのは浅草演芸を含めた大衆演芸の空気がかなりふんだんにもりこまれている点。
例えば殺陣はツービート時代に浅草の舞台で覚えたノウハウを生かして監督自身が考案したとかで、一般的な時代劇の殺陣とは全く趣きの違う殺陣になってるし、芸者「おせい」役の橘大五郎は大衆演芸の女形だし、全編に何度か登場するタップも浅草の演芸場で演じられていたものです。
画面に直接出ない部分で云えば、この作品の企画者自身も浅草の演芸興行界の立役者と云われる人物です。
そうしたオリジナルテイストも加わって、娯楽大作としてはかなり成功した作品にちゃんと仕上がってました。
座頭市やライバル・服部源之助を居合術の達人と設定したことで、暑苦しくないスピード感のあるアクションになってたのもオシャレだったし、ミュージカルシーンも楽しかったし。
なにより北野映画らしく台詞が少ないのが良いですね。お芝居が出来る人、上手い人(岸部一徳とか柄本明)しか喋ってない。台詞で説明しない、分かりやすくてもこれみよがしじゃない、見せびらかすような演出を極力避ける方法論では全然ファンを裏切らないところがやっぱセンスいいじゃんと思いました。

んでまた浅野忠信がめちゃくちゃカッコ良かった。なんつーかひと皮剥けましたね、彼も。パッと見て派手にどこが変化した、ってワケじゃないんだけど、全体的にこう、あからさまに「一段階上のステージに展開してる」って感じがします。
簡単に云っちゃうとお芝居上手くなってる。前から上手かったけど、明らかにさらに上手くなってます。
雰囲気とか存在感とかそういう曖昧なニュアンスじゃなくて確実に世界レベルの俳優さんになったんだなー、と云う印象を受けました。
ベタ褒め。
浅野クンと云えば演技と思えないほど自然に抑えたお芝居をする俳優さんですが、低体温がベースの北野映画とは相性も良かったんじゃないでしょーか。もしかすると北野組の新たな常連になるかもです。

この映画が評価されてる反面で、昔から時代劇、チャンバラ劇で活躍されてた某諸氏は「時代に媚びてる」云々と批判されてるそうですが、所詮その方々の伝統的な時代劇では現代のお客さんが呼べてない、ビジネスとして成立しにくくなってるのもまた事実です。
クオリティもさることながら、まず実際に観客を喜ばせてなんぼの世界なんですから、今は現実に日本最強最速の男と云われる映像作家に対して、外野が何を云っても結局は結果次第です。負け犬の遠吠えはあんまり聞いてて心楽しいものじゃないですね。

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