『世界』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000FHQ78M&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
実はぐりは賈樟柯(ジャ・ジャンクー)作品を観るのは記憶にある限りこれが初めてである(爆)。ヤバいです。レンタル屋いかなきゃ。
しかしそれにしてもこりゃまた傑作である。上映時間133分の長さをまったく感じさせない。すごく淡々とした静かな物語なのに、観ていてぜんぜん飽きない。
そしてものすごく身につまされる。
物語の舞台は北京の「世界公園」。世界各国の観光名所のミニチュアが展示されたテーマパーク。ヒロイン小桃(趙濤チャオ・タオ)はここのダンサーで、彼氏の太生(成泰[焱木]チェン・タイシェン)は警備員。ふたりとも地方出身だ。というかこの物語の登場人物は全員地方の人間なのだ。なので台詞にときどき方言が交じっている。
中国の一般庶民は法的には海外旅行ができない(たぶん。違ってたらツッコんで下さい)。海外渡航は限定された都市に戸籍のある住民の?pック旅行か、国外に住む肉親の訪問か、商用、政治活動、文化交流、留学など特殊な目的が認められた人にしか許されない。パック旅行?セって高額だから庶民には高嶺の花だ。
大体、登場人物たちが当り前に使っている携帯電話だって彼らの一ヶ月の給料よりも高額なのだ。事故で死にかけた男が、いまわのきわに借金があることを友だちにいい遺す。その額が日本円で50円や500円といった小銭程度なのが悲しい。世慣れてしたたかなようにみえて、一方で恋人に「いつか北京で名をなしてお前を楽にしてやりたい」などというピュアネスを手放しかねている若い中国人たち。
そんな彼らをまきこんで急激に変化し発展していく中国経済、北京という大都会。常に仕事を求めて地方から、外国からも人がやってくる。彼らにはそこから出ていく自由はない。自由はないがミニチュアの‘世界’で働いている、というのが見事な対比になっている。
この映画のテーマは、巨大な魔物のような都会で暮す地方出身者の孤絶感だ。
自分はここにいてもいいのだろうか、明日はどうなるんだろう。明後日は?いつまでここにいられるだろう。他に居場所なんかないのに?どこへ行けばいい?どうすればいい?声にならない叫び声が、画面のなかにこだましているようだ。
若者たちは同郷の友人にすがり、恋人にすがり、浮気相手にまですがりつく。そうでもしないかぎり、自分が果てしなく遠いところまで吹き飛ばされてしまうような気がするからだ。他にすがるものがなにもないからだ。それほどまでに切迫した淋しさが、物語全体に音もなく激しく吹きすさぶ。
だからといってつらいばかりの映画ではない。それがこの作品のすぐれたところだ。おしつけがましくもないし、でもちゃんとわかりやすい。真面目な話なのに、ぜんぜんかたくるしいところがない。あざといところだってちゃんとある。それがイヤミじゃない。
どうすればこんな映画がつくれるんだろう。不思議だ。
惜しむらくはこの映画、ハイビジョン撮影なので部分的に画質がイッちゃってるシーンがある。夕方や夜の屋外、派手にライトアップされたステージのシーンなんかはとくにひどかった。他のシーンがきちんと処理されているだけにギャップが目立ってしょうがない。これは出来ればなんとかしてほしかった。
音楽がすごくよかったです。CDほしいなー。あるかなー。
ところでこれ、調べてみたら大陸公開版は108分となっている。なんと25分も短い。どこをどう変えてるんだろう。
後日付記:コメント欄でだーしゅーさんから中国人の海外旅行?ノついてご指摘がありました。
「法的に観光ビザ取得が制限されているのは、日本やアメリカ、台湾など一部で、東南アジアをはじめカナダやヨーロッパなど多くの国は中国人の観光を普通に受け入れています。
ノービザで入れる国は少ないですが、個人での観光ビザ取得を認めている国は多いです。
海外旅行が少ないのは、むしろ経済的理由によるのではないでしょうか。」
とのことです。
ぐりが以前聞いた「中国人はビザがなければ入国できない、個人旅行がなかなか許可されない」のは日本のことだったようです。失礼いたしましたー。
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実はぐりは賈樟柯(ジャ・ジャンクー)作品を観るのは記憶にある限りこれが初めてである(爆)。ヤバいです。レンタル屋いかなきゃ。
しかしそれにしてもこりゃまた傑作である。上映時間133分の長さをまったく感じさせない。すごく淡々とした静かな物語なのに、観ていてぜんぜん飽きない。
そしてものすごく身につまされる。
物語の舞台は北京の「世界公園」。世界各国の観光名所のミニチュアが展示されたテーマパーク。ヒロイン小桃(趙濤チャオ・タオ)はここのダンサーで、彼氏の太生(成泰[焱木]チェン・タイシェン)は警備員。ふたりとも地方出身だ。というかこの物語の登場人物は全員地方の人間なのだ。なので台詞にときどき方言が交じっている。
大体、登場人物たちが当り前に使っている携帯電話だって彼らの一ヶ月の給料よりも高額なのだ。事故で死にかけた男が、いまわのきわに借金があることを友だちにいい遺す。その額が日本円で50円や500円といった小銭程度なのが悲しい。世慣れてしたたかなようにみえて、一方で恋人に「いつか北京で名をなしてお前を楽にしてやりたい」などというピュアネスを手放しかねている若い中国人たち。
そんな彼らをまきこんで急激に変化し発展していく中国経済、北京という大都会。常に仕事を求めて地方から、外国からも人がやってくる。彼らにはそこから出ていく自由はない。自由はないがミニチュアの‘世界’で働いている、というのが見事な対比になっている。
この映画のテーマは、巨大な魔物のような都会で暮す地方出身者の孤絶感だ。
自分はここにいてもいいのだろうか、明日はどうなるんだろう。明後日は?いつまでここにいられるだろう。他に居場所なんかないのに?どこへ行けばいい?どうすればいい?声にならない叫び声が、画面のなかにこだましているようだ。
若者たちは同郷の友人にすがり、恋人にすがり、浮気相手にまですがりつく。そうでもしないかぎり、自分が果てしなく遠いところまで吹き飛ばされてしまうような気がするからだ。他にすがるものがなにもないからだ。それほどまでに切迫した淋しさが、物語全体に音もなく激しく吹きすさぶ。
だからといってつらいばかりの映画ではない。それがこの作品のすぐれたところだ。おしつけがましくもないし、でもちゃんとわかりやすい。真面目な話なのに、ぜんぜんかたくるしいところがない。あざといところだってちゃんとある。それがイヤミじゃない。
どうすればこんな映画がつくれるんだろう。不思議だ。
惜しむらくはこの映画、ハイビジョン撮影なので部分的に画質がイッちゃってるシーンがある。夕方や夜の屋外、派手にライトアップされたステージのシーンなんかはとくにひどかった。他のシーンがきちんと処理されているだけにギャップが目立ってしょうがない。これは出来ればなんとかしてほしかった。
音楽がすごくよかったです。CDほしいなー。あるかなー。
ところでこれ、調べてみたら大陸公開版は108分となっている。なんと25分も短い。どこをどう変えてるんだろう。
後日付記:コメント欄でだーしゅーさんから中国人の海外旅行?ノついてご指摘がありました。
「法的に観光ビザ取得が制限されているのは、日本やアメリカ、台湾など一部で、東南アジアをはじめカナダやヨーロッパなど多くの国は中国人の観光を普通に受け入れています。
ノービザで入れる国は少ないですが、個人での観光ビザ取得を認めている国は多いです。
海外旅行が少ないのは、むしろ経済的理由によるのではないでしょうか。」
とのことです。
ぐりが以前聞いた「中国人はビザがなければ入国できない、個人旅行がなかなか許可されない」のは日本のことだったようです。失礼いたしましたー。
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