落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

5月の福島

2013年05月13日 | 復興支援レポート
11日の月命日に、福島県沿岸での捜索活動に参加してきた。

先月と同じように、海岸を歩いて、砂や津波で崩壊したテトラポットの中に遺骨や遺物がないか捜す。
午前中は南相馬市萱浜から南へ歩いて捜し、昼食をはさんで午後は萱浜で埋もれたテトラポットの隙間を掘って探した。
昼に降り出した雨が激しくなってきたので、14時46分の黙祷の後、解散。

砂浜には大きな漂着物はほとんどなく、一見きれいにみえるが、実際に歩いてみると服や靴などの生活雑貨や漁具や自動車部品や流木など、津波の細かな残骸がいたるところに埋もれている。
津波にさらわれて沈んだモノが波に洗われ、くだけ、朽ちて小さく軽くなって打ち上げられてくるのだろうか。
それをひとつひとつ検分し、砂を掘って、波に寄せられた砂浜の中に埋もれたものがないか捜した。
砂浜は淡褐色のきれいな砂の下数ミリのところからは黒く、津波で海底から巻き上げられた大きな石とヘドロが混じりあって堆積している。石はこぶし大のものから子どもの頭ほどもあるくらいの大きさで、シャベルで砂ごと取り除くのは難しい。なので、手で石を掘り出してはシャベルで砂を掘り、シャベルを置いてまた石をつかみ出すという作業をひたすらやっていた。
ヘドロは打ち上げられて2年経っていてもしっかりとヘドロの臭いがする。すぐに鼻が慣れるので臭くはないが、掘っている手袋が油のような汁でべとべとになる。

といっても広い広い砂浜で、そうそう遺骨が見つかるものではない。文字通り砂中の針を探すような気の遠くなるような作業だ。
でもやらないわけにはいかない。まだ見つかっていない人がいて、帰りを待っている人がいるから。彼らにとって、その日々に終わりはない。

今回はあいにくの天候だったけど、それでも新緑の福島はおとぎ話のように美しい。
空にはヒバリのさえずりが響き、目にも鮮やかな緑の野原にはたんぽぽや菜の花やチューリップ、ナズナやしろつめくさやポピーやカラスノエンドウが一面に咲き乱れ、遅咲きの山桜と萌えはじめた木の芽でパステルカラーに煙る山々を、雨雲が音もなくゆっくりと這い登っていく。
静かで、穏やかで、そして命の輝きに満ちている。たとえ放射能に汚染されていても、美しいものはやはり美しい。
美しいから悲しい風景もある。5月の福島。


南相馬市萱浜にて。

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