はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年04月12日 20時23分15秒 | 日詠短歌

2012/3/19(月)
   休日の狭間。仕事の間だけ体調が悪くなる。

 暮れなずむ北口前の一本の樹に込められるさえずりいくつ


3/20(火)
   春分の日が移動すると知ったのはいつだったか。

 下るため最高速で昇りゆく ぶらんこ あおむけ くさりの匂い


3/21(水)
   予報では、寒いのは今日までというが。

 幾百の硝子に裂かれ黄金の刃となってふりそそぐ空


3/22(木)
   毎朝、分刻みで朝寝坊になってゆく。

 もうすこし もう少しだけこのくらやみの底に置かれた鉄球として


3/23(金)
   白梅の往生際のわるさかな (中村)

 傘のなかチェロケースの首抱きしめて半身濡れている女学生


3/24(土)
   20年ぶりにギターを手にした、年度末。

 騙しあう波と耳とに挟まれて音叉の端を噛む十八時


3/25(日)
   休日出勤。15度あったのに寒いと感じた一日。

 外界に螺子を巻かれてしまうまでメトロノームの鎚を見ていた


一日一首

2012年04月05日 21時24分52秒 | 日詠短歌

2012/3/12(月)
   一日ほやん、としていた。「春眠暁を」には早いのだが。

 どきどきとむねがなる日は替え歌のようにきのうをとりかえようよ


3/13(火)
   代休日。里山公園には霜柱の跡。

 陽は冬に風は春にはきつすぎて朝に未熟な鶯の声


3/14(水)
   夜のブレーキランプは、意外にまぶしい。

 星の無いテントウムシが瞬いて右折レーンにつかまったまま


3/15(木)
   今朝は、窓の結露がすごかった。

 朝露のしずくの道の隙間からとぎれとぎれに匂う白梅


3/16(金)
   今の職場は三階。窓からプラットフォームが見える。

 〉開キマス〈 老若男女たまに犬ときどき綿毛 〈閉マリマス〉 無


3/17(土)
   ギター版「無伴奏チェロ組曲」(山下和仁)を久々に聴く。

 連なりの流れとなるを聴きながら雨に玩ばれる白梅


3/18(日)
   曇り空。部屋よりも外の方が暖かかった。

 襟巻きが壁に掛かったままの日は星の名前を呼び捨てにする


一日一首

2012年04月01日 11時22分22秒 | 日詠短歌

2012/3/5(月)
   このところ、書類探しのため残業。過去の申請書をめくり続ける。

 万人の肉筆ねむる移動式書架の隙からティンカー・ベルが


3/6(火)
   雷雨のち快晴。よし、今日から春だ。

 コンセント抜けばたばしる春雷のわずかに混じる紅、香ばしく


3/7(水)
   梅が一気に満開。花粉も。

 咽喉をけだるくすべり降りてゆくソフトカプセル(匂いは涙)


3/8(木)
   偏頭痛。季節の変わり目は、こんな日もある。

 温よりもむしろ匂いと舌ざわり弥生フーガの主題を言えば


3/9(金)
   最近、魚に脂が乗りすぎている気がする。老化か?

 ひりひりと骨を外せばしろたえの身は並列にほぐれて濡れる


3/10(土)
   「生姜の蜂蜜漬け」を買う。湯で割ると、なかなかうまい。

 夕闇のしら梅のみち全音符ばかり奏でる譜面としての


3/11(日)
   春の墓参。河津桜がようやく満開だった。

 大島に渡るのだろう風が吹く花 原 墓の丘の上から