5月9日、ロシアから侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、特殊作戦軍のルパンチュク司令官を解任し、後任にツレパク副司令官を任命した。ルパンチュク氏は昨年11月に司令官に就いたばかりだった。
英字紙によると、ツレパク新司令官は2014年に東部ドネツク州の空港防衛作戦の指揮官を務め、20年に特殊作戦軍の副司令に就任した。
また同日、要人警護を担う国家警備局の局長も解任、大統領らの暗殺計画に関与したとして同局の大佐2人が拘束されたことを受けた措置とみられる。
ゼレンスキー氏は2月に人事刷新を開始。軍総司令官のザルジニー氏を解任し、侵攻当初からゼレンスキー氏を支えてきた国家安全保障・国防会議書記のダニロフ氏も3月に解任した。
また9日、ゼレンスキー大統領は、戒厳令と総動員令を8月11日まで延長する法律に署名した。これについては、ロシアの侵攻開始に伴い全土に発令され、延長を繰り返している。
このところ、ウクライナは砲弾がロシアの十分の一程度しかなく、反撃はおろか一時挽回した東北部の要諦もロシアによって奪い返されている。
しかし、先にアメリカ議会がようやくウクライナ支援金など953億ドル(約14兆7000億円)余りを可決、その内、ウクライナ支援として608億ドル(約9兆円)を充てることになった。
その中で急を要する支援として砲弾の供与があるが、これについては新規に製造しなければならない分も多く、明日に直ぐというわけにはいが、大いにウクライナ軍の志気を上げることにはなっただろう。
先に、イギリスの専門筋が前線でロシアの兵士が約5万人戦死しているという情報を出した。東部の前線では双方が多くの犠牲者を出す肉弾戦になっているようだ。
このような中で、ロシアは東北部のウクライナ第2の都市ハルキュウを再攻撃した。ハルキュウはロシアの侵攻で一時相手の手に落ちたが、その後ウクライナが奪還した重要都市だ。
今後、アメリカを中心に欧米の支援が厚みを増してくることが予測され、ロシアの焦りが手に取るようだ。
欧米諸国はどうしてもロシアに負けられないという危機感が募っており、その点でゼレンスキー氏と思いを共有していることだろう。
ゼレンスキー大統領の幹部人事の意図については、他人では良く分からないと思うが、ロシア側に不協和音のように映って付け入るスキを与えてはならない。
世界は、ゼレンスキー大統領の変わらないリーダーシップを期待している。「関連:4月22日」