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★イラクで自衛隊がしてきたこと ★

2009年10月06日 | 参考資料
09年10月6日東京新聞(TOKYO Web)

イラク空輸 情報開示 06年7月以降、米兵が67% 政権交代で判断

 防衛省は情報公開法に基づき、航空自衛隊がイラクで行っていた空輸活動を記録した「週間空輸実績」を請求者に開示した。陸上自衛隊が撤収した二〇〇六年七月以降の空輸活動で、昨年、名古屋高裁が憲法違反とした首都バグダッドへの米兵空輸を行っていた時期にあたる。前政権では中身が分からない黒塗りでの公開だったが、今回初めて全データが開示された。請求者は「政権交代の効果」と評価している。 

 開示された「週間空輸実績」は〇六年七月から空輸活動が終わった〇八年十二月までの百二十四週分。運航日数は四百六十七日あり、うち二百十八日、47%がバグダッド空輸に充てられた。

 空輸した人数は二万六千三百八十四人。米軍は一万七千六百五十人で67%を占め、他国の軍も含めると71%が兵士だった。一方、国連職員は二千五百六十四人で一割にとどまった。

 前政権で政府は「空自は人道復興支援を行っている」と説明してきたが、復興支援を担う国連職員に比べ、武力行使を伴う治安維持を担当する兵士の空輸数が圧倒的に多いことがあらためて確認された。これは米軍などの「後方支援」にあたる。

 情報公開請求したのは岐阜県大垣市田町の近藤ゆり子さん(60)。過去六回、「週間空輸実績」の公表を求めた。開示されたのは「実施期間」「運航日数」のみで、あとは黒塗りされ、空輸の中身は不明のままだった。

 これを不服として四回異議申し立てをしたが、三回は「防衛省・自衛隊の効果的な運用に支障が生じる」「関係国・関係機関との信頼関係を損ねる」との理由から不開示のままとなった。今回は七月に異議を申し立て、九月二十四日付の北沢俊美防衛相名の「現時点で不開示とする理由がない」との通知とともに全面開示された。
◆新政権の検証不可欠

<解説> 民主党中心の新政権に代わり、航空自衛隊によるイラク空輸活動の「週間空輸実績」が開示された。次の課題は、野党当時に反対していた自衛隊イラク派遣の再評価だ。「対米追随」が目立った前政権との違いを鮮明にできるか注目される。

 二〇〇三年三月、当時の小泉純一郎首相は米英によるイラク戦争にいち早く支持を表明した。すると米国は「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(陸上自衛隊を派遣せよ)」と求め、日本政府は自衛隊派遣に踏み切った。

 陸自が撤収後の〇六年七月以降、空自は空輸先をバグダッドなどへ広げ、空輸の中身が米兵となった疑いが浮上した。

 民主党の原口一博氏(現総務相)は「週間空輸実績」をもとに「全部黒塗りですよ。これで私たちがシビリアンコントロールを果たすことができるのか」(〇七年五月衆院イラク特別委)と政府に迫った。

 社民党の辻元清美氏(現国交副大臣)は「人道復興支援というなら、黒塗りじゃないものを出してください」(〇六年十一月衆院安全保障委)と情報を隠す政府に不満を表明した。

 こうした人々が政権を取り、空輸活動のデータは開示された。その一方で、新政権は米英でさえ揺らいだ「戦争の大義」をどうみているのか、自衛隊派遣は何だったのか見解を示していない。

 昨年四月、名古屋高裁がイラク空輸について違憲判断を示した際、空輸担当の最高幹部は「判決は乱暴だ。バグダッドにも非戦闘地域はあるし、輸送機から降りた米兵がそのまま戦闘に加わるわけでもない」と反論した。

 公開された「週間空輸実績」だけでは、この反論の適否は分からない。幸い検証の材料になる自衛隊の資料は新政権の手元にある。鳩山由紀夫首相が目指す「対等な日米関係」の構築には、安保政策の検証が不可欠だ。 (編集委員・半田滋)
◆政治の意思示した

<北沢俊美防衛相の話> 国民の知る権利を阻害する政治は本来の姿ではない。一定の軍事機密があることは承知しているが、政治の意思として国民にきちんと情報を提供するよう官僚に指示すれば、明らかにできる。情報の隠ぺいは日本のためにも省庁のためにもならない。国民に真実が明らかになるプラスの方が、日本の政治としてはるかに大きい。

<イラク空輸活動> イラク特別措置法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機3機が2004年3月から08年12月まで、クウェートを拠点にバグダッド空港などイラクの空港に国連や多国籍軍の兵士、物資を空輸した。名古屋高裁は昨年4月、「他国の武力行使と一体化し、憲法9条などに違反する」と違憲判断を下したが、政府は傍論部分の指摘で拘束力はないとして活動を継続させた。



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