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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

◆ 反戦の視点・その89 ◆

2009年10月17日 | 練馬の里から
  オバマの侵略政策への鳩山連立政権の加担を許すな!
                                井上澄夫
◆9年目に入ったアフガン侵略戦争
 米英がアフガニスタンへの空爆を始めたのは、2001年10月7日のことだ。同年の〈9・11〉を口実に米ブッシュ(子)大統領はおよそ空爆への対抗手段を持たない小国を破壊し始めた。それは「対テロ戦争」の開始を意味したが、「対テロ戦争」戦略の策定それ自体はラムズフェルド国防長官(当時)などによってもっと前に行なわれていて、〈9・11〉は同戦略の世界大の展開の始まりだったと指摘されている。1989年の冷戦の終結がさまざまな民族紛争や宗教抗争を続発させたことへの対応として、世界唯一の超大国アメリカが世界支配を打ち固めるため「対テロ戦争」戦略を編み出したのだ。
 今年の10月7日、アフガニスタン(以下、アフガン)侵略戦争は満8年を経過した。世界最大の軍事力を有する国が農業や牧畜以外産業基盤を持たない小国を侵略し、民衆を殺戮し、国土を破壊し続けてきたのだ。その残虐な行為に途中からNATO軍主軸のISAF(国際治安支援部隊)が参加した。日本政府は小泉政権時代以来、米侵略軍を支援し続けている。私たちはアフガン侵略とそれへの日本の加担に反対してきたが、まだ侵略をやめさせられずにいる。「海賊対処」を名目とする海上自衛隊のソマリア沖・アデン湾派遣も続いている。
 いうまでもないが、過去の15年戦争についてのべているのではない。いま、この瞬間にも私たちの眼前で強行されている侵略を問題にしているのだ。訪米した鳩山首相は9月23日、オバマ米大統領に対し、日米同盟について「これからも日本にとって安全保障の基軸になる。深化させたい」と表明した。「対等な日米関係」どころではない。参勤交代で江戸城に馳せ参じ、将軍家に忠誠を誓ったようなものだ。
 ※ 米英と北部同盟の攻撃によりアフガンを実行支配していたタリバーン政権は崩壊したが、2003年頃から活動を再開し、現在は勢力を盛り返している。『ニューズウィーク日本版』10月21日号掲載の「タリバン8年目の真実」は現地タリバーンの肉声を伝えるルポである。発言のすべてが真実であるとはいえないが、アフガンの現状を考える上で重要な手がかりになると思われる。

◆拡大する一方の侵略戦争─《アフガン・パキスタン侵略戦争》─
バラク・オバマ大統領はイラクからの撤退とアフガンの「主戦場化」を公約して米国の大統領になり、公約を守ってアフガンへの米軍2万1000人の増派を行なった。しかし実はそれだけではなかった。10月13日付『時事通信』の記事を紹介する。
 〈後方部隊1万3000人も派遣=戦闘兵力と別枠-米紙
 10月13日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ大統領が1万3000人以上の後方支援部隊のアフガニスタン派遣を承認し、既に現地に展開させていることが分かったと報じた。/同紙によると、後方支援部隊は技術、医療、情報などを担当する要員や憲兵隊で構成されている。同大統領は3月に2万1000人の増派を柱とするアフガン包括戦略を打ち出したが、ホワイトハウスや国防総省は、この戦闘部隊増強に伴う後方支援要員の派遣には言及していなかった。〉
 在アフガン米軍は今年末までの最初の増派分を含めて6万8000人とされていたが、実際には8万1000人に膨れ上がるわけだ。しかもこれらの数字には米軍御用達の民間軍事会社(PMC)のスタッフは含まれていない。したがって「米軍関係者」として計算すると、それがすでに膨大な数字になることは明らかである。アフガン駐留米軍司令官マクリスタルは、それでもなおオバマに4万人の増派を要求しており、政権内部に増派の是非をめぐって対立があると報道されているが、増派支持派が優勢と報じられている。
 このところ米軍兵士の死亡が急増していることもあり、米国世論の約6割が増派に反対しているので、オバマは苦しい立場に追い込まれている。米国防総省はNATO軍に増派を要求しているが、英国やドイツでも反戦世論が高まるなど、NATO諸国はこれ以上の自国軍増派におおむね否定的である(後注参照)。アフガンがすでに「オバマのベトナム」と化していることは、もはや誰の目にも明らかである。
 ※ 注英ブラウン首相は10月14日、現在約9000人を派遣しているアフガンに約500人を増派する方針を示したが、「他のNATO加盟国が応分の負担を分かち合う」ことを増派の条件にした。しかしフランスのサルコジ大統領は同月15日、仏軍の増派を検討していないとのべた。ちなみにISAFはアフガンに6万4000人を派遣している。
同日付英紙タイムズによると、イタリアの情報機関は首都カブール東のサロビ地区に駐留していた同国軍への攻撃を差し控える見返りに、数万ドルをタリバーンなど武装勢力に支払い、実際に効果を上げたという。このような買収は米軍もイラクでやっているが、イタリア側が2008年8月に同地区の治安担当を引き継いだフランスに買収工作を伝えなかったため、仏軍は治安状況を誤認し、同月、武装勢力の待ち伏せで一挙に10人を失った。
 しかも米国で「AFPAK(アフパック)戦域」という言葉が使用されていることに示されるように、米軍はパキスタン北西部(部族地域)を無人攻撃機プレデター(後注参照)で越境攻撃している。
〈ロイター通信によると、アフガン側の基地から飛び立ったとみられる無人機による攻撃は、オバマ政権が発足した1月20日以降の9カ月足らずで39件に上り、政権発足前の1年間の33件を上回った。しかも、この1年間はブッシュ前政権下で最も無人機攻撃が多かった時期だ。10月15日にもパキスタン北西部への攻撃で4人が死亡した。/攻撃のほとんどは、反米・反政府武装組織が潜むアフガン国境沿いの部族地域が対象。8月にはパキスタン・タリバーン運動の司令官を殺害するなど「戦果」も挙げたが、被害を分析している民間ウェブサイトは今年1月から9月までの死者447人のうち、43人は一般市民だったと指摘した。〉(10月16日付『朝日新聞』)
プレデターは女性や子どもも殺している。しかも攻撃は部族地域の南に位置するアフガンとの国境沿いのバルチスタン州にも広がる気配である。オバマ政権はパキスタン攻撃を拡大しようとしているのだ。それゆえ筆者は今後、《アフガン・パキスタン侵略戦争》という言葉を用いたい。アフガン侵略もパキスタン攻撃も明白な国際法違反であるが、オバマの「対テロ戦争」がブッシュ前大統領のそれを継承するものであることを改めて確認したい。そのブッシュはアフガン侵略に際してこう語ったという(発言は油井大三郎著『好戦の共和国 アメリカ』〔岩波新書〕からの筆者の孫引き。出典は米国の著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード著『ブッシュの戦争』〔日本経済新聞社〕)。
 〈国民は9・11同時テロの残虐さを理解した。しかし、戦いがどれほど長期にわたるか、どのような困難な道のりになるかを理解しているようには思えなかった。〉
 実際、「戦い」は長期化し、そのままオバマに引き継がれた。オバマは「ブッシュの戦争」を継承し、米軍の増派を重ねつつある。
 ※ 注プレデター(predator、捕食者・略奪者・肉食動物の意)遠隔操縦で飛行する無人飛行機。偵察目的で開発されたが、パキスタンではヘルファイアミサイル搭載の武装型が使われているので、ここでは無人攻撃機とした。なおプレデターへのミサイル搭載は悪名高い民間軍事会社ブラックウォーターUSA(Xe サービシーズLLCと改名)が請け負っている。
 オバマ大統領の侵略政策について、ここでもう一つ重要な事実をつけ加えたい。米特殊部隊は9月14日、アフリカ東部ソマリア南部でヘリコプターによる秘密作戦を実施した。この作戦についてコープ元米国防次官補は『東京新聞』に「01年の米同時テロを受けたソマリアでの(テロ容疑者掃討)作戦は自衛行為であり、完全に合法的だ」と強調したという(10月7日付『東京新聞』)。これまでも米軍はソマリア南部をミサイルで攻撃してきた。コープの言い分によれば〈9・11〉にかかわっていると推定されれば、どの国への攻撃も「自衛行為であり、完全に合法的」ということになる。オバマはこういう軍事行動も認めているのである。
 《アフガン・パキスタン侵略戦争》の政治目的は、アルカイーダが態勢を立て直し、核を手に入れて米国を攻撃することができないようにすることだ。『ニューズウィーク日本版』10月21日号に興味深い記事がある(「増派か撤退か、それが問題だ」)。10月6日にニューヨーク大学で「アメリカはアフガニスタンとパキスタンで成功できない」という討論テーマをめぐって、6人の国防、情報、外交分野のべテランやシンクタンクの専門家が行なったディベート形式の討論会の報告記事である。それから2人の発言を紹介する。
 ▼テロリストの攻撃から私たちの身を守るために必要なのは、パキスタンとアフガニスタンの国内にある拠点の協力体制だ。(それさえあれば)必ずしも国全体を安定化させなくてもいい。(「成功できる派」、ジェームズ・シン、前アジア担当国防次官補)
 ▼アフガニスタンの大半を誰が支配しようと、本当はどうでもいい。大切なのは、アフガニスタンをアメリカに対するテロ攻撃の拠点に使いかねない連中の動きを封じることだ。私たちは平均的なアフガン人の生活改善について考えるのをやめるべきだ。考えるのはアメリカ人を守ること、それ以外は必要ない。(「成功できない派」、パトリック・ラング、軍事情報機関出身の退役陸軍大佐)
 「成功できる派」も「成功できない派」も、アメリカ人をテロリスト攻撃から守ることを至上の戦争目的とし、アフガンの安定やアフガン人の生活改善などはどうでもいいのだ。   

◆侵略者オバマがノーベル平和賞を受賞
 オバマがノーベル平和賞を受賞したことは、キッシンジャーや佐藤栄作の受賞同様、同賞がいかにいい加減なものであるかをまたも実証したが、授章は選考委員会が「核兵器なき世界」の実現に向けたオバマの構想と努力を特に高く評価したためであるというから、オバマのプラハ演説(本年4月7日)が有力な根拠であることは間違いない。
 同演説については本シリーズの「反戦の視点・その86」で解説したのでそれを参照してほしいが、オバマは演説で核軍縮に触れてはいても、演説の核心はあくまで核不拡散である。オバマはそれを「対テロ戦争」戦略の一環として位置づけ、こう語った。  
 〈最後に、私たちは、テロリストが決して核兵器を入手することがないようにしなければなりません。これは、世界の安全保障に対する、最も差し迫った、かつ最大の脅威です。1人のテロリストが核兵器を持てば、膨大な破壊力を発揮することができます。アルカイダは、核爆弾の入手を目指す、そしてためらうことなくそれを使う、と言っています。そして、管理が不十分な核物質が世界各地に存在することが分かっています。国民を守るためには、直ちに、目的意識を持って行動しなければなりません。〉
 旧ソ連解体の際、国外に流出した核物質やパキスタンの核兵器がアルカイーダなどの手に渡り、それで米国本土が再度攻撃されるのを防止したい、そのために世界は核不拡散に協力せよとオバマは主張しているのである。演説でオバマは同盟国を米国の「核の傘」で防衛することも強調しているし、米ロ間の核軍縮も核戦略に支障を来さない範囲での話である。彼のいう「核のない世界」はどこまでもリップサービスにすぎない。オバマの受賞自体、実に醜悪な茶番であるが、彼の受賞を奇貨として広島・長崎の市長が五輪候補地に名乗りをあげたことにはいうべき言葉がない。秋葉広島市長は8月6日の広島市平和宣言で「オバマジョリティ」(オバマを支持する多数派)であろうと呼びかけたが、《アフガン・パキスタン侵略戦争》を続行するオバマのプラハ演説から都合のいい部分だけつまみ食いする姿勢はどうだろうか。
 日豪両国の呼びかけで発足した賢人会議「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」は今月、広島での最終会合で、米国に対し、核兵器の「唯一の目的」を核戦争阻止に限定し、核の役割を低下させる新核戦略を採用するよう促す勧告を盛り込んだ報告書をまとめる予定だが、同委員会共同議長の川口順子元外相や元外務相高官ら日本側委員は安全保障上の「諸条件」が整わない中でのオバマ大統領への勧告に異論を表明しているという(9月14日付『共同通信』)。北朝鮮の生物・化学兵器による攻撃に対する核抑止力を堅持したいというのだが、5月に来日した同委員会共同議長、エバンズ・元豪外相は「核廃絶を訴えながら、一方で核兵器が大好きと言っていては世界に説明がつかない」と民主党岡田幹事長(当時)らに語ったという(同)。
 米国の「核の傘」に依存しながら核軍縮を主張する資格があるのかとは筆者の主張でもある。五輪誘致に際してあの石原都知事も突如「平和」を口にしたが、「核の傘」に守られた「平和の祭典」誘致は被爆地の市長が語ることではあるまい。

◆鳩山連立政権のアフガン政策
 岡田外相は10月11日、アフガニスタンを初めて訪問し、カルザイ大統領らと会談した。来年1月に終わる〈はず〉の海上自衛隊によるインド洋での米軍・パキスタン軍などへの洋上給油兵站作戦について、岡田外相ら政府首脳は「単純延長はしない」と繰り返しているが、これは「単純でない延長」はありえるという意味を含んでいる。
〈海自撤収に理解=米高官
 長島昭久防衛政務官は10月14日、米国防総省などでフロノイ国防次官(政策担当)、ジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)らと相次いで会談した。長島氏は海上自衛隊によるインド洋での給油活動について、新テロ対策特別措置法の来年1月15日の期限切れに伴い、派遣部隊を一時撤収する方向で調整していることを伝達。米側は「(継続の是非は)日本側が決めることだ」と理解を示した。〉(10月15日付『時事通信』)
 警戒すべきである。たとえ来年1月、海上自衛隊の輸送艦隊がひとたびは帰還しても、洋上給油が再開されることはありえるのだ。その前提に立って米国政府側が一時撤収に「理解を示している」と推察してもうがちすぎではあるまい。
ところで、岡田外相の発言を追ってみると、彼は洋上給油問題とアフガン復興とを切り離そうとしている。米国政府が盛んに、給油をやめるなら代替策を示せと迫っているからである。そして彼は普天間代替基地の移転問題をアフガン復興と「パッケージ」にしようと考えている。
〈アフガン支援強化で普天間譲歩を パッケージが「理想」と岡田外相
 カンボジア訪問中の岡田克也外相は10月3日、インド洋での給油活動に代わるアフガニスタン支援を強化することで、米軍普天間飛行場移設問題について米側の譲歩を得たいとの考えを同行記者団に示唆した。アフガン支援と普天間問題のパッケージが「理想だ」と指摘。11月のオバマ米大統領の訪日までに代替案の取りまとめを急ぐ考えを強調した。/アフガン支援で米側が自衛隊派遣を希望しているとの見方を示した上で「どこまでそれに配慮するか、情報を集めないといけない」と述べた。〉(10月3日付『共同通信』)
 洋上給油はブッシュ前大統領の歓心を買うため小泉首相(当時)が強引に始めたことであるから、鳩山連立政権が洋上給油の代替案を拒否するのは当然だが、県外移設とアフガン復興を「パッケージ」にするのはおかしい。2つの問題はそもそも関連のない別個の問題である。それらを強引に一組にして取引の材料にする根拠がどこにあるのか。「沖縄の負担軽減」を掲げるなら、普天間基地は即時閉鎖し撤去させればいい。それはアフガン復興とは何の関係もないことだ。
 〈カルザイ大統領らとの会談で岡田外相は新たな支援策としてタリバーンの元兵士らに対する職業訓練プログラムの実施を打診、カルザイ大統領らは歓迎する意向を表明した。さらに大統領は教育、農業、電力などのインフラ支援の拡大にも期待感を表明し、スパンタ外相は日本が行なっている警察官の給料負担を続けるよう求めたという。〉(10月12日付『朝日新聞』)。
 日本政府によるこれまでのアフガンへの主な支援は、復興支援が825億円(学校建設・整備など・インフラ整備・農業インフラ整備など)、統治支援222億円(行政経費支援・選挙支援)、治安改善324億円(元兵士の武装解除など・警察支援・地雷対策)である。これらの「支援」が戦火で荒廃したアフガニスタンの復興と民生の安定に具体的にどう役立っているのか、外務省のホームページをみてもさっぱりわからない。わかっているのは治安状況がすさまじく悪化しているため、軍事力を後ろ盾にしないとどんな支援活動も実施できないということだ。アフガニスタンは米軍とISAFがタリバーン掃討作戦を続ける戦場である。殺戮と破壊が続く中でどのような復興が考えられるというのか。
 同国で復興をになっているとされているのは、米軍ないしISAFが率いる「地方(地域)復興チーム」(PRT)であるが、活動の実態は治安維持のための宣撫(せんぶ)工作である。PRTに頼ればタリバーンから侵略軍への協力者とみなされるから、PRTは民衆が安心して支援を受けられる組織とはいえない。
 先の衆院選に向けた民主党のマニフェストは「テロとその温床を除去するため、NGOとも連携しつつ、経済的支援、統治機構の強化、人道復興支援活動等の実施を検討し、「貧困の根絶」と「国家の再建」に役割を果たす。」としていたが、日本政府がなしえる貢献は、米軍とISAFがアフガンから撤退するよう進言することだ。汚職が蔓延している腐敗したカルザイ傀儡(操り人形)政権に「復興」を名目に資金を提供しても、その金はほとんど政権の高官とその一族のふところに流れ込んでしまう。「テロとその温床」は米国など外国の侵略軍が産み出しているのだから、侵略軍の撤退こそ、アフガンの民衆自身による復興の糸口である。

◆小沢・鳩山民主党を厳しく監視し、声をあげよう!
オバマが「ブッシュの戦争」を継承したように、小沢・鳩山民主党が自公連立政権のアフガン侵略加担政策を引き継ぐ兆候はすでに表われている。政権交代は革新が保守に代わったのではなく、第2自民党(新保守)が第1自民党(旧保守)に代わったのであり、これは一種の「保守再編」である。民主党が社民党・国民新党と連立を組んだのは、同党が参院で過半数を占めていないからにすぎない。鳩山首相は改憲をあきらめていない。彼は衆院選の結果を踏まえた組閣の過程においてさえ改憲に言及しているのだ。
 〈鳩山代表:地方分権で改憲必要との認識示す
 民主党の鳩山由紀夫代表は9月12日放送のラジオ番組で、憲法改正に関し「憲法の平和主義、人権は当たり前だが、だからといって後生大事に憲法を一言一句変えてはいけないという発想はおかしい」と述べ、地方分権の観点から改正は必要との認識を示した。/鳩山氏は地方分権について「国が地域をコントロールして補助金漬けにする世の中では自立できない」と指摘。05年に発表した改憲試案に触れ「こういうものの道筋をつけることが大事だ」と強調した。鳩山氏の試案は、国と地方の役割分担を明確にするため、基礎自治体として「市」、広域自治体に「圏」を設置する改正などを提言している。〉(9月12日付『毎日新聞』)
 来年の参院選で民主党が過半数の議席を獲得した場合、この国の政治体制は民主党独裁へと変質する危険性が大きい。その体制下で、かつてのように自民党との大連立が図られれば改憲は一気に近づく。私たちは民主党が改憲を党是としており、財界が9条改憲を切望していることを常に念頭に置くべきである。
 政治的想像力を最大限駆使して、現政権を厳しく監視し、一見「前向き」に見える諸施策にはらまれる危険な芽を摘出し、反戦・反改憲の声をあげつづけようではないか。

【付記】
 《アフガン・パキスタン侵略戦争》が対テロ戦争であることは確かだが、戦争目的を資源・エネルギー戦略の面から考察することも必要である。米石油資本・ユノカルはかつてカスピ海地域の石油をアフガニスタンを縦断してアラビア海に面するパキスタンの港に輸送するパイプライン建設計画を立てたが、タリバーンとの交渉がうまくいかず、計画は頓挫した。
 最近の動向に少し触れると、駐日アフガニスタン大使館は「エメラルドやルビーのような宝石はもちろん、銅、鉄、金、石油とガス、そして石炭のかなりの規模の鉱床がほとんど手つかずになっている」と宣伝している。アフガン南部ヘルマンド州にはウランが埋蔵されているとも言う。外資導入を狙った広報活動には違いないが、すでに動き出しているプロジェクトもある。
 中国企業は、かつてソ連地質機関によって発見された、首都カブール南東35キロにあるAynak銅鉱床プロジェクトをインフラ整備を条件に入札で落札した。中国と日本は銅鉱石の2大輸入国であり、同プロジェクトが実現すれば、中国の資源確保に貢献する。その意味では参戦していない中国にとってもアフガンの治安維持が課題であるということだ。本稿はそのようなハイエナどもの資源・エネルギー戦略に触れていない。下のサイトを参照してほしい。

 ○VIRTUAL 金属資源情報センター
   http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/09_45.html
 ○駐日アフガニスタン大使館
   http://www.afghanembassyjp.com/jp/news/1397


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