日本は、世界有数の長寿国となり、「人生100年時代」を迎えた日本で問題になるのが、長生きするほど高まる認知症のリスクだ。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるという予測もある。
認知症の予防法としてよく知られるのが、脳の覚醒で、頭をよく働かせることなのだ。その鍵になるのが「朝の過ごし方」と言われている。
朝は7時台にすっきりと目覚めて、9時には脳の働きをピークに持っていくことがポイント。朝の時間帯に速やかに脳を覚醒させることで、脳が活性化し、日中のパフォーマンスが変わってくる。
睡眠から覚醒へと切り替える五感のスイッチを同時にオンにできるのは、朝、目覚めてからしばらくの間だ。 ポイントは、朝に脳の覚醒度を上げると、夜に脳がしっかり休息モードとなること。 つまり朝を制することで、24時間、好循環が生まれる。
「脳が覚醒している」とは、目が覚めているだけでなく意識や感覚がしっかり働いて、脳と身体が活発に活動できる状態を言う。朝の時間帯にお気に入りのラジオ番組を聴く習慣をつけると、テレビと違い、視覚情報がないラジオは聴覚を刺激するのにうってつけだそうだ。
朝日を浴びて外気に触れる朝散歩は、非常におすすめの朝習慣だ。その際、聴覚も刺激するために、周囲の音に注意を向けて、静かな時間だからこそ、鳥のさえずりや、周囲の物音、その日ならではの発見があったり、散歩の楽しさもアップする。
そして、朝片づけでスッキリ 片づけは寝起きのぼんやり脳を覚醒させる最適アクション。
声を出すことで、話したり伝えたりするときに働く脳の部位を活性化する。新聞のコラム、今日やりたいことなど、内容はなんでも良いので、 声に出したほうが視覚、聴覚が鍛えられ脳への刺激になる音読がおすすめだ。
睡眠中は顔の筋肉がほとんど動いていないため、笑顔をつくる動作は表情筋の運動になるほか、「今日は昨日より口角が下がっているかな」と、表情を注意深く見ることで視覚を働かせる効果もあるので、鏡を見てにっこり笑う 。
朝のシャワーは、皮膚を刺激し、自律神経を休息モードの副交感神経から活動モードの交感神経優位に切り替える有効な方法だ。
離れて暮らす親への定期連絡も、朝にすれば認知症予防になる。しゃべることで“伝える”脳が働き、さらに姿が見えない相手の状況を想像することで、“想像する”脳を活性化、話を聞くため聴覚も刺激される。
LINEの返信は朝にして、 1日の始まりに返信内容を考えて頭を働かせることは、記憶力のアップにもつながる。
ToDoリストを作って、1日の活動を始める前に、スケジュールを思い浮かべ、やることを決めておくことで、脳の活性化スイッチが入る。ToDoリストは箇条書きにして、字を書くなど指先を使った作業は末端まで神経が刺激され、さらにやり終えたことに線を引くなどして消していけば達成感も得られる。
朝のルーティンに、簡単な運動を1つ組み込む。 毎朝なんらかの体操を習慣として、無理なく続けられることが大切だ。
朝食には、柑橘系の果物や、プルーンなどのドライフルーツを添えると、甘さと噛み応えが脳を目覚めさせてくれる。 柑橘類は、幸福度をアップさせてくれるという研究結果もある。
本来、心身が健康な状態とは、『生きていて楽しい!』と思えることだ。その感覚を取り戻すことも、認知症予防になる。日中の脳の覚醒度が高いと、ポジティブな状態で過ごすことができるので、朝活は重要だ。