細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『堕ちて来た女』は、リタイアしたフィリップ・マーロウ別伝。

2021年07月16日 | Weblog
●7月15日(木)20-30 ニコタマ・サンセット傑作座
OV-67-36『転落してきた女』"One Shue Makes It Murder" (1989) Rolimer Productions, 
製作・ジョン・ファーラー 監督・ウィリアム・へイル 主演・ロバート・ミッチャム、アンジー・ディキンスン<92分・ビスタサイズ・VHSテープ>
あのオードリー・ヘプバーンとメル・ファーラーの息子のジョンが、父と共にプロデューサーとなって製作した、テレビ映画の珍品ミステリー。
当然のように、メル・ファーラーが出演していて、探偵をリタイアしていた旧友のフィリップ・マーロウを、保養地レイク・タホの別荘に呼びつけたのだ。
依頼要件というのが、別荘の所有者で富豪のメルの愛妻が失踪していて、事件性はないが、どこに消えたか,5万ドル報酬で探してくれ・・・という。
さっそく古巣のロスに戻り、ビバリーヒルズの高層アパート最上階にいた失踪妻を発見して、メルに下の公衆電話から連絡していたら、ビルの上から女性が降って来た。
転落死したのは、その数分前に話ししていたメルのワイフで、墜死した片足のハイヒールは脱げていて、現場には見当たらない。
市警の刑事と、また最上階に戻ると、ベランダに、そのハイヒールの片方が落ちていたので、これは自殺ではなく、殺人事件だ、とマーロウは断言したのだ。
もし、自殺なら、両方のハイヒールを脱ぐが、片方だけベランダに残っているのは「殺人事件だろう・・」と、マーロウは不審な刑事に諭し、メルにも通報した。
という導入で、さっそく失踪事件ではなくて、マーロウお得意の殺人事件として捜査することになったのだ。
地下の駐車場には、彼女の白いロールスのオープンカーがあり、駐車係をメルの電話で代わってもらい、またも老探偵はレイク・タホの主人のメルの別荘に戻る。
ジェームズ・カーンがマーロウ探偵を演じた「プードルスプリング」も、どうも陽光燦々の美しい保養地が背景では、あのダークな夜のビル裏道のマーロウ探偵の気分が出ない。
とはいえ、あの「さらば愛しき女よ」で、当たり役のロバート・ミッチャムが探偵マーロウを演じているのだから、・・あのドスの効いた、ミッチャムの声。
風光明媚なタホ湖で、トレンチコートなしのマーロウでも、文句を言ったらバチが当たる・・という、貴重な珍品、でもある。

■さすがは老練の左中間へのゴロで抜けるツーベース。 ★★★☆☆☆
●もしかしたら、VHSで見つかる・・かも。