細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『SING*シング』のアグレッシブな歌手根性にはウルウルしてしまう。

2017年03月09日 | Weblog

3月2日(木)10-00 半蔵門<東宝東和試写室>

M-026『SING/シング』(2016) Universal Studios / Illumination Presents 

監督・脚本・ガース・ジェニングス 声・マシュー・マコノヒー、スカーレット・ヨハンソン <108分・ビスタサイズ>配給・東宝東和

「ミニオンズ」や「怪盗グルー」などのシリーズ・アニメの人気で、あのディズニー・スタジオとは、まったく別のアングルで人気のある<イルミネーション>の新作。

時代の流れで、とうとう倒産してビルも解体の悲運の劇場主が、ラスト・ショーとして、近所に住む人々<みんな動物>の賞金つき素人のど自慢大会を企画した。 

もともとはシャイな連中なのだが、近所に住む住人たちが、この賞金狙いのショウにでることになったのも、間違って高額な賞金額をプリントしたチラシをバラまいたためだ。

それぞれにワケありで出場することになった連中は、度胸だけはやけっぱちなコアラのマシュー・マコノヒーが司会する<ぶっつけ本番>のコンテストに出場することになったのが、騒動のはじまり。

エントリーしたのは、ギャングの一人息子の小心ゴリラがサム・スミスの唄を唄い、失恋したヤマアラシのブスな娘はカーリー・レイ・ジェブセンのパンクロックを熱唱。

主婦のブタはテイラー・スウィフトを唄い、小心なブタの娘はレディ・ガガの<バッド・ロマンス>を唄うという、そのキャラと選曲が愉快で、唄うパフォーマンスも実に素晴らしい。

圧巻は小心で人前にも出られないゾウの娘が、突然、発狂したようにスティービー・ワンダーの<ドント・ウォーリー・バウト・ミー>を絶唱するシーンで、これには不思議な感動をしてしまった。

唄と歌詞と、彼らの生活状況のピンチもあるが、やはりマイナーな動物たちが、ここで発揮する想定外のパフォーマンスは、まさにアニメーションだからこそ可能な意外性だろう。

マイケル・ジャクソン、ビートルズ、エルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ、ビヨンセ、アリアナ・グランデ・・・などすごいメンバーながら、当方はシナトラの「マイ・ウェイ」に満逸。

よけいなドラマ性は裏話にして、とにかく豪華なスーパー・タレントの唄を、フルコーラスで聞かせたという、その企画力と度胸には、ある種、音楽ファンには感動ものなのだ。

「モアナ」のディズニーのいいが、この「ミニオンズ」根性のイルミネーション・グループの発想と表現力には、もともとマイナーな逆転発想力とテクニックがあり、この傑作に結集させた。

昔から、よくある「劇場復活」のストーリーも、あのジム・キャリーの傑作「マジェスティック」の流れだが、これだけの個性的な動物たちの熱唱を見ていると、拍手せずにはいられない。

 

■左中間の当たりが、意外にのびてスタンドイン。 ★★★★+

●3月17日より、東宝洋画系ロードショー