事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ラスベガスをぶっつぶせ」 21 (2008 ソニー)

2009-03-20 | 洋画

21photo 製作:ケヴィン・スペイシー 監督:ロバート・スケティック
出演:ジム・スタージェス ケイト・ボスワース ローレンス・フィッシュバーン ケヴィン・スペイシー

ブラックジャックが元ネタになり、カジノから大金をまきあげるストーリー……面白そうじゃん。“カウント”と呼ばれる方法でフダを類推するのが数学的才能にあふれていないと無理、という理屈はわかる。観客も早々に「オレにはできねー」とギブアップするだろうし(もちろんわたしは他人ごとで見ていました)。

しかしケヴィン・スペイシーの教授の意図するものがどうにもわからないので(金だけとは思えないのだ。彼の授業はかなり魅力的)すっきりしない。予想以上にみごとなエンディングなのに、カタルシスがあまり感じられないのはそのせいか。

わたし、時間があると携帯にしこんであるブラックジャックばかりやってます☆☆★★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「死神の精度」(2008 ワーナー)

2009-03-19 | 邦画

Sweetrain01 金城武のセリフがよく聴き取れないものだから字幕付きで鑑賞。声の質が彼の弱点かな。でもルックスは死神っぽくていい(笑)。“ミュージック”に耽溺するあたりのおかしみはもう一歩だったけれど。

小西真奈美は暗くて地味ぃな役の方がいいことはわかった。でも富司純子との、一種のコラボがうまくいっていたかというと……あの主題歌がヒットすれば展開は様変わりし、ワーナーも日テレもSMEも喜んだことと思う。残念。

伊坂幸太郎の映画化はやはり中村義洋にまかせた方がいいのでは?☆☆☆

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ラスト、コーション」Lust,Caution 『色・戒』(2007 台湾=米)

2009-03-18 | 洋画

Lust_caution ハリウッドを経過したことで、むしろアン・リーの映画は深みを増したかに見える。圧倒的なセットと美しい画面、それらから発生する濃密な空気感のようなものに感服。

アクロバティックなセックスで評判。でも意外におとなしいじゃないかと余計なことも。トニー・レオンは“妻にだけは従順な色悪”を魅力的に演じている。「笑っていいとも」にレッド・クリフがらみで出演したときは、あきれるほどオーラがなかったらしいけど(^o^)

死が目前に感じられるからこそ、男女が性を追及するテーマは「愛の嵐」「愛のコリーダ」などでおなじみ。女優に魅力が感じられないと写真では思っていたけれど、オトナの恋愛のやり取りを知らないままにセックスを教えこまれる、という設定なのだからそれでよかったわけだ。

題名は「最後の警告」じゃなかったんだね☆☆☆☆

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「独断流『読書』必勝法」 清水義範+西原理恵子

2009-03-17 | 本と雑誌

06214057 世界の名作のあらすじをキチンと語る、それだけでもかなりの力業であり、清水はそのあたり本当にうまい。現代から見た批判にとどまらず、なぜ当時こんな描き方になったのかまで、ちゃんと気が配ってある。

古典が苦手のわたしですら「谷間の百合」を読んでみようって気にちゃんとなりましたもの。

その気配りをサイバラは徹底して破壊するわけだけど(笑)☆☆☆★★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「オリンピックの身代金」 奥田英朗著 角川書店

2009-03-16 | ミステリ

51pzjt3y8ol かつて日本海側が裏日本と呼ばれていた時代(今もそう思っている人は多いんだと思う)。オリンピックを目前にした東京は“外国人たちに恥ずかしい姿を見せないために”急速に戦後から脱却しようとしていた。しかしその復興を支えていた出稼ぎ労働者たちは、重機よりも安い存在として使い捨てられていた……

今年のベストワンもう決定。ストレートをど真ん中に投げ込んだ奥田英朗の心意気がいいし、和製「ジャッカルの日」などという範疇をはるかに超えたできばえ。

東京オリンピックと名乗りながら、実は日本オリンピックであり、その希望の影にあった都市と田舎の差に義憤を感じるという犯人の動機がすばらしい。安っぽい政治テロとはスタート地点からして違っているのだ。

前半の秋田の描写があまりにも屈辱的なので、東北人は読まない方がいいかも(笑)。光の象徴に都心に生まれ育ったテレビ局勤務のキャリア官僚の息子をすえ、影の象徴に貧村に生まれ、誰の子かわからないと陰口をたたかれるテロリスト。

東大に入る学力があったことで、かろうじて貧困を脱却できる機会を得たことに甘んじることができない……こんな彼に感情移入できないはずがない。疑似親子であった相棒の、ラストの慟哭に泣けない人もいないはず。必読!

装幀にも注目。そう来たかぁ☆☆☆☆★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「青春少年マガジン」 小林まこと著 講談社

2009-03-15 | アニメ・コミック・ゲーム

Seishunnshonennmagazine 70年代後半から80年代初めにかけて……つまりわたしがいちばん少年マンガに熱中していたころ、描き手の側ではこんなドラマがあったのか。“ボロボロ泣きながら描いた”という小林のコピーがうなずける悲惨さ。

世間知らずで(なにしろ印税という存在を彼らは知らなかったのだ)、しかし常に人恋しい新人漫画家たちの熱情は、病や自死という形で終息する。小野新二や大和田夏希の死はわたしにとってもショックだった。

小林が「1、2の三四郎」以後、マイケルや柔道部物語で生きのびたことがどれだけの幸運か……。作者急病のため、というフレーズに隠された地獄を、わたしたちは常に知らないふりをして少年マンガを楽しんできたわけだ。

舞台裏をあえてさらす連載を引き受けた少年マガジンの度量は、ジャンプやサンデーよりもずっと“文学的”だったマガジンらしい。必読。三四郎のいつものメンバーがそろった「格闘探偵団」も笑えます。この本を持ってきてくれた書店員が小林フリークだったので紹介してもらいました。商売上手。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「週刊新潮が報じたスキャンダル戦後史」週刊新潮編集部 新潮文庫

2009-03-15 | 本と雑誌

131004 週刊新潮とほぼ同時に生まれたわたしでありながら、このなかで報じられているスキャンダル、ほぼ完全に把握していたぞ。「噂の真相」を長く購読し、別冊宝島もダークな方面のものを漁っていたわたしにとっては、薄味とすら。心臓移植がらみで渡辺淳一という青年医師がとんでもないコメントをしていたのには笑いましたが。

もっとも、リアルタイムでこれらを報じていたあたりの重みは感じなければならないのだろう。にしても、この30年で週刊誌の文体はほとんど進歩していないんだねえ。

斎藤十一への言及がほとんどないのはなぜ?☆☆☆

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「イーグル・アイ」Eagle Eye (2008 ドリームワークス)

2009-03-14 | 洋画

Eagleeyeposter 製作:スティーブン・スピルバーグ 監督:D.J.カルーソー
出演:シャイア・ラブーフ ビリー・ボブ・ソーントン ミシェル・モナハン

「私の言うとおりにしなさい さもないと死ぬことになる」突然かかってきた1本の電話。その瞬間から、コピーショップの店員ジェリーと、法律事務所で事務係として働くシングルマザーのレイチェルの平凡な生活は一変する。

拾いもの。シャイア・ラブーフが主演であんな予告編だからきっとそれなりの出来で……なんて考えていたのが間違いだった。同じカルーソー&ラブーフの「ディスタービア」を先に観たのでなめてたのかも。

展開の速さは予想以上。「えーと」と観客がまごついている間にどんどこストーリーは進む。まきこまれ型ヒーローの場合、そろそろ観念しろよと観客の方がイライラするのが常なので、このスピードはなかなかの快感。

これだけの陰謀を達成できる組織は、さすがのアメリカにもひとつしかない……ってことは既にタイトルで暗示されていたのでした(“”の目は単数形だし)。なるほど、なるほど。

「テロリストになるには時期が悪かったな。新聞を読め」

セリフの切れもいい。劇場で観ればよかった☆☆☆★★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「いつか読書する日」(2004 スローラーナー)

2009-03-14 | 邦画

1526551 監督 : 緒方明
出演 : 田中裕子 、 岸部一徳 、 仁科亜季子 、 渡辺美佐子

三十年以上も、お互いを意識しながらも言葉をかわさなかった50歳の男女。

「今までしたいと思ってたこと、したい。」

全部して。」

艶っぽいセリフはこのくらいの年齢にならないと。とにかく名セリフ満載で、タイトルどおり、かなり文学寄りの仕立てになっている。

「(牛乳配達は)あたしの生きがいだもん。できれば町中の人に配りたい」

「絶対に平凡に生きてみせるって決めたんだ」

「50から85(歳)までって、長いですか」
長いよ

……神津はづき杉本哲太の夫婦、ジュリーの奥さんとサリーが共演という、なんかほんとに中高年にはたまらない映画なのでした。もうちょっとわかりにくい、淡彩な演出にしたら後世に残ったろうに。

それにしても「カラマーゾフの兄弟」、「狂人日記」(色川武大版)、あふれるほどのポケミスなど、主人公の女性の蔵書は趣味がいい。確かに50才からの人生は長い。でも、読書することで、少しは充たされるのかもしれない。

岸部一徳は47年生まれ。田中裕子は55年生まれ。彼らの演技のピークかも、と思えるほどの名演。ちょっと、凄い。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古畑任三郎を全部観る Vol.38「すべて閣下の仕業」PART2

2009-03-13 | テレビ番組

Tanakayoji03 「すべて閣下の仕業」PART1はこちら

大使というのは不遜なもの、というパブリックイメージが確立したのは96年に起こったペルー大使館占拠事件からだろうか。

フジモリ大統領が日本の要請に反して特殊部隊に突撃を命じ、なんとか終息したあの事件のあと、当時の青木大使は喫煙しながら記者の質問に答えたことでバッシングをうけた。テロリストが大使館を襲撃したときに行われていたのが『天皇誕生日祝賀レセプション』で、それはそれは豪勢なパーティだったこともバッシングに拍車をかけたのだ。税金で何をやってるんだ、って感じ。

“閣下”の発想は、だから外交官として真っ当なのだろう。赴任地の国情などに心を動かさず、自ら(=日本)の威容を見せつけて、なめられないことが肝要、というわけだ。良心的な大使館員である及川光博は、その意味で残念なことに外交官失格。閣下の方は人間失格ってことだけど。

さて、娘(松たか子)、息子(市川染五郎)につづいて父親まで殺人犯となった極悪一家(笑)は、同時にすっかり三谷ファミリー。あ、松たか子は殺してないか。でもこの回には他にもいい役者がたくさん出ている。まずは、やることがないことにいらつき、夫の不正に気づきながらも無邪気なふりをしている夫人役の三田和代がすばらしい。この人はコピーの三田の社長令嬢だったわけだし、わがままぶりはお手の物かも。倒産したときは弟の三田誠広といっしょに苦労しただろうが。

そして、世捨て人として閣下に付き従う医官役が津川雅彦。自らのキャリアに絶望しながら、だからこそ閣下の未来に希望を託し、そして裏切られる男を「古い友人に会う」につづいてみごとに演じている。

が、なんと言っても今回はガルベスくん役の田中要次!閣下と彼との共通点がミステリとしてのキーポイントだけれど、「HERO」で一躍有名になった彼の起用こそがドラマの醍醐味。日本人が、日本のテレビドラマを、日本人のキャストで観るということの落とし穴がここに用意してある。

第39話「今、甦る死」につづく。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする