事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

龍馬伝~第33話「亀山社中の大仕事」

2010-08-15 | テレビ番組

Aoiyu06 32話「狙われた龍馬」はこちら

前回の視聴率は16.7%。こんな数字で全体の3位なのである。いかに地上波から視聴者が逃げているかがわかろうというものだ。だからどちらかというと年長者向けの番組が上位に来ている。

でも「ゲゲゲの女房」の21.3%は立派かも。帰省先ではこんな会話が繰り広げられているんだろう。

「お義母さん、ゲゲゲって泣けるんですねー」
「あら、朋子さん(仮名)知らなかったの?」
「だいたい午前8時からやってるなんて初めて知りました」
「朋子さんはもうお勤めに向かってる時間ですもんね。ヒロシ(仮名)の朝ごはんは大丈夫なんでしょうね!?」
「……」
長男の嫁が陰でガッツポーズ、とか。

今回は商売まっしぐら。だからこそわかりやすい回だったとも言える。龍馬の手紙に桂小五郎(谷原章介)が「井上(聞多)、金を用意しろ」と命じ、西郷隆盛(高橋克実)は静かに考えこむ。わかりやすい。ここに三菱の創始者である岩崎弥太郎がからむとわけわかんなくなるので今回は出番なし。わかりやすい。

お偉いさんの話だけだとドラマとして生きないだろう、と福田靖脚本は長崎の遊技お元(蒼井優)が隠れキリシタンであることと、龍馬が共に秘密を抱えている事情を商売にからめる。ぶっちゃけ、「もう隠していることは何もない」とうち明ける龍馬の手法は、もっと資本主義が成熟してから機能するのだろうけれども。大友啓史演出は、いつもながらかなりあざといのでちょっとしんどい。でも、龍馬とお元のやり取りのなかで、蒼井優のきわどいぐらいの美しい表情も(一瞬だけ)切り取って見せていた。

ここはしみじみと思う。商売が政治を先導するのだとしても、その裏では政治が商売自体を踏みつぶすことが始まったのが維新ではなかったか。いやいややってたかそれ以前も。次回は、いちばん死んでほしくなかった人間が死ぬ。「新選組!」で、わたしたちが泣かされたパターンか。

今回の視聴率はそれでも18%と予想。
「お義母さん、朋子さん(仮名)も悪い人じゃないんですから」と邪悪な笑いを浮かべながら長男の嫁も見ていると読みました。

第34話「侍、長次郎」につづく

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港座通信~「私を野球につれてって」Take Me Out to the Ball Game

2010-08-15 | 港座

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YouTube: Carly Simon: Take Me Out To The Ballgame

 8月の上映会、小劇場でのもう一本はメジャーリーグの7回裏の攻撃における観客たちの熱唱でおなじみ「私を野球に連れてって」Take Me Out to the Ball Game。ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、エスター・ウィリアムズの夢の競演です。

※監督バスビー・バークレー、製作アーサー・フリードというMGMミュージカルの本道。しかも脚本にはスタンリー・ドーネンまでからんでいる。もっとも、今ではもっぱら野球の歌の方で語られているのはもったいない。

ウィキペディアによれば、作詞作曲のジャック・ノーワースとアルバート・フォン・ティルザーは、この曲をつくったときに野球を見たことがなかったとか(笑)

野球のことを、ボールゲーム(球遊び)と称すアメリカはやはり無邪気でいいですな。毎週日曜日に「喝!」とかやっている日本はやっぱりいかがなものか。

Take Me Out to the Ball Gameは多くのミュージシャンがカバーしているけれど、アメリカのお金持ちっぽさが横溢しているカーリー・サイモンのバージョンがわたしは好きです。ってことでYouTubeを貼り付けておきましょう。

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港座通信~「ひめゆりの塔」

2010-08-15 | 港座

Himeyurinotop  8月の上映会、小劇場では「ひめゆりの塔」(監督:今井正 主演:香川京子 津島惠子 岡田英次)をお送りします。この作品を観れば、わたしたちが沖縄に押しつけてきたものの重みを感じとれるはず。“日本”を守ると称して沖縄の少女たちを犠牲にした構図は、いまもなお……

※あまり政治的な話はしたくないけれど、軍隊が国民を“消耗品”あつかいした時点であの戦争は負けだった。本土決戦、という言葉それ自体が沖縄を切り捨てていることに、今さらながら気づく。「硫黄島からの手紙」にあるように、責任ある人間が責任ある行動をとっていれば、100万単位の命を救うことができたかもしれないのに……

にしても、香川京子という存在はすばらしい。リアルタイムで見ていれば、きっと大ファンになっていたはず。「BALLAD」を“東宝の時代劇”たらしめていたのは、ひとえに彼女の存在のおかげ。

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港座通信~「硫黄島からの手紙」Letters from Iwo Jima

2010-08-15 | 港座

Lettersfromiwojimad 8月の上映会(20日の金曜日と21日の土曜日ですっ!)のメインは、クリント・イーストウッドの名人技が冴える「硫黄島からの手紙」。

監督:クリント・イーストウッド

製作総指揮:ポール・ハギス

製作:スティーブン・スピルバーグ
   クリント・イーストウッド

脚本:アイリス・ヤマシタ

出演:渡辺謙(栗林忠道) 二宮和也 伊原剛志(西竹一) 加瀬亮 中村獅童 裕木奈江 

アメリカ人であるイーストウッドが、日本人の側から硫黄島の死闘を描いて見せています。渡辺謙、二宮和也など日本人キャストも期待に応えて好演。さて、渡辺謙が演じた栗林忠道という中将がどんな人物だったかを知るには、彼の“手紙”が最適だと思います。
この人をとりあげた毎日新聞の00年8月9日付【余録】全文掲載。

「末娘のたか子さんは、当時10歳だった。別れの日は門の前で泣いた。お父さんの栗林忠道さんは『たこちゃん、元気ですか』という短い遺書を硫黄島から送った。『お父さんはお家に帰って、お母さんとたこちゃんを連れて町を歩いている夢などを時々見ますが、それはなかなか出来ない事です』

▼『たこちゃん、お父さんはたこちゃんが大きくなって、お母さんの力になれる人になることばかりを思っています。からだを丈夫にし、勉強もし、お母さんの言いつけをよく守り、お父さんを安心させるようにして下さい。戦地のお父さんより』

▼若いころ米国に留学して国力の差をよく知っていた栗林さんは、米国との戦争に勝ち目はないと主張した。そのため主戦派の軍上層部に嫌われ、絶対に生きて帰れない硫黄島守備隊の司令官を命じられたと言われている

▼着任した栗林さんは、まず島の住民を戦火に巻き込まないよう強制疎開させた。掘ればすぐ硫黄ガスの混じった蒸気がわき出る島にトンネルを掘り、要塞化した。そして、できる限り敵を食い止めるから、早く終戦交渉を始めるよう上申した

▼地下の洞窟に立てこもった硫黄島守備隊二万は、押し寄せる米軍上陸部隊六万、支援部隊二十二万を相手に歴史に残る激闘を演じて、全滅した。しかし東京のソファに座った戦争指導者たちは終戦の決断ができなかった。いたずらに時が流れ、沖縄、広島、長崎と、多くの国民の命が失われた

▼重い責任を負わされたらだれでも逃げたくなる。体が逃げなくても、心が逃げれば思考停止になる。だが栗林さんのように踏みとどまる人はいる。いっしょに散歩したたこちゃんの小さな手の感触が支えだったのだろうか。責任から逃れたくなったら、栗林さんの短い文章を思い出すといい。時を超えて励ましてくれる気がする。」

……この硫黄島からの手紙に、現代の日本からどんな返信ができるのか。わたしたちが突きつけられているのはその一点です。

※栗林中将を、意外なほど熱血に演じた渡辺謙は、その後もハリウッドでのキャリアを積み重ね、「インセプション」においては、もう日本人だからどうというレベルではない。

イーストウッドの演出の特徴は、俳優を信じること。ほとんどファーストテイクを採用するあたりはさすが俳優監督らしい。もちろん、そのためには有能な役者の選択が前提になっているわけで、よくもまあ二宮和也を見つけだしたものだ。

この作品をやるんなら「父親たちの星条旗」もやんないと、とわがままを言ったら「上映料が……」うううみんな来てね港座。

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