事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「スクール・オブ・ロック」(03 米) ジャック・ブラック主演

2008-10-16 | 事務職員部報

 他人になりすました三週間の期限付職員が、ロックを通してクラスを解放する……この設定は残念ながら山形県の公立小中学校では成立しない。なぜなら、任用には写真付きの履歴書、教員免許状、健康診断書の提出が必須であることと、三週間では代替職員を雇用してくれず、なによりバンドの練習をしているのに隣の教室に聞こえないほど施設は充実していない(泣)。

クラスの中の楽器スペシャリスト(特にベースの女の子の醒めた感じが最高)をピックアップして無敵の小学生バンドをつくるプータローいかさま教師。しかしまわりの児童にもキチンと役割を与え(「きみはスタイリスト、きみはマネージャー、きみはローディ、きみは……グルーピーをやれ」)、ラストの怒濤のバンドバトルでもちゃんと見せ場をつくっているあたり、ちょいと感心。ロックファンとしては、女性校長(ジョーン・キューザック好演)が“酔うとスティーヴィー・ニックスのまねを始めてしまう”あたり、涙が出るほど笑った。ラスト、解放されたのが子どもたちだけでなく、彼らの親たちと校長、そして主人公自身であることをさりげなく見せ、まれに見る気持ちのいいエンドタイトルにつながる。ぜひ。

07年2月22日付事務職員部報「履歴書 様式1号」より。

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48才のハローワーク~喪の仕事

2008-10-16 | 社会・経済

夜のお仕事Ⅱはこちら

 12月31日に亡くなる人もいれば1月1日に亡くなる人もいる。死者は日付を選べない。当然、お盆の8月13日に亡くなる人もいるわけで、しかしそれが自分の縁戚である場合はしんどい。お坊さんの手当とか念仏の仕切りとか。

「そうですね。8月の13日と14日はお坊さんは檀家めぐりでいっぱいいっぱいですから。」

13日に天寿をまっとうした分家のじいさんの葬儀は、地元の葬祭業者が取り扱っている。彼らの仕事こそ“盆も正月もない”商売だ。

 参列する立場からすると、近ごろはホール葬が増えてきたのでだいぶ楽にはなった。暑かったり寒かったり、好天だったり荒天だったりに一喜一憂しなくてもいいし、台所をあずかる主婦にとっても、うるさ型の近所のおばさん連中にかきまわされることもない。

「え、自宅でやるの葬儀?!」

 でもウチの分家は自宅葬にこだわった。わたしも天を仰いだが、お手伝いに出なければならない妻の嘆きはもっと大きい。

「ったくホールでやればこんなしんどい思いをしなくてもいいのになあ」
暑い中を戸外で受付をさせられたわたしは、別の分家のお兄ちゃんと嘆き合う。

「そうはおっしゃいますけどね、自宅葬とホールとじゃ、これだけ違いますよ」と葬祭業者は指を三本出してみせる。
「……30万?」
「そうです。いちばん下のランク同士を比べた場合ですけどね。でも、とにかくお葬式を安くあげようと思えば、やり方はあるんですよ」
「ほう。」
「先日、中国から来ていた人の葬儀があったんですけど、菩提寺ってないじゃないですか。だからお坊さんも呼ばなかったんです。でもお経は必要だろうってことで、仕方がないのでわたしが般若心経を読みました。」
「へー、そんな心得もないといけないんですか」
「このパターンだと全部で13万円。市から弔慰金が7万円出ますから……6万円でやれたことになります」
「なるほどー」
「でもね、中国に帰ってから本式の葬儀をやるらしいんですけど、それが二週間ぐらい延々と続くらしくって……」
うわ。あっちの葬祭業者はもっと大変なのかー。

次回は「セレブの日常

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