障害者のレジャー普及などを目指す団体「アダプテッドツーリズム&アクティビティーズ」(東京)代表で、自らも車椅子で生活する中岡亜希さん(40)=京都府宇治市=が11日、支援者の助けを借りながら八ケ岳登山に挑んだ。支援者3〜6人が車椅子とつないだロープをたすき掛けしてけん引し、茅野市の桜平登山口からオーレン小屋まで、通常1時間20分の道のりを2時間半かけて進んだ。
障害者や高齢者がハンディを気にせず楽しめる旅行「ユニバーサルツーリズム」の普及に力を入れる中岡さんは、既に富士山などへの登山を実現。成功例を重ねることで普及につなげたいと、八ケ岳に挑戦することにした。
タイヤが悪路に対応していて軽量のアウトドア用車椅子を使用。中岡さんをベルトで車椅子に固定して1人が後ろから押し数人が引っ張った。「右へ右へ」「お願い」などと互いに声を掛け合いながら進んだ。一行は、紅葉を見て「きれい」「いい季節だね」などと話しながら秋の山を味わった。オーレン小屋近くではニホンカモシカに遭遇。中岡さんは「初めて見た」と興奮気味だった。
「引っ張るのが楽しかった。中岡さんと登れて良かった」と支援者の1人、古村尚子さん(52)=上伊那郡辰野町。同じく支援者で、車椅子での観光普及に取り組む富士見高原リゾート(諏訪郡富士見町)の藤田然さん(40)は「介助というより障害者と楽しむ新しいレジャーという感覚」と話した。
一行は12日、根石岳(2603メートル)を目指す。中岡さんは「これなら学校登山でも障害者と一緒に登れる。当事者や周囲の人も諦めないでほしい」と強調していた。
アウトドア用車椅子で登山道を進む中岡さん(右から2人目)
(10月12日) 信濃毎日新聞