ゴエモンのつぶやき

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<障害者自立支援法>自公が改正案 自己負担総額に上限

2007年11月21日 23時50分17秒 | 制度の話し
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
から情報を頂きました。


<障害者自立支援法>自公が改正案 自己負担総額に上限
11月21日 2時31分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000014-mai-pol

 自民、公明両党がまとめた障害者自立支援法の抜本的見直しに
関する原案の全容が20日、明らかになった。
障害者のいる世帯を対象とした負担軽減策として、「障害福祉サービス」
「障害にかかわる医療費」「補装具利用費」の自己負担の合計額について、
09年度の法改正で上限額を設け、上限を超えた分はすべて公費負担を検討する。
一方で障害児がいても年収600万円以上の世帯には減免措置がない現行制度を
見直し、緊急策として所得要件を緩和する。
両党は、月内に最終案を決定する方針だ。

 民主党は08年1月から原則1割負担を凍結する改正案を参院に提出しており、
今後、与野党間で協議が本格化する。

 負担上限額は、現行制度でも(1)通所施設利用などのサービス費
(2)障害にかかわる医療費(3)車いすなどの補装具費--の3分野に関し、
それぞれ月0~4万200円の範囲で個別に設定されている。
しかし、これらを併用した場合には自己負担が跳ね上がるケースも多く、
合算額にも上限を設けることにした。今後、所得に応じた上限額を詰める。

 一方、サービス費を4分の1に減免する措置が適用される世帯の収入基準を、
現行の年収600万円未満から緊急策として緩和。さらに低所得世帯の一層の
負担軽減のほか、福祉事業者への支援策として09年4月に報酬改定を実施し、
経営基盤の強化を図る。06年末から08年度まで計1200億円を投入して負担を
軽減する「特別対策」については、09年度以降も継続させる方針だ。

 06年度から障害福祉サービスは原則1割の自己負担となったが、
福田政権になり、政府・与党は「抜本的な見直しを検討」する方針で合意していた。
【大場伸也】


 ◆与党PTの障害者自立支援法見直し案骨子

1.利用者負担のあり方

<緊急に措置>
・障害児の利用者負担は、負担上限額の軽減対象となっていない世帯に配慮。
・低所得者の居宅・通所サービスの利用者負担は、さらに軽減。

<09年度の制度見直しに向け検討>
・障害福祉サービス、補装具、自立支援医療の利用者負担の合計額に上限を
 設けることについて、医療保険との関係を含めて検討。

2.事業者の経営基盤強化

<報酬改定の実施>
・09年4月に報酬改定を実施。
・改定のための経営実態調査に早急に着手。
・各都道府県に設けた基金の使途を見直し、就労継続や重度障害者への対応
 などの事業に支援。

障害者 自立支援法では、現行法の枠内でという大臣発言も ...

2007年11月21日 13時50分38秒 | 障害者の自立
福田政権は「希望と安心」を掲げて、後期高齢者医療費制度の凍結や障害者自立支援法の「抜本的見直し」など、構造改革路線の「痛み」の緩和策を発足当初挙げました。
 しかしながら、「抜本的見直し」については、障害者自立支援法では、現行法の枠内でという大臣発言もあるなど、応益負担の原則にこだわっている政府・与党です。

 11月14日、広島県で57歳の障がい者と母親が亡くなりました。介護疲れが原因の心中の模様です。障がい者の方は近くの作業所に通っており、作業所職員は次のように語ったそうです。

 「(作業所で作った)パンを保育園などに売りに行くのを楽しみにしていた。給料を母親に渡すのを涙を流して喜び、『お母さんに楽をさせたい』と言っていたのに」と涙で言葉を詰まらせた」(読売新聞)


 昨年、福岡市では障害者自立支援法制定で、将来を悲観しての心中事件がありました。「希望と安心」は障がい者とは無縁なのでしょうか。

「特別措置の恒久化」という見直し策
 
 10月31日は、障害者自立支援法成立2周年の日でした。その前日には、東京で障がい者団体の集会があり、そこでは政党シンポジウムもあり、自民党をはじめ各党からの参加がありました。この日を前後して、全国各地でも集会などが開かれ、福岡県民集会には650人ほどの参加があり、各党の国会議員からのメッセージも寄せられました。

 そこでも、要望の中心は1割負担の廃止です。しかしながら、与党は、「特別措置の恒久化」を見直しだとしています。


特別措置内容(厚生労働省資料)
 昨年末、制度の完全実施からわずか2カ月足らずで修正されたものです。制度に対する批判に耐えられず、選挙対策として実施されたものです。

 それは、2008年度までの暫定措置ですが、それを制度化しようとしています。でも、応益負担の原則を変えない限り、この部分はいつでも変更できるものでもあります。

 また、民主党が提案した応益負担凍結法案については、審議入りさえできていません。

見直しの問題点

 与党の見直しで、負担が軽くなるから良いのではないかと意見もありますが、先に指摘したように、制度そのものの問題を変えようとしていません。

1  応益負担という法の骨格を修正していません

 法の理念は良いという、一部の主張には基本的な誤解があります。障害が重たければそれだけ負担も増えるという仕組みは、障害があることを個人の問題にし、社会的に支援する必要性を否定しています。これは、介護保険との統合をあきらめていない厚生労働省と財政当局の思惑が強く込められており、与党は、自らのイニシアチブで突破するつもりがありません。

2  働くのに利用料が必要ですか

 素朴に考えても、自分の能力を生かすために施設などで働き、わずかの工賃を得るのに、それと同じくらいの利用料を負担しなければならないというのが、社会通念としても通用するのでしょうか。

3  報酬の日払いでの犠牲者も重度障がい者
 
 今まで施設の定員数による収入であったのが、毎日の利用実績による後払いになりました。そのために、基準報酬がダウンしたのに、体調が悪くて休めば、さらに収入ダウンになるので、土日の休みを減らしたりして、少しでも目減りを少なくするようにしている施設も多いのです。しかし、重度の障がい者は、合併症がある人も多いのですが、施設の窮状を見かねて無理して通所する人もいます。 

4  国際的に通用する仕組みなのか

 国連は「障害のある人の権利に関する条約」を採択し、日本も署名しました。条約の目的を次のように述べています。

 「第1条 目的 この条約は、障害のあるすべての人によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び確保すること、並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする」(川島聡・長瀬修 仮訳2007年10月29日「日本障害者フォーラム」

 この条約は、障がい者の社会への完全参加と、平等を保障しようとしているものです。これから政府は、批准に向けて準備していくのでしょうが、果たして、障害者自立支援法が、基本的人権を侵害していないのかどうか、そのことがまさしく問われているのだと思われます。