馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

回虫症 手術しても予後は良くない

2022-08-31 | 急性腹症

72~80%は、駆虫後に死んだ回虫が詰まっているタイプの「回虫詰まり」であるという海外での報告。

ソルビーシロップが販売されていた時代は、うちでもそうだった。

死んだ回虫が詰まっているだけなら、小腸切開で済むこともある。

揉み解して押し流せそうなものだが、回虫は長く、硬く、揉み解しても回虫自体は柔らかくならないので、食べた物が詰まった小腸閉塞のようには押し流せない。

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しかし、回虫が生きているか死んでいるかによらず、回虫の多量寄生により小腸重積や小腸捻転を起こすこともある。

Cribbらの報告では、回虫による腸閉塞の子馬の36%が重積や捻転を起こしていた。

重積や捻転を起こしていると、腸管を切除・吻合しなければならない。

そうなると開腹手術後の予後は、切除・吻合せずに済んだ症例より悪化する。

単純閉塞では79%の短期生存率、重積や捻転を起こしていた症例では38%の短期生存率が報告されている。

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しかし、長期的予後はもっと悪い。

子馬の腸管手術は癒着を起こしやすいが、そのことだけでなく回虫症での腸管手術は他の原因による腸管手術より予後が悪いのだ。

これは私の印象でもそうだ。

なぜか?

長くなるので、続きは学会から戻ってから;笑

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旭山動物園へ行ったのは7月。

思えば、あれが今年の夏だった;笑

ライオンは寝ている。(という楽しい曲があるんだけど、知ってる?)

トラはプールがあるおかげか、元気だった。

だけど、野生のトラはもっと筋肉がついているんだろうな。

チンパンジーも昼寝。