牛飲馬食、という言葉がある。
牛はよく水を飲み、馬はよく食べる。という意味である。
人に飼われている代表的な草食動物をよく観察して、昔の人が言ったのだ。
実に適確に、反芻動物と、非反芻動物である馬の消化生理を表現している。
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乳牛は大量の牛乳を分泌するために、まず大量の水を飲まなければならない。
もちろん栄養分も重要で、高泌乳牛にはカロリーが不足しないように良質な粗飼料と濃厚飼料を与える必要がある。
ただ、牛はいつまでも食べ続けることはできない。
乾物摂取量に限界があり、ある時間は座り込んで反芻しなければならない。
馬は、
栄養分の劣った飼料与えると、食べ続けることで補おうとする。
馬は食える動物なのだ。
反芻する必要はない。
ひたすら食べ続ける。
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先日、季節はずれの結腸捻転馬が連れて来られた。
開腹すると、結腸骨盤曲から左腹側結腸には固めの内容が詰まっていた。
腸壁の外から触ると少しジャリジャリした触感。
しかし、砂ではない。
いつもの結腸捻転より苦労して内容を洗い出した。
が、
盲腸にも同じジャリジャリ感のある内容が入っていた。
これは自分で出してもらうしかない。
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洗い出した腸内容は堆肥場に捨てに行ってもらう。
翌日、しげしげと観察した。
乾草の繊維ではなさそうだ。
敷き料に使われている植物繊維らしい。
その空胎馬はよく食う馬だそうだ。
ときどき腹痛をしていた。
結腸便秘を起こすと、それが要因で結腸捻転を起こすことがある。重さのバランスが変わり、腸が自分で動けなくなるからだろう。
その馬の体脂肪は繁殖雌馬としては少なかった。
馬としてはもっとカロリー摂取したい状態だったのだろう。
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馬は腹が減ると敷き料も食べてしまう。
牧草を敷き料にしているなら食べてもらっても構わないが、消化し難い繊維だと便秘の原因になる。
敷き料を食べてしまう馬には、
食べても良い乾草をもっとあたえるか、
食べても良い敷き料(牧草)を敷いてやるか、
口カゴをするしかない。
毎日口カゴをされるのは精神的ストレスだろう。
少なくとも腸に詰まってしまう植物繊維を敷き料に使うのは、敷き料を食べてしまう馬にはよろしくない。
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こいつもなんでも食べてしまうヤツです
なっ?