馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

腕節のガングリオンganglion あるいは滑液腫hygroma

2016-01-24 | その他外科

以前に診せられた腕節が腫脹した明け2歳馬。

手術して摘出するしか治す方法はないと伝えたが、そのことを理解してもらって納得ずくでやった方が良い。

その間に、炎症は治まり、自然治癒する範囲では小さくなった。

吸入麻酔して手術台上で仰臥位にする。

感染させないように細心の注意を払わなければならない。

袋状になっている組織を破らずに取り出したい。

死腔が残らないように丁寧に縫合しなければならない。

関節鏡手術で骨片を摘出するより時間がかかる。

腱鞘や関節を穿孔したくない。もしつながっていたら、大きな穴にせず縫合して閉じる。

取り出した結合織の塊。

ちゃんと袋になっている。

温存しては治らないし、切開して中を搔爬して袋状ではなくっても塊が残り、きれいな治り方はしない。

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1時間以上かけて摘出し縫合した。

あとは馬がかじったり、腕節を突いた牛の様な立ち方をしなければうまく治るはず。

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この馬はぶつけて血腫ができたことでこうなったらしい。

立ち上がり方がヘタだったこととも関係したのだろうと思う。

関節腔や腱鞘とはつながっていなかった。

関節腔や腱鞘とつながっていないからganglionではないとか、漿液豊富ではないからhygromaではないとか言うのはヘンだろう。

同じようにできて関節腔や腱鞘とつながっていたりするし、早い時期には血様漿液が豊富に入っていたはずだ。

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軽くてよく飛ぶボールだとおもっていたら、中はゴムボールだった。

袋状組織であることが重要なんだからね。

パンクさせるなよ。