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読書の秋 おススメ本

2008年10月14日 17時18分18秒 | 添乗報告
『20世紀 日本の経済人』(日経ビジネス人文庫)

アメリカ発金融恐慌が現実のものとなるのかならないのか、株価は最大級の下げのあとで最大級の上げというまるでジェットコースターのような乱高下で目が回るよう。すっかり相場の様相を見せる市場はこんなんでいいのかと思ってしまいます。そんな淀んだ世相の反面、陽気はすっかり秋めいて食欲の秋読書の秋を迎えております。というわけで、こちらを紹介しましょう。99年でしたでしょうか、日経新聞の連載をまとめたもので続編も出ていますから2冊セットとなりますね。

内容はまさに表題のまま。鉄砲商から財閥にのし上がった大倉喜八郎に始まりⅡ巻末のソニー盛田昭夫まで、一人あたり10ページ程度ですからどんどん読み進むことができます。旅行関係では唯一、宮崎交通創業者の岩切章太郎が掲載されていますが、その他はまったく旅行とは関係ありません。

しかし、これを読むと本当に色々と考えさせられます。日本にはかつて、公益に奉仕するという高い精神を持った企業家や銀行マンがたくさんいたこと。そして、比べると今はお粗末であること。同時に、現在の日本を創るために貢献したエライ日本人がこんなにもいたことを改めて認識することができたこと。

いずれにしても、こんな世の中ですから前向きな気持ちにならなければいけません。我が身を奮いたたせねばならいと思います。そして、それには打ってつけの本だろうと思います。

日窒コンツェルン(現チッソ、旭化成、積水化学など)を創り国の援助に頼ることなくアメリカをも驚がくさせたプロジェクトを朝鮮半島で成し遂げたうえ晩年には全財産を寄付した野口遵、IHI社長を経て東芝を再建し経団連会長として財界をリードしながらも生活は質素だった土光敏夫、東電社長から経済同友会幹事となり高い見識から日本経済の舵取りをした木川田一隆、地道な実験を重ねに重ねついに革新的な強度のKS鋼を作った本多光太郎。また経済人に入るか疑問ですが、綿密な調査に基づいて台北のインフラを整えその実績で東京市長に就任し昭和通りなど街づくりに辣腕を振るった後藤新平。

偉大な先人達の高い見識・清廉さ・行動力・粘りに感動します。

と同時に、ひるがえって今はどうなのかを思わずにはいられません。未来の日本の為に身をささげた偉人達の功績を無にすることは犯罪的ですらありますが、実際不幸にして、二代三代後に倒れてしまった企業もいくつかあります。先行きが不透明な今まさに、先人のような考え方と行動が再び求められているように思います。

ところで、近年「二世」が多いと思いませんか。政界はもちろんのこと経済界や、その他もろもろでも目立ってきているように思うのは気のせいでしょうか。

断りますが「二世=悪い」という短絡的なことを言いたいのでは決してなく、文化や技術の継承という重要な意義があります。ただ、職人や芸能、非公開会社などを別にすれば、二世が継がなければならない必然性は無く、公共性の高い職ほどそうなるでしょう。

問題は、理念やビジョン気概すらなく、万事あたり障りのない安易な選択に流され深く考えることもせず、成行きに任せたかのような状態(外観)。そして、このような楽な方安穏な方ばかりに流される風潮が是認される社会は危険と思います。また一方で、親の公職(それに準ずる職も)を継ぐという資質は大人として一個人としてどうなのか。

福沢諭吉が『学問のすすめ』で再三にわたって説いているのは「独立」です。これは普通に理解する独立という言葉よりも深い意味で言っていると私は理解しています。官にすり寄ることなく自ら立ち、経済的にも自立する事、官は民を守り民は法を守る事ではじめて、日本は欧米と対等な独立した関係を築くことができる国になると。何となく、または親が言うから、また単に安定を望んで二世を選択することに福沢の言う独立の要素はありません。それに、逆にそのような事態は当の組織にとっても不幸なのではないでしょうか。

辛酸をなめること無く、曳かれたレールをただ来たというのが国会議員に限らずいわゆる二世の悪しき特徴でしょうが、親が実績をあげた結果、足元が盤石というのも共通項でしょう。果たして、挫折なく社会的地位やその重い職責を自ら問い直すことなく来た人のなかで国家の危機に際して舵取りができる人材が生まれることは、奇跡を願うことと同じでは?

あと「権利と義務」の問題も気になっているのですが、長くなりましたのでそれはまた改めて。

我が身を顧み、律せずにはいられない内藤でした。

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