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≪ ”働き方改革法案”採決 ≫   ”これで労働生産性が向上する”だって?  非ライン職の生産性が低いのは 雇用慣行自体に潜む曖昧さ温存が原因だ

2018-05-26 09:01:03 | 時評
★ 「働き方改革関連法案」には年収1075万円以上とは書かれていない!=荻原博子 https://mainichi.jp/sunday/articles/20180521/org/00m/070/003000d#cxrecs_s
▽  高プロは「働かせ放題」? https://mainichi.jp/articles/20180525/k00/00m/040/115000c#cxrecs_s
 本件、議論がかまびすしい。 反対意見の核心を三つに要約すれば、一つは「対象職種が省令で決められるゆえ、経済団体の圧力で職種の拡大に歯止めが無くなる危険性がある」。
 次は、荻原さんが指摘するように、「年収基準自体が都合のいいように変えられ、下げられる余地を法令に具体額を書かないことで残している」。
 もうひとつは「働く人自らが高プロ職種だとの認定を会社に対して拒否できないし、契約変更を言い出せるチカラ関係にはない」という現実の姿からくる運用面での不公正及び健康被害
 悪化への懸念だ。
  ⇒ これらの懸念と政府への不信感は論理的で尤もな不信感であり、第2次安倍内閣になって悪化した強引で不誠実な政治の進め方を観ていると頷けることばかりだ。それに加え私は、
    安倍首相はじめ経済団体首脳が此の法案導入の効果だと主張している「管理間接業務或いは非ライン職種の生産性向上への寄与」は本当か? との根本疑念を提示したい。

 一般論として<労働生産性>の基本定義は、労働時間の量と得られた成果を比べることだ。そのとき、労働/作業へのインプット/アウトプットを経営手法では何を以て表すか?
営利企業でアウトプットは「売上」「利益」。学者も含め研究職なら特許件数や論文引用件数。究極的にこれしかない。じゃ非営利組織では一体何を以て「成果」と見做すか?
  抽象的な「評価」「評判」「人気」か? そもそも非営利組織でも「高プロ」認定は行うのか? 此の法案は最初から民間企業だけを対象か? 若し公務員は除外なら、公務員の生産性議論はどうするのだ?
※ 労働生産性を考えるうえで難しいのは<インプット vs アウトプットの間の正しい因果関係が成立する仕事/成立し難い仕事>の線引きをどうするかだ。職業並びに職種のマトリクスが
  できたとして、線引きはそれぞれ如何に絡むのか? 其の判定は誰が行うのか? 判定基準は有るのか? 有るというなら、公平性/客観性を労使が対等に議論できるか? 

 本ブログを長く読んで戴いて来た読者なら察しがつかれただろうが、この<成果の評価>と切り離せないのが、上に書いた<インプット vs アウトプットの間の正しい因果関係>をどの評価基準で行うか? である。
 私の持論だが、日本の労働市場、雇用環境では≪単なる作業手順書や業務標準マニュアルではなく、職種/職位を問わず雇用契約の基本となる、欧米諸国と同じ水準でのJob Description が存在しない≫ので、完璧ではないにせよ人間の英知を絞ったと言える欧米並みの評価基準は造れない。だから、日本企業が行う生産性評価そのものが国際標準からずれるのだ。 
 それを解っている人は目をつぶり、判らない人がルール作りをしようとしている。  これが日本の現状である。だから今朝のタイトルにしたのである 
    私の言うことが嘘だというなら、欧米でなくとも外国で外国人を部下に持ち、評価を下した経験のある方に聞いて御覧なさい。
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