静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

ベトナム再訪記 <3>〆  ホーチミン 2/2

2024-03-14 08:50:55 | 旅行
 ホーチミンでの2日目、私は予想どおりマル1週間を超える観光と移動で疲労がたまり、ホテルで静養することに。然し、ホテルから100m足らずにある『War Remnants Museum』戦争遺物博物館が気になり、
疲れを押して向かった。そこはアメリカ軍から鹵獲したヘリコプター・戦車・戦闘機・速射砲などが前庭に展示されている。既に観光客が多くチケット売り場に並び、そこに目立つのは西洋人と地元の子供達。
 サリーをまとう女性たち&台湾人らしき一群は居たが、日本人・大陸中国人は全く見かけなかった。

中に入りながら「ああ、これが有るからあのホテルはVictory/Saigon が冠せられているのかも?」と遅まきながら気づいた。今風に言うなら<Victory>も<Saigon>もホテルのネーミングとして” ダサい ” のだが・・ここもハノイの『ホーチミン廟』同様、小中学生の愛国歴史教育の場となっている事実を考えれば、すぐ傍にあるホテルがVictory/Saigon と名乗らされている(?)のも不思議じゃない。
              
 博物館内部は戦闘経緯などの展示は少なく、60年代、世界各地から支援を受けた記録物や写真などの掲示が殆ど。無論、アジアからのコーナーに設けられた一角に【日本共産党】【べ兵連】関連の写真や支援活動の現物等が飾られていた。なんと<小田実・鶴木俊輔対談集>も展示。当時を記憶する世代にはおなじみなモノの数々だ。 私は写真を撮ったあとも、しばらくその場から動けなかった。

 ここで私が注目したのは【ホーチミン1/2】のメコン川クルーズ中に聴いた少数民族の女性による歌唱の伴奏に使われていたのと同じ二弦楽器が、戦中の慰問部隊で使われていたとの説明だった。
息子が(弦の数は少ないが)バンジョーに似ていると言った楽器である。少数民族の歌う悲し気な音調と戦地の束の間の慰問集会での歌声・・・。 嗚呼、それはどんな響きだったのだろう?
     

 1党独裁の強権統治でも順調に経済発展をとげ、貧富格差は産まれつつも生活水準が向上し続けるのを喜ぶ市民たちの笑顔。国土開発に邁進する統一後のベトナムをみるにつけ、単にかつての高度成長期の日本との比較に終わらず、「自由と独裁」の優劣がわからなくなってきた現代こそ、我々はあぐらをかかず、「自由と民主」の価値を真剣に吟味せねばと私は感じた。

              ~ 笑み溢れ 槌音絶へぬ サイゴンは たたかひの傷 いずこに隠す ~                      ≪  ≫
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