文句なしに面白い! 過去、大小取り交ぜ幾多の出版社が「〇〇文学全集」を企画しては売りまくった。1980年代以降は読書人口衰退の予兆か、これといって目立つ企画が無い。だからというのでもなかろうが、この3人が<もしオレが企画編集するなら、世界/日本の文学作品から何を、どういう比重で選びたいか>の視点から喧々諤々、好き放題ぶちまけた架空の編集会議なのだ。
前半は「世界文学」と称し、中国含む外国文学作品をギリシャから20世紀まで。「誰々は此の作品〇〇・・・を入れてX巻にしよう」「いや、評価に価する作品が少ないので別の~と組み合わせて1巻に」とか、いろいろ各自の主観/見解/好悪をぶつけあう。 構成を紹介しておきたい。
* どんな全集を作るのか * イギリス小説のうまさ * フランス作家の盛衰 * ロシア・ドイツ文学と日本
* アメリカ・その他 * 周縁の文学 * 世界文学全集 巻立て一覧
このプロセスを横で聞いているのは、単に知らなかった作家/作品の啓蒙に留まらない。例えば「なぜ丸谷氏は此の作家について、そういうのか?」と自分の乏しい知識を動員しながら考えるだけでも大変こちらの眼が開かれるので、知的興奮は申し分ない。また、三浦氏/鹿島氏はそれぞれ立場が異なりつつ、互いに年齢が近いこともあってか丁々発止の談論風発は楽しい。プロの作家、プロの批評家はここまで外国作品を読みこなしているのか! ここまで俯瞰できてるんだ、と驚き、浅学を改めて思い知ることしきりである。
この基礎教養の豊かさと鋭い批判精神は後半の「日本文学」検討に移ると比較にならないほど濃密になる。司会進行役に湯川豊氏(元「文学界」編集長)を得ているせいか、前半の世界文学を丸谷氏がリードしたのと一味違う絶妙の運びになった。 万葉に始まり大江健三郎で締める日本文学解剖を私はここまで深くガイドされたことがない・・・・嗚呼、この本にもっと早く出会いたかった。 構成を以下に。
* この全集のいくつかの原則 * 古代から近世 * 江戸文学の豊穣 * 20世紀文学の幕開け
* 白樺派・プロレタリア文学の問題 * 戦後の文学を見直す視点 * 日本文学全集 巻立て一覧
読むうちに3氏の鼎談成果である「巻立て一覧」がとても貴重に思え、Excl.に写し取ると同時に、中古本の手配もした。図書館で借りた本で買ってまで手元に置きたい書物はそんなに有るものではない。本書は、その数少ない1冊だ。老後の読書参照リストとして実にありがたい手引きである。
ともかく、小説に限らず詩・評論・歌謡・戯曲なんであれ、およそ文学作品のお好きな方には是非ともお薦めしたい。
前半は「世界文学」と称し、中国含む外国文学作品をギリシャから20世紀まで。「誰々は此の作品〇〇・・・を入れてX巻にしよう」「いや、評価に価する作品が少ないので別の~と組み合わせて1巻に」とか、いろいろ各自の主観/見解/好悪をぶつけあう。 構成を紹介しておきたい。
* どんな全集を作るのか * イギリス小説のうまさ * フランス作家の盛衰 * ロシア・ドイツ文学と日本
* アメリカ・その他 * 周縁の文学 * 世界文学全集 巻立て一覧
このプロセスを横で聞いているのは、単に知らなかった作家/作品の啓蒙に留まらない。例えば「なぜ丸谷氏は此の作家について、そういうのか?」と自分の乏しい知識を動員しながら考えるだけでも大変こちらの眼が開かれるので、知的興奮は申し分ない。また、三浦氏/鹿島氏はそれぞれ立場が異なりつつ、互いに年齢が近いこともあってか丁々発止の談論風発は楽しい。プロの作家、プロの批評家はここまで外国作品を読みこなしているのか! ここまで俯瞰できてるんだ、と驚き、浅学を改めて思い知ることしきりである。
この基礎教養の豊かさと鋭い批判精神は後半の「日本文学」検討に移ると比較にならないほど濃密になる。司会進行役に湯川豊氏(元「文学界」編集長)を得ているせいか、前半の世界文学を丸谷氏がリードしたのと一味違う絶妙の運びになった。 万葉に始まり大江健三郎で締める日本文学解剖を私はここまで深くガイドされたことがない・・・・嗚呼、この本にもっと早く出会いたかった。 構成を以下に。
* この全集のいくつかの原則 * 古代から近世 * 江戸文学の豊穣 * 20世紀文学の幕開け
* 白樺派・プロレタリア文学の問題 * 戦後の文学を見直す視点 * 日本文学全集 巻立て一覧
読むうちに3氏の鼎談成果である「巻立て一覧」がとても貴重に思え、Excl.に写し取ると同時に、中古本の手配もした。図書館で借りた本で買ってまで手元に置きたい書物はそんなに有るものではない。本書は、その数少ない1冊だ。老後の読書参照リストとして実にありがたい手引きである。
ともかく、小説に限らず詩・評論・歌謡・戯曲なんであれ、およそ文学作品のお好きな方には是非ともお薦めしたい。