Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

彼の心境

2013-11-02 01:00:00 | 雪3年2部(再会~三者対面)
塾での授業が終わり、雪は一人廊下を歩いていた。

謎の女性に掴まれた手首を見ると、幸い指の形の痣はほぼ消えかけていた。



明日は先輩とのデートだというのに、こんな痣が残っていては何事かと思われるところだ。

苦々しい表情をして、雪は廊下を歩いた。


するとそんな雪の前を、河村亮が道を塞いだ。ダメージヘアー、と声を掛ける。



亮はいつもと違い、神妙な顔をして雪のことを見ていた。

普段の憎まれ口も叩かずに。



何か用ですか、と雪が亮に問うと、亮は頭を掻きながらお前のダチはどうしたと聞いてきた。近藤みゆきのことだ。

雪が、「みゆきちゃんなら授業の途中で帰りました」と伝えると、亮はいつも通りの口調で不満を漏らした。

「ったく何なんだあの女は?!高い金出してまたサボって、何考えてんだか‥」



目の前の雪が若干引き気味でそれを聞くのを見て、亮は口を噤んだ。

ゴホン、と咳払いを一つした後、雪に向き直って言った。

「さっきは、悪かったな」



亮は「アイツ、オレの姉貴なんだ」と言葉を続けた。少し居心地悪そうに、言いづらそうに。

「アイツちょっと‥癖のわりぃヤツでよ。オレが代わりに謝るから‥」



この後亮は、前に西条和夫と揉めた時のことを言及した。

あの時も先ほども、いつも雪の前で格好悪い所ばかり見せてしまっていることを、亮は詫びた。

俯きながら視線を落とす亮は、普段の粗野な彼とはまるで違っていた。



そんな亮を見て、雪は慌てて口を開く。

「‥いえ、河村氏のせいじゃないですし‥。そんな大したことでもないし、手も大丈夫ですし‥。

今度みゆきちゃんに大丈夫かって一言聞いてくれれば‥」




亮は、一生懸命言葉を紡ぐ雪を見ながら、先ほどの姉の言葉を思い出していた。


淳に復讐しようとか思って来たんでしょ。どーせ失敗したんだろうけど



亮が上京したのは、姉の安否確認と淳への復讐心からだった。

淳の通う大学へ彼を見に行った時、今まで見たことがないくらい楽しそうに笑う淳がいた。



一緒に居る女は、スタイルも容貌もファッションも凡庸に見えるのに、なぜ淳はあんなに嬉しそうなのだろう?

そう思って彼女に近付いた。



そして度重なる偶然が、ますます亮を彼女に近付けた。

  

亮は淳への復讐として、彼女に嘘のアドバイスをしたり、



意識的に近付いてみようとしたが、なぜだかいつも上手く行かなかった。

  

雪に絡む度に彼女は真面目に振り回され、二人は口喧嘩ばかりを繰り返す。




しかしそんな亮の、計画的とは言いづらい復讐も幾らか淳に影響を与えていた。

これ以上、俺の周りの人間に付きまとうなよ



他人に無関心な彼の、意識的な威嚇と警告。

亮は引き続き、赤山雪に何かしら関わっている環境に居続けた。


そして塾で彼女を見かける度、地道に自分の人生を歩む彼女を知った。

自習するために早く来たり、席を取るために走ったり、



休憩時間も教材片手に勉強し、「頑張っているのは自分だけではない」と謙虚に言ったりした。



亮が誤って彼女のノートを濡らしてしまった時、彼女は決して怒らず丁寧にコピーの仕方を教えてくれもした。




彼女は一度も本気で怒らなかった。亮はその度量の広さに感心する。

客観的に見た彼女は堅実で良識があり、地に足を付けて自分の人生を歩む、かなり真面目ないいヤツだ。



けれど‥。

ただそれだけの理由で、淳はこの女に近づいたのだろうか?

彼女でもない女に近づいた報復に、静香の金のアテを切るまでするのか?

高校時代は彼女に対してだって、あれほど無関心だったじゃないか‥。





そして主観的に彼女を前にした時に感じるものを、亮は持て余していた。

もう淳への当てつけとしてだけで彼女を見ることが、いつのまにかなくなってもいた‥。




そんな亮の視線を感じて、雪は振り返った。



雪は「さっきのことならあまり気にしないで下さい」と言った。

先ほどからずっと落ち込んでいるように見えるからだ。

亮はそういう意味で見ていたのではなかったので、無意識な自分をきまり悪く思った。



二人は自然と、いつも別れる交差点まで並んで歩いた。

雪は亮の姉のことを恨むことなく、そっくりだけど双子なのかと亮に聞いたりした。



亮もそんな雪の会話にリードされて、年子なんだと普通に答える。

そっくりなのは顔だけでなく、性悪なところもそうだと自虐的に言って、雪を困らせたりもした。


すると、家へ向かう通りの途中にパトカーが何台も止まっているのが見えた。

警察官も何人かウロウロしている。



気になった雪は、野次馬の一人に声を掛けた。中年女性に、「何があったんですか」と聞く。

「あんたこの辺の子?この辺りで夜中に泥棒が入って、下着やら金品やら盗んでいったみたいよ」



雪はそれを聞いて、思わず顔が青くなった。

亮が物騒な世の中に舌打ちする。



ここは雪の家の近所である。自分の家は大丈夫だろうかと、雪は急いで家に帰ろうとした。

すると亮が彼女を呼び止める。

「送ってやるよ」



突然の申し入れに雪が戸惑っていると、亮は「さっきの詫びだ」と言葉を続けた。

「こんな騒ぎの中、一人で帰すのも申し訳ねーし」



な?と返事を促す亮に、雪はまだ決断できず迷っていた。

そんな生真面目な雪に、亮は「そんな重く捉えんな」と諭すように言った。

「お前だって不安だろ。さっさと行くぞ」



そう言われて、雪は先日怖さのあまり一人歌を歌って帰った時を思い出した。

確かに不安だ‥。それに河村氏は悪い人じゃないし、心配なさそう



雪は「はい‥それじゃあ‥。ありがとうございます」と亮に向かって笑顔を浮かべた。

幾分申し訳なさそうに、手を首にやりながら。



亮はそんな雪を見ながら、彼女の心境の変化を感じた。



そしてまだ意識してはいないが、彼の心境の変化も。


二人は満月の下、雪の家へと向かって並んで歩き出した。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼の心境>でした。

亮→雪への、「心境の変化ダイジェスト」のような回になりました。

今回の亮を見ていると、普段の振る舞いや言動は粗野なイメージだけどすごく細かいところを察したり、

他人の心境の変化を汲み取ったり出来る繊細な面があるのだなと気づかされます。

そしてこの薄い青のシャツは過去何回着ただろうとか、スーツは塾に置きっぱなのだろうかとか、

細かいところまで気になります。笑


次回は<疑われた彼>です。


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19 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
青シャツ (ちょびこ)
2013-11-02 01:16:43
坊ちゃんの赤シャツならぬ青シャツ。これけっこう着てますのな。さすがスンキさん芸が細かく、師匠も目の付け所が細かい。パチパチ
制服は…リバーシブルでこの服になるんじゃないでしょうか。

この回の、亮の心のつぶやき。いいヤツだってわかった、「けど…」の後がずっと気になってて聞こうと思ってました。
ついにこの日がやってきました。
どーですか。やはりそういう意味ですか。
どーなんです?皆さん!!!ふがーっ
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気になる (かに)
2013-11-02 13:54:11
私も「けど…」の捉え方ずっと疑問だったんです!
雪ちゃんは悪い奴じゃないってわかった「けど…」人に頓着しない淳が特別に思っているであろう人間に、ちょっと関わった程度で静香のライフライン断ち切るまでするのか?
一体この女(雪ちゃん)にそれほどの何があるっていうんだろう…。
という意味の「けど…」なのか、師匠の言うような雪ちゃんに対しての心境の変化を表現した場面なのかで、この後の亮の発言や表情の意味がかわるなとずっとモヤっとしたままなんです。

師匠の解釈の意味合いであってほしいと願うばかりですが…。
韓国語版のニュアンスが…わからないからもどかしい!
青さん、るるるさんあたりはどう解釈されてるのか気になります。


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気になります (どんぐり)
2013-11-02 14:31:45
Yukkanenさんのこのブログ、私もこの回を待っていました。

けれど…。   けれど…って!? 
どうしても解らなくて、ずっと気になっていた箇所(の一つ)です。
「それだけの理由で淳がコイツに接触しているわけじゃあるまい。」というような感じかと解らないなりに考えていたのですが、どうにも浅慮で…。
皆さんの解釈を早く知りたいです。
チートラって、解釈が難しい…  そこが魅力なんですけど…
考えているうちに自分がすごく浅はかな人間に思えてきてガックリ…  
どうすれば、皆さんのように深く読み解くことができますか!?

「主観的に彼女を前にした時に感じるものを、亮は持て余していた。
もう淳への当てつけとして彼女を見ることが、いつのまにかなくなっていた‥。」
素敵な箇所ですね。亮くんの心境の変化がスーッと沁みます。
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Unknown (Unknown)
2013-11-02 16:35:13
どうなんでしょうね~。
個人的には、かにさんがおっしゃったのに近いかなぁ。
思えば淳の回りにはいつも女がいたけど、どいつに対しても本気じゃなさそーだったし、程々のラインを越えてくるのをひどく嫌ってた。コイツ(雪)が誠実でいいやつだってのはよくわかったが、あの淳があれほどムキになるような相手なんだろうか?何か企みでもあるのか?
みたいな。
この数話あとで亮のモノローグがあるんですけど、そこと合わせて読むと、そんな感じに受け取れるんですよね。

ちなみにこの直後、雪を家に送り届けた亮に対して淳がジェラシーぶつけてきますから、「え?なに?まさか本気と書いてマジなわけ!?」と混乱してしまうわけで。
あの淳がそこまで執着するなんて…一体コイツは何者なんだ?ってところから、亮の雪に対する関心が深まっていったのかなーという気がしますね。

という長文をひっさびさにスマホで打ち込んだら見事に全消しやってもたーーー!泣
しくしく書き直しつつ、もうスマホでコメント書くの絶対やめようと誓ったさかなです…。
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 (ちょびこ)
2013-11-02 16:51:50
さかなちゃん、ステキなコメ書いてくれたのに、消えちゃうわ、ダブルUnknownだわ。笑
本題忘れてつい笑ってしまった。
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ですよねぇ~ (Yukkanen)
2013-11-02 16:53:48
ここの解釈難しいですよねぇ~。
なんか記事的に亮の心情を入れたくてこうして書きましたが、本来は彼自身自覚は無いでしょうし‥(^^;)
けれど‥の続き、皆様の解釈の多くは「それだけの理由で淳がこいつに関わってるわけねーよな」なのですね~!ふむふむ!

そしてさかなさんが皆さんの解釈をすごく上手にまとめてるなぁと思いました。
そういうことですのね!ではそれも「けれど‥」の後に盛り込みます~!
皆さんと一緒に作って行けてうれしーな。分かりやすいぞ!(嬉しさのあまり柳先輩)




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ふふふ (ちょびこ)
2013-11-02 17:04:51
冷静な師匠も、さすがに欲望が勝ってしまったようですな。ふふふ。
そらー、願望としては、ねぇ。。?

せめて亮さんくらい、思ったコトははっきり口にして欲しいわー。
もー、やっとスッキリ。
スッキリスル委員会発足(笑)
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ふむむ・・・ (かに)
2013-11-02 17:24:53
皆さんのお考え、なるほどですね。

自分で書き忘れですが、この女になにが・・・のあとに、
「本当のところはわからないけど、とにかく淳が関わるなと威嚇してくるなら、あえてもっと関わってやろうじゃねぇか。」と。
そして2度目の「送ってやるよ」(本気で心配そうな表情の芝居)」と言ってるようにも取れるなと思っていて。

この時点ではまだ仕返し要素が残っているのか?と疑問が残っています。

んーっムズカシイ!!
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どんぐりちゃん (ちょびこ)
2013-11-02 17:50:29
多分、私の方がもっとニブチンだと思うのでご安心を。笑
師匠はじめ、みなさんのコメで初めて、はっ!(白目)とするコトばかり。
自分も頑張ろう!などとは思わず、「へぇ~ふぅ~ん。なるほど~!」と思う自分を楽しんでます。
何かに気づいたとしても、後で皆さんの解釈読んで、あー、それで何かシックリしなかったのかー、と、そこで思い出して納得する、というパターンも。
そもそも、ここのブログ読まなかったら、雪ちゃんたら先輩と亮さんどっち選ぶの~♪なんてノーテンキに浮かれてたかもしれません。
特に青さんのご意見なんかはメカラウロコですよ。皆さん、それぞれ持ち前の感性や経験(?w)で感じ取ってらっしゃるんですかね。文章も達者ですし、多分読書量とかも多いと思われます。
今さら追いつけないのでw、もうぶら下がりに徹する、それでもちゃっかり「姉様」と呼ばれるちょびこなのでした。
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ちょびこさんへ (どんぐり)
2013-11-02 22:08:29
皆さんのコメントが素晴らしいので、多分、構えて(?)いました。  ||_-*)…..
ちょびこさん、優しい言葉、ありがとうございました!
そうですよね、仲間に加えていただいたのだから、楽しめばいいのですよね!
皆さん、あたたかくていい人ばかりですし!(皆さま、的外れなコメは笑って許してくださいませ…)
ちょびこさま、今後は「姉様」と呼ばせてください! 

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