Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

初めて会ったその場所で

2014-06-17 01:00:00 | 雪3年3部(静香の携帯~地下鉄にて)
雪は帰りの地下鉄のホームで電車を待ちながら、一人息を吐いてげっそりしていた。

もう死にそう‥マジで‥



ただでさえ中間試験で頭が痛いというのに、横山からは再びストーカー行為をされ清水香織からは変に絡まれ‥。

再び繰り返されるさざ波のような災難に、雪は閉口していた。

すると雪の耳に、聞き慣れた声が聞こえて来た。

「お~いダメ~ジヘア~!よっ!」

 

河村亮だった。彼は手を振りながら雪に近づくと、ニヤリと笑って話し掛ける。

「何だ?図書館行くんじゃなかったのか?」

「‥止めました。考えてみたら行かない方がいいです」



雪は横山のことを思い出してゲンナリしたが、

気分を変えて亮に「ピアノの方は上手く行ってますか^^」と質問した。



亮は顔を顰めながら「毎日ゲンコツ食らってばっかだ  ̄- ̄」と答え、

そのまま二人は沈黙した。




俯きがちに小さく溜息を吐く雪を見て、亮の脳裏に先日目にした光景が浮かんで来た。

夜道で淳と雪が言い合いをしていた。

淳の元から逃げるように去る彼女は、苦しそうな表情を浮かべていた‥。




どこか落ち込んでいるように見える雪を前に、亮は心のままに口を開く。

「お前もしかして‥淳と何か‥」



そう口にしたところで、雪は亮の方を向いた。

彼女の切れ長の大きな目が、亮のことを真っ直ぐに見つめる。



こう真正面から見つめられては、それ以上聞くのは野暮だと思われた。

亮は首を何度か横に振ると、誤魔化すかのようにストレッチを始める。

「あ、イヤイヤ‥な、仲良くしてっかぁ~?あ~疲れた‥」



亮は心の中で、何でこんな質問しちまったんだと己を責めていた。

その後もブツブツと言い訳を口にする亮を見て、雪はフッと軽く笑う。



そして深く溜息を一つ吐くと、観念したように口を開いた。

「やっぱり全部駄々漏れですか‥ちょっと‥あんまり良くなくて‥」



そう言って俯く雪を見て、亮は気まずそうに相槌を打った。そして諭すように言葉を続ける。

「そ、そうか?まぁ、男女の仲にゃ色々あっからな!」



オレには関係ねーけど、と言って亮は取り繕うように笑った。

そんな亮の隣で彼を見上げていた雪は、イタズラな表情で口を開く。

「ねぇ河村氏、思い出してみれば‥初めて会った時、この場所で話し掛けて来ましたよね?

お前青田淳とどういう関係だーって」




あれはまだ春学期が開講して間もない頃だった。

いきなり現れて不躾な質問をして来た彼の印象は、ハッキリ言って良くなかった。



雪はあの時のことを思い出して、不敵な笑みを浮かべて話を続けた。

「あの時は何このヤンキーと思ったもんですよ」



そう口にしながらも、雪は心の中で思う。でもイケメンと思ったことは内緒にしておこう‥と。

そんな彼女を見て亮は、意地悪な顔をして彼女に近づいた。

「あぁ?そのヤンキーに頭突きしたお前は何だ?ヤ◯ザか?

見てっとお前はマジで時々ヤバイことやらかすから恐ろしいぜ‥」




亮に頭突きをしたり、塾で男子学生に突っかかって行ったり‥。何かと危なっかしい雪に、亮がそれとなく釘を刺す。

けれど雪も自分からしたくてしたわけではなく、相手が自分を怒らせるからだと口にした。

亮と雪の会話は続く。

「テメーはそんな状況になったら全部のケンカ買うってか?」

「うわ~笑っちゃう!河村氏はムカつく人が居ないってんですか?」



雪はそう言い返した。すぐに手が出る亮から言われたら堪らない。

亮は眉を寄せると、天を仰いで息を吐いた。

「まぁ、いるっちゃいるな。静香のガキと、じゅ‥」



つい口から淳の名前が出かかり、

ハッと気が付くと気まずそうに雪が亮を見上げていた。



いやまぁその‥と亮は言葉を濁し、誤魔化すように渇いた笑いを立てる。

バレバレなのだが‥。



雪は亮の口から「静香と淳」が出たことで、心の一部が騒ぐのを感じた。

気まずそうに未だ笑いを立てている亮に、それとなく質問をする。

「あのところで‥河村氏のお姉さんと先輩って‥すごく‥仲良いんですか?」



雪からの質問に、亮は「は?」と片眉を上げて聞き返す。

雪は首を横に振りながら、幾分気まずそうに話を続けた。

「あ、いえその‥今はそんなに良い関係じゃないってことは知ってるんですけど、

それでもそれなりには気兼ねの無い関係に思えて‥」


「そりゃまぁ、幼馴染みだから‥」



亮はそう口にしてから、彼女の質問の意図を推し量って聞いてみる。

「どーしたよ?気になんのか?」



雪は「いや、まぁ‥」と言葉を濁してから、黙り込んだ。

気まずそうな表情を浮かべながら、そのまま二人は立ち尽くす。



電車を待つ人波の間で、暫し亮と雪は口を噤んだまま肩を並べて立っていた。

二人の心の中には同じ様に、淳と静香の姿が浮かんでは消える。



すると亮が突然、雪の方を向いて拳を固めて見せて来た。強い口調で口を開く。

「おい、もし家の姉ちゃんと喧嘩することがあれば、まずは髪の毛を引っ掴めよ!」

「はい?!」



そう口にした亮は、女同士のケンカのイロハを雪に説き始めた。

まずは先制攻撃として髪の毛を掴み、次は床に引き倒して‥と彼の教えは続く。



戸惑う雪に、亮は姉の危険性を切々と説明した。

以前服屋で見かけたあのクレイジー女を思い出せと言って‥。


雪と亮が初めて会ったその場所で、彼等は気を使うこと無く会話した。

時に笑い合い、時に罵り合い‥。




そんな親しい空気を震わせて、電車はホームに滑り込んでくる。

亮が初めて彼女に会った時は、電車に乗った彼女をそのまま見送った。




そして出会って半年経った今は、共に同じ電車に乗って、同じ街へと帰路を辿る‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<初めて会ったその場所で>でした。

亮と雪の関係も、初めの頃に比べて格段に近づきましたねぇ。

初めて二人が会った場所で繰り広げられる会話だからこそ、その空気の温かさが伝わってきます。


そして初めて亮が話し掛けた時も今も、二人の間に淳が居る、という構図は変わっていませんね。

この図が今後変わることになるのか‥先を見守ることにしましょう‥。


次回は<ピアノとオレとアイツとお前>です。


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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
そして (めぷ)
2014-06-17 10:35:24
亮さんの教えの通り、清水香織の髪の毛を引っ掴んで床に引き倒したわけですね。。。笑
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まぁまぁ (CitT)
2014-06-17 14:22:20
髪を引っ張ったのは香織が先じゃなかったんですか。雪は正当防衛...そう考えましょう...
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なるほろ (むくげ)
2014-06-17 18:55:42
髪の毛鷲掴みはお亮さんの教えだったのか
勉強を教えてもらったかわりにケンカの極意を(笑)
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コメの流れを変えてスミマセン。どなたか戻してくださいませ・・・。 (どんぐり)
2014-06-17 19:53:54
横山と香織に振り回され、うんざりと疲れている雪ちゃんは、亮から「お前もしかして‥淳と何か‥」と問われるまで、先輩とのことはしばし忘れていましたね!?
先輩とのことは、気持ちの沈む大きな原因ではあるでしょうけれど、またもや横山と香織に絡まれる災難、邪魔されて、勉強に集中できないことのほうが、今の雪には悩み順位が高いですよね?
それにまさか亮から、先輩とのことを聞かれるとは思っていなかったのかな。

>「どーしたよ?気になんのか?」
なんて、チョットからかうように雪ちゃんに寄り添う亮。
アイツは恐ろしい奴だ、悩んでいないで別れちまえ、などと言わずに、雪ちゃんの応援をする姿が優しくてセツナイです・・・。

>そして初めて亮が話し掛けた時も今も、二人の間に淳が居る

ああ、ほんとだ・・・。と、じーんとしました。
そして初めての時と今では、二人の持つ淳への気持ちも変化している・・・。
何だかとても、切ないような、懐かしいような、時の流れを感じました。

ふざけながら会話をする二人の姿に、それぞれ淳を先輩を、アイツはそういうヤツだからなぁ、みたいに、心の中ではもう許しているんじゃないかな―、と感じましたが・・・。
雪と亮がお互いに相手を信頼して会話をする姿に、私がそう感じただけでしょうか・・・。
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亮は確かに淳に「ミウンジョン(嫌な情)」がありますよ (CitT)
2014-06-18 09:29:27
だってピアノガンガン叩くシーンで、彼の頭の中には幼い淳もありました。
友達だった頃の淳と今の淳の差も、亮の悩みの一つなんです。
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