Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪と淳>誘い

2014-08-23 01:00:00 | 雪2年(コンペ事件)
これはとある秋の一コマ。赤山雪が二年生の時の話である。

「以上で発表を終わります」



雪は無事プレゼンを終え、ホッと息を吐いた。

今期取っている授業は、プレゼン形式のものがとても多い。

それでもグループワークよりは大分マシだと雪は思いながら、席へ向かう階段を上る。

 

そしてその途中で、前を向いて座っている”彼”に目を留めた。青田淳である。

淳は雪の方をチラとも見ずに、次の発表者のことを眺めている。



雪は出来る限りその姿すら見たくないのだが、今期は随分と彼と授業が被っている。

雪は幾分苛立ちながら、足音を立てて階段を上った。

どうした?また質問攻めにして恥かかせには来ないのか?今日は黙りこくっちゃってさぁ



そう思いつつ記憶に浮かぶのは、つい先日の教室での一コマだった。

彼は経営学科の皆が聞いてる中で、雪が学祭の為に考えたアイデアを叩き潰したのだ‥。



あれから、もう彼に関与するのは止めようと、雪は強く決心した。

それきり雪は彼の方を見もせずに、自分の席へと戻って行く。



そんな雪の姿を、青田淳は彼女が通り過ぎてから目で追っていた。

胸の中にはいけ好かない思いが広がるが、なぜか視線は彼女を追う。



しかし彼女が前を向いて座ると同時に、淳は再び前を向いた。

微かに後ろの席を気にしつつ。




そして授業は終わり、学生達は三々五々席を立った。

雪はお昼を食べた後、聡美と太一と合流して学館に行こうと頭の中で計画を立てる。

「あ、あのー‥」



するとそんな雪の元へ、一人の学生が声を掛けて来た。

見上げてみると、そこに背の高い男子学生が一人立っていた。



こんにちは、と男は挨拶して来たが、雪は彼の顔に見覚えが無かった。

雪は目を丸くして、しばし無言で彼と相対する。



やがて男は雪に向かってこう声を掛けた。「さっき発表してた子だよね?」と。

雪が曖昧に頷くと、続けて男は「経営学科?」と聞いてくる。

雪は警戒心を露わにしながら、「そうですけど‥どちら様‥」と小さく口にした。



男は雪が自分を怪しんでいると気付き、ポケットからIDを取り出した。雪はそこに書いてある学籍番号を見て小さく呟く。

「あ‥先輩‥」



他学科の学生が多いこの授業で、声を掛けて来た男は雪と同じ経営学科の先輩だった。

雪は幾分決まり悪い気持ちで初対面の挨拶をすると、男は「やはり同科の後輩だった」と雪を見て笑みを浮かべる。



男は雪に名前を聞いてきたので、雪は自己紹介をした。すると男は微笑みながら、今度は自分の紹介をする。

「俺、三田スグル。◯◯年度入学の、今四年生」



男の自己紹介を聞いて、改めて雪は挨拶を返した。

三田は今期からの復学生で、バイトや就活でバタバタしていたのであまり授業に顔を出せなかったらしい。

そして三田は雪に向かって、早速本題を切り出した。

「実はその為に話掛けたんだ。後輩の‥いや赤山さんの助けを借りたくてさ」



三田のその言葉に、雪は疑問符を浮かべた。

どういうことだか、まるで話が見えない。



三田は、「絶対に損はさせない」と前置きしてから話を始めた。

三田と友人達は”起業コンペ”に参加しているのだが、急な事情で本戦に必要なメンバーが足りなくなってしまったと。

三田は雪のプレゼン力を見て、即戦力になると踏んだらしい。そしてこれは雪にとってもメリットがある。

黙って話を聞いている雪に南は、参加するだけでも就活の助けになるし、

起業のアイデア大会みたいなものだから難しくは考えなくて良い、と優しく言った。



そして三田はニッコリと微笑んで、説明の最後に雪に向かってこう言った。

「経営学科に入った以上、こういうこともやってみなくっちゃ。だろ?」



雪は三田の話を聞きながら、頭の中でこう思った。

そういえば私‥勉強しかしてないもんな‥。この先輩は、色々と動いてるんだ‥。

私みたいな単位主義よりは、こういう人の方が就職も上手くいくんだろうな‥。




三田は雪に向かって、先ほどのプレゼンがすごく上手かったと言って彼女を褒めた。

幾分照れる雪に向かって、三田は爽やかな笑顔を浮かべて彼女を誘う。

「どうかな?一度考えてみない?是非やろうよ!ね?」



しかし雪は即答は出来なかった。

幾分気まずそうな空気を出しながら、「私はアイデアも出してないのに‥」と小さく呟く。



けれど三田は「そんなことは気にしないで」と言って首を横に振った。

突然の人材不足で切実な状態なんだ、と続ける。

「5名1チームで、残りの3人がほとんどやってるし、プレゼンテーターだけ必要なんだ。

他の授業に特に支障もきたさないよ」




雪は三田の話を聞けば聞くほど、そのおいしい条件に惹かれて行った。ただ参加してプレゼンをするだけで、

履歴書に書ける項目が一つ増える‥。

三田は微笑みながら、気さくな調子で言葉を続けた。

「それに同じ科の先輩後輩なんだから、変に難しく考える必要もないよ」



三田は鞄からメモを取り出すと、そこに自分の名前と電話番号を書いた。

「一度考えてみて」と言いながら。



絶対面白いからさ、と手渡された紙を持って、雪は笑顔で返事をした。「考えてみてからまた連絡します」と。

三田は「断っても良いから。変に負担に思わないでな」と優しく雪に言葉を掛ける。



そして三田は爽やかな笑顔を浮かべ、後ろ手に手を振りながら最後にこう言った。

「コンペのことに限らず、分からないこととか相談したいこととかあれば、連絡してな!」



そして三田は去って行った。何度も振り返り、大きく手を振りながら。

「連絡してね!」



雪は突然の申し入れに暫し呆気に取られていたが、

三田が去ってから、改めて手渡された紙を見ながら考える。



雪は三田に対して少し申し訳無く思いながら、安心したように息を吐いた。

つい変に警戒してキョドっちゃったけど‥かなり良いチャンスじゃん!気にしなくても大丈夫か?



するとその瞬間、すぐ傍をあの男が通り過ぎた。

雪は心底驚きながら、青田淳の後ろ姿を見て心の中で叫ぶ。

ギャッ!!ビックリしたっ‥!!



まるで幽霊のように現れた彼に、雪の心臓は跳ね上がった。

けれど彼は一度も雪の方を振り向かない。



確かに後方に彼の存在を感じたのに‥と雪は思いつつ、訝しげな表情をして彼の後ろ姿を見ていた。

無視しよう関わらないでいようと思うのに、彼はいつも心のどこかに引っかかる‥。





家に帰ってからも、雪はずっとコンペについて考えていた。

椅子にあぐらをかいて座りながら、鉛筆を口と鼻の間に入れるユニークなスタイルで。

就活‥コンペ‥。ただ黙って机に齧りついてるよりは‥。

履歴書に一行でも書くことが増えれば‥。




こんな機会は滅多にないと、雪は結論づけた。脳裏には、笑顔を浮かべる三田の姿が浮かんで来る。

あの先輩の印象も爽やかで良かったし‥



連絡してね、と言い去る三田を思い浮かべ、雪は照れたように少しニヤついた。

勿論それが目的では無いにしても、イケメンに越したことはない‥。



とにかく雪はやってみることに決めた。

そして三田に電話を掛けたのだった‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>誘い でした。

雪より遥か下の方の席に座っていた淳が、なぜ最後に上方から下方へ通り過ぎて行ったのか‥。

それを思うと南と会話していた雪の姿をチラチラ見ていたであろう淳の姿が想像出来ます^^

気になってるのな。


次回は<雪と淳>男の本性 です。

*2015.5.18
日本語版にて男の名前が「三田スグル」となりましたので、
当ブログで使用していた「南俊彦」を変更致しました。
何卒ご了承下さい。


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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (りんご)
2014-08-23 03:01:36
ほぉ~っ。
なるほど、ぐるっと回ってかなり気になってるのな。

一気に脱力…
おいとま。
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気になる木 (むくげ)
2014-08-23 09:21:57
だったのね
こんな昔から
しかし見過ぎだ淳
案外ばれてたんでは
淳のこと好きな女たちには

しかしこの回想録みたいなの挟まれて脱毛いや脱力ですな
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脱力 (ゆっけ丼)
2014-08-23 22:20:04
気になってる先輩、かわゆす。ほっぺかわゆす。
ツンツンしちゃってまぁ。
本家読んでた時は何でここでこれ挟むねーん。と思っていましたが、先行き怖すぎてむしろちょっぴり遠回りしてもいいかなと思う今日この頃です。
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三田の発音はSantaですか? (CitT)
2015-05-19 00:54:41
だったら何たる皮肉。全然嬉しくない出会いですし。
下の名がカタカタなのも不思議です。
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多分‥ (Yukkanen)
2015-05-19 10:24:08
CitTさん
「みた」だと思います。三田。
韓国語と同じ「M」音で合わせたんじゃないかなと。
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