Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

最悪のタイミング

2013-11-04 01:00:00 | 雪3年2部(再会~三者対面)
雪と亮は再び並んで歩き出した。

先ほどの”変態”が隣人ということを受けて、本当に大丈夫なのかと亮は何度も雪に確認する。



雪ももう何度目かの「大丈夫ですってば」を繰り返したところだった。

この角を曲がれば雪の家が見える。



亮は辺りを見回しながら、近辺の安全を今一度確認した。

「何かあったときはオレに言えよな」と言って、隣のおっさんにも気をつけろと念を押した。

「だからあのおじさんは本当に誤解なんですってば‥」



俯きながら、雪がいい加減ゲンナリと言葉を返した時だった。

顔を上げて家の前を見た時、時が止まった。







淳の視線が、ゆっくりと雪と亮とを移動する。





三人は暫し固まった。顔を合わせるには、最悪なタイミングである。

一番先に口を開いたのは、顔面蒼白になった雪だった。


「先輩?!どうしてここに?!」




淳の視線は雪よりも亮に注がれた。

彼を凝視しながら、ここに居る理由を口にする。

「大学の近くで事件が起こったって聞いて‥来てみたんだけど‥」



そんな淳の視線を受けながら、亮が顔を顰める。

互いがどうしてここにいるのか、理解不能であるようだ。


「雪ちゃんは電話に出ないし」



淳はそう言って雪に視線を流す。少し非難めいた口調だった。

雪の携帯は鞄の中に入っていたため、その着信に気が付かなかった。塾に居る時は基本マナーにしているからだ。


雪はそのことを弁解しようとするも、今の状況にパニくってしまい言葉は尻すぼみになった。

前門の虎、後門の狼‥。

  

どんな勇者でも立ちすくんでしまう状況だ。

雪は顔を上げて今の状況を説明しようとすると、それよりも先に先輩が口を開いた。

「俺が確認した限りは、玄関と窓はしっかり施錠されてたよ。

けど部屋に貴重品とか置いてない?」




雪のことを待っていた間、先輩が色々と確認してくれたことに思わず雪がハッとなる。

しかし彼女が口を開く前に、今度は亮が淳に向かって皮肉を投げた。

「さっすが優しいね~!天下の青田淳サマが人の心配をしてる姿はこれまた新鮮だ」



そんな亮の嘲笑に対し、淳は直球で返した。

彼の切り札が、亮に向けられる。

「彼女なんだから当然だろ」




「ナッ?!」



亮は後ずさりをしながら、淳と雪の顔を交互に見た。

いきなり告げられた事実。

雪は否定することなく、引きつった表情で亮を窺う。

「は‥は‥」



亮はその事実を受けて、今までの出来事が頭の中で繋がった。

淳に向かって言葉を続ける。

「ハイハイ、そういうことね~!やっと分かったぜ。

その愛しの彼女の為に、姉貴の金のアテを切ったってワケか?!」




恐ろしい、と亮はじっと淳を見つめたまま言った。

なんて恐ろしい野郎だと続けながら、亮の怒りは沸点に達した。

「このクソガキ‥!」




突然の亮の怒りに、雪は驚きながらも黙りこむしかなかった。



先輩の方を窺うが、彼は亮ではなく雪の方に声を掛けた。

「雪ちゃん、先家に入ってて」



雪は「え? でも‥」と先輩の言葉に戸惑った。

しかし淳は雪の顔を見ながら、反論を許さぬ口調で繰り返した。

「入ってて」



威圧的な口調、高圧的な視線‥。

それ以上雪は何も言えず、彼の言葉に従って家への階段を上った。

未だ整理のつかない頭と、ついていけない状況に心をざわつかせたまま。










淳と亮は、雪の姿が見えなくなるまで黙り込みその場に佇んでいたが、

不意に亮がけたたましい声で笑い出した。

淳はそれを無表情でじっと見ている。

「ぶはははは!くははは!うははは!」



ひとしきり笑った亮は、ニヤニヤと嗤いを浮かべながら口を開いた。

「マジかよ?!信じらんねー。オレがテメーの彼女に接近してっから?」



父親の次は彼女まで奪われると思ってんのかと、亮はおかしそうに言った。

静香に対する仕打ちの原因が”嫉妬”だったと知って、亮は愉快で堪らないのだ。


淳はそんな亮を前にして、深く溜息を吐いた。面倒くさそうに口を開く。

「喧嘩腰なのもいいけど、相手にするのも面倒くさいからほどほどにしてくれ」



ヤダね、と亮は言った。

そして嗤いながら、今度は自虐的な皮肉をぶつける。

「なんだよ。もう片方の手もぶっ潰してやるってか?」




淳は苛立ちのあまり、彼の皮肉をかわすことなく傷をえぐってみせた。

ほどほどにしてくれという忠告を聞かない彼への、仕返しの意味も含んでいた。


「‥本当にそうしてやろうか?」




あの事件について、今までしらばっくれて来た彼の、攻撃的な一言。

亮はその一言で頭に血が上るのを感じ、手に力を込めた。血管が浮き出る。

そのまま淳に向かって、掴みかかろうと右手を伸ばした。




しかし、すんでのところで亮は手を止めた。

淳がその様子を、無表情のまま観察するように眺めていた。



亮は振り上げた手を下ろすと、淳を睨んだ。

やれるもんならやってみろ、と凄みながら。

「そん時はオレだって黙っちゃいねーぞ!もう失って怖ぇもんなんて何もねーんだ」



「そん時はてめーも道連れだ‥!」

心の中に、ドロドロと怨みや憎しみが滾る。血を吐くような亮の警告。

しかしその悲痛な叫びも、淳には届かない。


彼は小首を傾げながら、冷静に言った。

「なんでそんなことを言う?違うだろう」



静香が聞いたら寂しがるぞ、と言い残して淳は背を向けた。

そのまま雪の部屋へと続く階段を上る。




その場に残された亮は、しばし呆然としてその後姿の残像を追っていた。



じわじわと事態を把握出来てくると、思わず唇をギリリと噛んだ。

亮の悔しさが叫びとなって夜道に響く。


満月は頭を抱えた亮を、ひっそりと照らしていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<最悪なタイミング>でした。

初めて雪と亮と淳が揃いましたね!

しかしまぁなんというか‥タイミングは最悪です。今回は亮がキレ、次回は‥。

<背中越しの怒り>です。

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2 Comments

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「先入ってて」 (ちょびこ)
2013-11-04 18:33:02
師匠の訳にケチつけるワケじゃぁございません。
こいつ(笑)、「先に部屋に入ってて」って!!
後からおめぇも入ってくるってか!
なんて図々しい男だー!

まぁ、本題はソコじゃなくて。笑
日本語版では、念押しのように「な?」でしたよね、確か。
後で雪ちゃんが(先輩に楯突く時)「命令口調」と指摘する程のニュアンスを持ってないので気になってました。
もう一度「入ってて(って言ってるだろ?のニュアンス)」の方がシックリクル~!←山本高広ふうではなく、パクりのザキヤマふうに。
あー、今日もスッキリしたー。
師匠は今頃沖縄の空の下なのかしら。。

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ちょあー (Yukkanen@沖縄)
2013-11-04 23:00:51
姉さま、「入ってて」にご賛同ありがとうございます~(^○^)
もうニュアンス的には命令なので「入ってろ」とも少し迷いましたが、さすがに「入ってろ」だとその場で腹立つかなと思って「入ってて」を選択しました。
微妙なニュアンスの違い、面白いですね~(^^)
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