Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<亮と静香>高校時代(9)ーAcross the lineー

2014-07-19 01:00:00 | 河村姉弟1<幼少期~本当の家族>
「もう終わりか? あぁ?!」



暫し喧嘩に興じていた河村亮と岡村泰士+二人であったが、いつしか亮に軍配が上がっていた。

痛みに喘ぎ地面に転がる三人を、亮は傷だらけながらも見下ろしてそう口にしたのだった。

すると息を吹き返した一人が、「この野良犬野郎‥!」と再び亮に拳を振るおうとした。



しかし亮は彼を返り討ちにすると、地面に這いつくばるその男にニヤリと笑って言葉を返した。

「その野良犬に今日はやられちまえよ」



「オレはお前らみたいな奴らを、ガキの頃から飽きるほど殴ってきたんだよ」



そう口にする亮の眼の中に、憎しみの炎が燃えていた。

親が居ないと馬鹿にされる度に、異国の血が混じっていると中傷される度に、亮はこんな瞳をして攻撃して来たに違いない。

亮は転がる男を足で蹴りながら、ウサを晴らすように言葉を続けた。

「もう生きてる価値なくね?野良犬に殴られてよぉ。気分ワリィだろ?さっさとくたばっちまえよ」



するとそんな亮の後方で、泰士は地面に転がっている石に手を伸ばした。

左手でそれを掴むと、泰士は声を上げて後ろから亮に殴りかかる。

「このクソ‥!」



あわや流血事件、と思われた矢先、ストップが掛かった。

石を持った泰士の攻撃を、すんでのところで淳が止めたのだ。

「岡村、止めろ!」



淳によって泰士は石をその場に取り落とし、彼の苛立ちはMAXとなった。

泰士は恨みの篭った瞳で淳の方を振り返り、心のままに彼を攻撃する。

「クソッ‥!邪魔すんじゃねぇ!!」



泰士は仲裁に入った淳の頬を殴った。

するとそれを目にした亮はブチ切れ、思い切り彼に頭突きを食らわす。

「このクソがぁっ!!」



力の限りの亮の攻撃に、泰士はそのまま地面に倒れ込んだ。

殴られた箇所を擦る淳の瞳の奥に、蒼い炎が灯る。



亮は淳の方へと振り返ると、感情のままに怒鳴った。

「おい!お前戦う気ねーんなら入ってくんな!お前が殴られてどーすんだよ!」



淳は冷静な態度で地面に転がる三人を見下ろすと、諭すようにこう口にする。

「限度ってもんがあるだろ。皆いい加減にしろよ」



泰士が今しようとしていたことは、明らかに彼の思う限度を越していた。

だから今まで暫し静観していた淳も、これには黙っていられず飛び出して来たのだった。

すると泰士は、座ったままゲラゲラと馬鹿にしたように笑い出した。

「ったく泣かせるねぇ~!仲睦まじいですなぁ!

お前ら二人手と手を取り合って、アイドルオーディションでも受けに行ったらどうだ?どっちもカマみてーな顔しやがって」




その泰士の暴言に、再び亮は青筋を立てた。しかし言い返そうとするより早く、更に泰士は言葉を続ける。

「爺さんが教授だか何だか知らねーが、青田のヒモだからちょっと認められてるってだけで、

ピアノが無かったらお前なんてただのチンピラじゃねーか。ピアノがうめぇみてーだが、それがどうかしたか?

プロのピアニストじゃあるまいし、俺が生涯弾けないようにしてやろうか?!」




好き勝手口にする泰士に、亮は再び飛びかかろうとした。

しかしそんな亮の腕を淳は後ろからガッチリ掴み、「止めろって!」と制止する。



すると泰士は面白くなさそうに舌打ちし、今度は淳に向かって口を開いた。

「おい、一体理由は何だよ?お前は何の見返りがあってコイツのお守り役してんだ?

お前の家族は、お前がコイツのケツ拭いて回ってんの知ってんのか?

あんなご立派な家なのによぉ。親が泣くんじゃねー?」


 

その泰士の汚い言葉は、淳の心を正面から突き刺して来た。

扉の向こうに押し込めていたその醜い本心が、その言葉に呼応してぐらりと揺れる。



淳はまだ自覚してはいないが、おそらく泰士の口にした言葉と同じ様な感情を、心の奥に持っていた。

けれど泰士が思っているよりも、真実は更に芳しくなかった。なぜならば、今淳の置かれている状況は、

他でも無い父親が用意して来たものだからだ‥。


「おいっ!ほざくのもいい加減にー‥!」

亮は淳にまで口を出して来たことに腹を立て、再び攻撃しようと声を荒げた。

しかし次の瞬間、亮は目を見開いて固まった。泰士の後方に、世にも恐ろしい光景が見えたのだ。




バキッ!



なんとこの場に現れた河村静香が、鞄で泰士の後頭部を思い切り殴ったのだ。

「ぐあっ!何だ?!クッソ!なんで鞄がこんなにかてーんだよ!!」



静香は二回三回と攻撃を続け、頭を庇いながら泰士はそれに耐えた。

急展開する事態に、彼の仲間は呆然とし、亮は胸のすく思いでニヤリと笑った。

静香は狂気を孕んだ目をしながら、攻撃の手は緩めず冷笑を浮かべ、泰士に警告する。

「あんたら、一体誰に向かって吠えてんの?

あたしの弟と淳ちゃんに手ぇ出したら、殺すわよ?」




そう口にして泰士を殴り続ける静香の前に、見かねた亮が躍り出た。

「オ、オイ!もうこの辺にしとけ!一体鞄には何入ってんだよ‥!

んなことしたらマジで捕まるっつーの!」




そう言って静香を懐柔しようとした亮だが、次の瞬間背中に衝撃が走った。

泰士が思い切り亮の背中を蹴ったのだ。

「このキ◯ガイ野郎供ぉ!!」



そのまま亮は、静香もろとも地面に倒れ込んだ。

泰士は殴られた頬を擦りながら、「殺す気かっ!」と二人に向かって吠える。



倒れこんだまま、亮は泰士を睨んだ。

「この‥」



すると、突然泰士がその場から崩れ落ちた。

なんと淳が、後方から泰士の膝の裏に蹴りを入れたのだ。

ガッ!



そのまま地面へと倒れ込む泰士。

しかし淳は倒れることを許さなかった。泰士の首根っこを掴み、彼の自由を奪う。



淳が手を出す姿など、幼い頃から傍に居た二人ですら見たことが無かった。

亮と静香は目を丸くして、淳の行動に驚愕する。



淳は泰士の首根っこを掴みながら、一度ぐいっと彼を手元に引きつけた。

泰士がその恐ろしさに声を漏らしても、淳の表情は変わらない。



泰士の目の前には、先ほど彼が手にしていた大きな石があった。

淳はそこに向かって、首根っこを持った手を勢い良く振り上げるー‥。

「うわあああああああ!!!」










淳は、泰士の鼻先数センチのところでその手を止めた。

泰士の頬を伝う汗が、ぽたりと垂れるのがスローモーションのように見える。



そして淳は泰士に一言声を掛けた。

その表情は、氷の面のように冷たかった。

「止めろ」



線を越えた者には、それなりの報復が必要だった。

そして淳は境界ギリギリの所での報復を、見事やり遂げて見せたのだった。


淳はゆっくりと首根っこを掴んでいた手を離すと、その場で固まっている泰士を見下ろしながら立ち上がった。

泰士の仲間達は彼に駆け寄り、亮と静香は信じられないものでも見たかのような表情で淳を見つめる。



淳は亮に向かって彼の鞄を投げ渡すと、困ったような顔をしてこう言った。

「頼むからお前も止めてくれ」



手をはたきながらそう口にする淳は、いつもの青田淳だった。

その顔を見た亮は幾分心がほぐれたが、やはり先ほど目にした恐ろしい幼馴染みの表情が、脳裏を離れなかった‥。



そのまま淳達三人は、泰士達に背を向けて歩いて行った。

静香が嬉しそうに淳の腕に自分の腕を絡ませ、亮は少しぎこちないながらも、そんな二人の後を歩く。



泰士はギリギリと歯噛みしながら、亮に向かって「覚えてろ!」と声を上げた。

亮は「へいへい」と言いながら、後ろ手に手を振ってその場を後にしたのだった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<亮と静香>高校時代(9)ーAcross the lineー でした。

淳の報復、恐ろしい程でした。

泰士に向かってケリをいれる姿は、数年後の亮のスネを蹴った姿と重なります。

 

足長いな‥。


そして細かいクラブ~。誤植?



静香の膝のあたりに「??」が‥。これは泰士の台詞でしょうね。フキダシを忘れてしまったのかな‥^^;


さて過去編も次回がとりあえずの最後。

<亮と静香>高校時代(10)ー花火ー です。




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6 Comments

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足長いな‥。 (めぷ)
2014-07-19 23:39:11
って師匠、そこですか!笑

先輩にとって亮と静香は、本心に近いものを出せる数少ない友人だったと同時に、面倒を起こす厄介な人達でもあったんですね。

神田の言葉で自分の本心をえぐらた先輩の表情が悲しい。。。その一瞬見えた本心も、結局は亮と再び向き合う頃には扉の奥に再び閉じ込められて。。。まだ高校生なのに、こんなことができてしまう彼が不憫でなりません。

それにしても亮さん、楽器を奏でるその手で人を殴ったらあきまへん。
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むむむ~ (ゆっけ丼)
2014-07-19 19:07:53
野良犬にもそのような意味があるとは。私は単純にハーフかっけーし羨ましいと思いますが、子供は時に本当に残酷ですよね´`
そして神田に言われて自分の心の奥に秘めた思いを自覚する先輩が…。いつも一緒にいただろう河村姉弟さえ取り乱した姿を見たことないってことは、喜怒哀楽ほぼ出してこなかったんだろーなーと切ないす。
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なるほど~ (Yukkanen)
2014-07-19 07:29:46
「野良犬」=粗野というイメージで捉えてましたが、なるほどここは「雑種」という差別的な意味合いでしたか‥。喧嘩の最中だからヒドイ言葉が飛び交うのはしょうがないにしろ、その言葉で小さい頃から中傷されてきた亮にとってはプッツン(古い?)でしょうね‥。
少し修正しときます。
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おっと (ちょびこ)
2014-07-19 01:48:42
投稿したら上にCitTさんが。

そうそう、ココ、翻訳機にかけると「雑種」って出てきましたよね。混血であり、親がいないという両方の意味で、あえて「野良犬」にしたのかな、と想像しながら読みました。
どこのボンか知らんけど、人を罵る時に、本人のせいじゃないコトをネタにするとは情けない男よのぅ、ミンテ。
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なんと…っ! (ちょびこ)
2014-07-19 01:42:14
静香の膝から??が(笑)!!
この手の誤植は、佐藤先輩の時(消し忘れ?)以来ですかな。
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涼が「野良犬」呼ばれるのは (CitT)
2014-07-19 01:41:23
ハーフ(正確にはクォーター)だから。「Twighi」とは異種交配の結果で生まれた動物(ラバ、ライガー、十姉妹X文鳥など)のことですが、混血への差別語でもあります。

淳君は殴られたのも悔しいけど、それより「親が泣くぜ~?」発言でキレたように(私には)見えます。なぜかな。
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