Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪>巻き込まれた災難(2)

2013-06-25 01:00:00 | 雪2年(グルワ、ホームレス事件)
翌日、聡美が雪の包帯の巻かれた手を見て声を上げた。



大きな声で心配する聡美に、雪は昨日のことを説明しようとした。

しかし‥



気がついたら、周りの人達が皆雪の方を見ていた。

とっさに、「‥ツナ缶を開けようとして‥」と嘘を吐く雪。

聡美が、びっくりさせないでよと安堵の溜息を吐く。

「さっき聞いたんだけど、昨日教育科の校舎にホームレスが忍び込んだんだって!」



雪はビクッとしたが、昨日はすぐに帰ったんだともう一度嘘を吐く。

「そっかよかった~!なんでも女の子が一人殴られて、未だ意識不明らしいよ!」



雪が耳を疑っていると、前に座っていた学生が「違う違う!」と話し掛けて来た。



それを皮切りに、皆口々に昨日の事件についての推測を口にし始めた。

「私が聞いたのは逃げる途中に階段から転げ落ちて‥」

「俺はホームレスがその女の子を裏山に引きずって行ったって聞いたぞ」

「その子歯も全部折れちゃったらしい。学校も辞めるらしーよ」



噂というものは、回るのが早くて過大されていて、そして当たっていることは一つもないものだ。

雪は昨日、警備員さんに言われた通りになったと思い返した。

「たまに構内でこういう事件が起きた後によくあるんだが、

変な噂が立っちゃ本人が苦労するだけだから、このまま黙って過ごすのが一番だよ。

明日学校に来てみれば分かるだろうけどね」




黙っておいてよかった‥と思いながら、雪は自販機で一人ジュースを買った。



缶を拾おうと手を伸ばすと、鋭い痛みが走る。



思った以上に重症らしい。

溜息を吐く雪。

すると誰かが、雪の代わりに缶を拾ってくれる。



顔を上げると、思いもしない人物だった。





青田淳。

雪は躊躇いながら礼を述べる。すると、その手どうしたのと彼は聞いてきた。

これは‥と雪が説明しかけると、彼は言った。

「昨日何かあったの?」



「昨日‥ですか?」



不信を感知する、雪の勘が働いた。

彼のこんな眼差しを、いつか見た気がする。

それを見た後は決まって、雪の心にザワザワとさざ波が立った。

「昨日教育科で起きた事件で皆大騒ぎだろ。もしかしてと思って聞いてみたんだ。

雪ちゃんも残ってたのかなぁと思って」




雪は否定した。ツナ缶を開けるときに切ったのだと。

青田先輩はふぅん、と含みを持たせた返事をした。

自販機にお金を入れ、ボタンを押す。

「雪ちゃん‥転ぶわ手ぇ切るわ‥。もっと自分自身に気を遣ってあげなきゃダメだよ」



ゴトン、と缶が落ちる。

「え?」と聞き返した雪に、彼は静かに言った。

「いや、気をつけろってことだよ」



怪我をして損をするのは自分だろう、

そう言って、彼はジュースを手に取った。

「昨日の事件と関係ないなら、よかった」



お大事に、と言って彼は去っていった。

雪の胸にモヤモヤとしたものを残して。

あれのどこが心配してる顔なのよ‥。むしろ嬉しそうなんですけど



すると後方から、何やら物音が聞こえた。



振り返ってみると、平井和美だった。



一瞬雪と目が合ったが、彼女はすぐに視線を逸らすと駈け出して行った。



雪は事態が飲み込めなかった。

いつも青田先輩と会話をした後に和美と会うと、睨まれるのが常だったからだ。

あの二人に何かあったのだろうか。

理解不能の状況に、雪は一人立ち尽くした。







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雪が感じたデジャヴ。

先ほどの、彼のあの眼差し。



雪があれと同じ眼差しを見たのは、確か横山のことで新学期が始まってすぐ彼を問い詰めた時のこと。



そんなつもりじゃなかったのに、と彼が言った時。

あの時と同じ目をしていた。

これらの共通点は何だろう?

あの何もかも分かっているような目つき。

きっとその瞳の中に、彼の描いたシナリオが記されている。

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<雪>巻き込まれた災難、でした。

謎に包まれたホームレス事件ですが、次回その真実が明らかになります。
雪でも淳でもない、ある人物の視点から描かれるお話です。



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