「クッソ~!あのアマァーーーー!」
岡村泰士は激怒し、「あのクソビッチめ」と言ってゴミ箱を蹴っ飛ばした。
彼は河村静香に対して激怒しているのだった。
「あのアマ!俺の名前すらちゃんと覚えてねーじゃん!」
泰士の隣で友人達はヒソヒソと囁いた。どうやら河村静香から、ウザいからもう連絡するなと言われたらしいと。
「あの腐れビッチが‥。人を弄んで、結局俺を捨てやがって‥!どんだけ貢いだと思ってんだよ!」
泰士は涙まで流して悔しがっていたが、「分かっていたくせにどうして騙されるんだ」と友人達の反応は冷ややかだった。
静香が複数の男に良い顔をしては次々と捨てて行くのは、今や周知の事実だったからである。
しかし泰士の腹の虫はおさまらず、静香に対するあらん限りの罵詈雑言を口にし続けていた。
「マジ生まれながらのクズだよ、クズ。クソビッチ。もうあの顔で人を弄ばないように傷つけてやろーか」
するとその場に、河村亮と青田淳が偶然居合わせた。
目の前で繰り広げられる姉の悪口大会に、思わず亮は手が出そうになる。
「は? 何ビッチだって? あぁ?」
今にも泰士に飛び掛かりそうな亮を、後ろから淳が制止する。
泰士は先ほどの悪口を亮に聞かれたことに気がついたが、構わず言葉を続けた。
「んだよ、居たのかよ。お前、姉貴のことちゃんと監視してろよ。
教授の孫娘だってのに、あれじゃお先真っ暗じゃね?あんな乞食みてーなことしくさって‥」
その泰士の口の悪さに、亮はブチンと頭の後ろで何かがキレるのを感じた。声を荒げて言い返す。
「この負け犬野郎が!お前の方が縋り付いてたくせによぉ!
相手にされなかったからって、キャンキャン吠えてんじゃねーぞ!
ついて来いよ!今日オレがお前を棺桶に沈めてやんよ!」
そう言って駆け出そうとする亮を、淳はガッチリと掴んで離さない。
彼の名前を呼んで、厳しい口調で注意した。
「おい亮!噛み付くのは止めろ。毎回毎回何してんだ」
淳の目を見た亮は、思いとどまって動きを止めた。
泰士は亮に向かって中指を立てると、鋭い目つきで口を開く。
「お前も俺の弟いじめんじゃねーぞ、殺すかんなー」
亮が「黙れ」と返すと、泰士達一行は息を吐き捨ててそのまま行ってしまった。
亮は大きく息を吐いて、その後姿を苛立ちとともに見つめている‥。
その後、岡村泰士御一行は談笑しながら構内を歩いていた。
楽しそうに会話に興じる彼等は、遠くから自分達の方へ向かってくる足音に気がつかない。
先ほど歩いて来た方向から、河村亮が全速力で向かって来ていた。
それを追いかける淳は「ダメだって!」と声を上げるが、亮は止まらない。
そして淳が一層大きく「亮!」とその名を呼ぶ声に、
ようやく泰士は振り返った。
しかしその眼に亮の姿を映す前に、衝撃と共に世界が歪んだ。
バキッ!!
亮の飛び蹴りがクリティカルヒットした泰士は、その場から数メートル吹っ飛んだ。
「おいっ‥!」
泰士はそのまま地面に倒れ、攻撃を与えた亮もその場に尻餅をついた。
淳が亮に声を掛けるも、もう遅かった。
泰士は背中を押さえながら、痛みのあまり暫しその場から動けなかった。
仲間が彼の名を呼んでも、反応も出来ない。
すると亮は、泰士の方へツカツカと歩いて行ったと思うと、転がっているその男を足で踏んだ。
泰士の顔が痛みで歪む。
亮は泰士を見下ろしながら、恐ろしいまでの静かな口調でこう言った。
「おい、もう一度言ってみろクソ野郎」
「あ? 何ビッチだって?」
そう口にする亮は、世にも恐ろしい形相をしていた。
しかし足蹴にされながらそれを見上げる泰士は、怯えよりも怒りの方が勝ったようだ。
泰士は「この野郎!」と声を上げながら、
自分を踏んでいる亮の足を振り払う。
しかし亮はその場に倒れながらも、もう一度泰士の頬を蹴り上げた。
泰士は頬を擦りながら、ギリギリと歯噛みして亮の方を睨む。
そして泰士は亮の方へツカツカと歩いて行き、力任せに胸ぐらを掴んだ。
二匹の血の気の多い狂犬が、低い唸り声と共に相対する。
「殺すぞ!よくも不意打ちしやがって‥!」
「テメーは何様のつもりで、うちの姉ちゃんにクソビッチだの顔をどうにかするだの吠えやがんだ?」
「あっちこっちに尻尾振ってんのはテメーの姉貴だろーが!
あれが安売りじゃなきゃなんだってんだ?」
「は?お前もあっちこっちに手ぇ出しまくってんじゃねーか」
二人は会話を重ねながら、互いに手も出し合い始める。
「うちのねーちゃんはまだまだ若いから!血湧く青春みてーに色々楽しみたいっていうのによ!」
亮は泰士の攻撃を交わし、代わりにもう一発パンチをお見舞いした。
先ほど蹴られた箇所を再び殴られた泰士は、頬を押さえて痛みに顔を歪める。
しかし亮は止まらなかった。オレも血が騒いでおさまらないと言って。
「うちのねーちゃんをボコりたいか?ならその前にお前がボコられろッつーんだよ!」
「オレにな!」
亮はそう言いながら、その長い足で泰士に蹴りを食らわそうとしたが、彼は間一髪、ダッキングでそれを避けた。
すると泰士の仲間が、後ろから亮をガッチリと捕まえる。
泰士は仲間達に、「そいつしっかり捕まえとけよ」と言うと、渾身の一発をお見舞いした。
「歯ぁ食いしばれっ!」
バキッと大きな炸裂音が響き、亮は頬を張られた。
しかし亮はすぐさま身を翻し足を高く上げると、再び泰士の頬を強く蹴り上げる。
泰士は頬と鼻を押さえてうずくまった。
「くっそ!殴ったとこ何度も‥!」
痛みに顔を歪める泰士の後ろで、亮は彼の仲間にも攻撃を加えている。
泰士はブチ切れ、再び亮の元へと拳を固めて向かって行った。亮は吠えながらそれを迎え撃つ。
うおおおおおお!!
そして彼等は再び喧嘩に興じた。
死ね、お前が死ね、と互いに声を上げながら、ガチンコファイトを続行する。
そしてそんな彼等の熱い拳のやり取りを、少し離れた場所で淳は静観していた。
溜息を吐きながら、誰に聞こえるでもなく一人呟く。
「いいさ。ほどほどにしてくれよ」
そう言って淳は、一人冷めた眼で彼等を見ていた。
線を越えない範囲でならば好きなだけやってくれと、そう呟く淳の前で彼等は、パンチの応酬を繰り返す‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<亮と静香>高校時代(8)ー二匹の狂犬ー でした。
THE・喧嘩ですね‥!
まるでヤンキー漫画を読んでいるかのような場面‥。描写も難しいです‥^^;
次回も過去編。
<亮と静香>高校時代(9)ーAcross the lineーです。
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岡村泰士は激怒し、「あのクソビッチめ」と言ってゴミ箱を蹴っ飛ばした。
彼は河村静香に対して激怒しているのだった。
「あのアマ!俺の名前すらちゃんと覚えてねーじゃん!」
泰士の隣で友人達はヒソヒソと囁いた。どうやら河村静香から、ウザいからもう連絡するなと言われたらしいと。
「あの腐れビッチが‥。人を弄んで、結局俺を捨てやがって‥!どんだけ貢いだと思ってんだよ!」
泰士は涙まで流して悔しがっていたが、「分かっていたくせにどうして騙されるんだ」と友人達の反応は冷ややかだった。
静香が複数の男に良い顔をしては次々と捨てて行くのは、今や周知の事実だったからである。
しかし泰士の腹の虫はおさまらず、静香に対するあらん限りの罵詈雑言を口にし続けていた。
「マジ生まれながらのクズだよ、クズ。クソビッチ。もうあの顔で人を弄ばないように傷つけてやろーか」
するとその場に、河村亮と青田淳が偶然居合わせた。
目の前で繰り広げられる姉の悪口大会に、思わず亮は手が出そうになる。
「は? 何ビッチだって? あぁ?」
今にも泰士に飛び掛かりそうな亮を、後ろから淳が制止する。
泰士は先ほどの悪口を亮に聞かれたことに気がついたが、構わず言葉を続けた。
「んだよ、居たのかよ。お前、姉貴のことちゃんと監視してろよ。
教授の孫娘だってのに、あれじゃお先真っ暗じゃね?あんな乞食みてーなことしくさって‥」
その泰士の口の悪さに、亮はブチンと頭の後ろで何かがキレるのを感じた。声を荒げて言い返す。
「この負け犬野郎が!お前の方が縋り付いてたくせによぉ!
相手にされなかったからって、キャンキャン吠えてんじゃねーぞ!
ついて来いよ!今日オレがお前を棺桶に沈めてやんよ!」
そう言って駆け出そうとする亮を、淳はガッチリと掴んで離さない。
彼の名前を呼んで、厳しい口調で注意した。
「おい亮!噛み付くのは止めろ。毎回毎回何してんだ」
淳の目を見た亮は、思いとどまって動きを止めた。
泰士は亮に向かって中指を立てると、鋭い目つきで口を開く。
「お前も俺の弟いじめんじゃねーぞ、殺すかんなー」
亮が「黙れ」と返すと、泰士達一行は息を吐き捨ててそのまま行ってしまった。
亮は大きく息を吐いて、その後姿を苛立ちとともに見つめている‥。
その後、岡村泰士御一行は談笑しながら構内を歩いていた。
楽しそうに会話に興じる彼等は、遠くから自分達の方へ向かってくる足音に気がつかない。
先ほど歩いて来た方向から、河村亮が全速力で向かって来ていた。
それを追いかける淳は「ダメだって!」と声を上げるが、亮は止まらない。
そして淳が一層大きく「亮!」とその名を呼ぶ声に、
ようやく泰士は振り返った。
しかしその眼に亮の姿を映す前に、衝撃と共に世界が歪んだ。
バキッ!!
亮の飛び蹴りがクリティカルヒットした泰士は、その場から数メートル吹っ飛んだ。
「おいっ‥!」
泰士はそのまま地面に倒れ、攻撃を与えた亮もその場に尻餅をついた。
淳が亮に声を掛けるも、もう遅かった。
泰士は背中を押さえながら、痛みのあまり暫しその場から動けなかった。
仲間が彼の名を呼んでも、反応も出来ない。
すると亮は、泰士の方へツカツカと歩いて行ったと思うと、転がっているその男を足で踏んだ。
泰士の顔が痛みで歪む。
亮は泰士を見下ろしながら、恐ろしいまでの静かな口調でこう言った。
「おい、もう一度言ってみろクソ野郎」
「あ? 何ビッチだって?」
そう口にする亮は、世にも恐ろしい形相をしていた。
しかし足蹴にされながらそれを見上げる泰士は、怯えよりも怒りの方が勝ったようだ。
泰士は「この野郎!」と声を上げながら、
自分を踏んでいる亮の足を振り払う。
しかし亮はその場に倒れながらも、もう一度泰士の頬を蹴り上げた。
泰士は頬を擦りながら、ギリギリと歯噛みして亮の方を睨む。
そして泰士は亮の方へツカツカと歩いて行き、力任せに胸ぐらを掴んだ。
二匹の血の気の多い狂犬が、低い唸り声と共に相対する。
「殺すぞ!よくも不意打ちしやがって‥!」
「テメーは何様のつもりで、うちの姉ちゃんにクソビッチだの顔をどうにかするだの吠えやがんだ?」
「あっちこっちに尻尾振ってんのはテメーの姉貴だろーが!
あれが安売りじゃなきゃなんだってんだ?」
「は?お前もあっちこっちに手ぇ出しまくってんじゃねーか」
二人は会話を重ねながら、互いに手も出し合い始める。
「うちのねーちゃんはまだまだ若いから!血湧く青春みてーに色々楽しみたいっていうのによ!」
亮は泰士の攻撃を交わし、代わりにもう一発パンチをお見舞いした。
先ほど蹴られた箇所を再び殴られた泰士は、頬を押さえて痛みに顔を歪める。
しかし亮は止まらなかった。オレも血が騒いでおさまらないと言って。
「うちのねーちゃんをボコりたいか?ならその前にお前がボコられろッつーんだよ!」
「オレにな!」
亮はそう言いながら、その長い足で泰士に蹴りを食らわそうとしたが、彼は間一髪、ダッキングでそれを避けた。
すると泰士の仲間が、後ろから亮をガッチリと捕まえる。
泰士は仲間達に、「そいつしっかり捕まえとけよ」と言うと、渾身の一発をお見舞いした。
「歯ぁ食いしばれっ!」
バキッと大きな炸裂音が響き、亮は頬を張られた。
しかし亮はすぐさま身を翻し足を高く上げると、再び泰士の頬を強く蹴り上げる。
泰士は頬と鼻を押さえてうずくまった。
「くっそ!殴ったとこ何度も‥!」
痛みに顔を歪める泰士の後ろで、亮は彼の仲間にも攻撃を加えている。
泰士はブチ切れ、再び亮の元へと拳を固めて向かって行った。亮は吠えながらそれを迎え撃つ。
うおおおおおお!!
そして彼等は再び喧嘩に興じた。
死ね、お前が死ね、と互いに声を上げながら、ガチンコファイトを続行する。
そしてそんな彼等の熱い拳のやり取りを、少し離れた場所で淳は静観していた。
溜息を吐きながら、誰に聞こえるでもなく一人呟く。
「いいさ。ほどほどにしてくれよ」
そう言って淳は、一人冷めた眼で彼等を見ていた。
線を越えない範囲でならば好きなだけやってくれと、そう呟く淳の前で彼等は、パンチの応酬を繰り返す‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<亮と静香>高校時代(8)ー二匹の狂犬ー でした。
THE・喧嘩ですね‥!
まるでヤンキー漫画を読んでいるかのような場面‥。描写も難しいです‥^^;
次回も過去編。
<亮と静香>高校時代(9)ーAcross the lineーです。
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引き続きキャラ人気投票も行っています~!
こんにちは~!
コンさんの仰る通り、私も亮は姉思いだなと思いました。(この後の展開で逆も然り)
両親が居ない彼等は、普段は罵り合っていても心の奥は繋がっているんでしょうね。
本当幼少期の静香は不憫ですよねぇ‥。変に可愛いから叔母さんの嫉妬を買っちゃったんでしょうね‥。
今後先のストーリーに静香はますます絡んでくるので、彼女の未来にも乞うご期待、ですね^^
まあ、だれでも兄弟の悪口聞いたらイラっとしますが...。
なんか、普通に食卓にいる静香を見てると、普通にノリの良い、良いお姉さんに見えて(まあ、作ってるんでしょうが)、
小さい頃に叔母さんにあんなことされなければ良い美人なお姉さんだったんだろうになあと思って少し悲しくなります(~_~;)
やってることはもちろん悪いし、もっと自立すべきですが、静香は被害者でもありますもんね。小さい頃の傷はなかなか癒えませんし。
いつか静香が良い方向に変わってくれる日が見たいなあ~(o^^o)
ここで神田が言っている「アマ」というのは、女性を低めて言う時の言葉です‥。蔑称、といえば良いのか‥。
一応質問版でこういうの見つけたのでリンクつけときます。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1325406158
「アマ」って何です?植物のあれ?