Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

心地良い狭間

2016-12-22 01:00:00 | 雪3年4部(突撃〜時の流れ)


もうすっかり空は暗くなっていた。秋の夜に虫の音が響いている。

三人のスパイは身を寄せ合って一つのソファに掛けていた。

誰も一言も喋らず、ただ前を向いている。

  

それにしても三人で一つのソファはさすがに狭い‥。

なんでこんなギュウギュウに‥



それは先程淳と亮がこんなやり取りを交わしたからだ。

「あっちに座ってれば?」「は?ぼっちとかヤだし。」



まぁわからんでもないけど‥






そんなわけで三人は並んで座っていた。

前を向いて座る雪のことを淳はじっと見つめ、亮は頬杖を付きながら明後日の方向を向いている。

膝を抱えた体勢のまま、雪は二人に向かって礼を言った。

「二人共、助けに来てくれてありがとうございます」



それに応える淳。

「当然だよ」



そして亮。

「助けるもクソもねぇよ、ついて来ただけだ」



そして再び三人の間に沈黙が漂う。

少し不満そうな淳と、ただ前を向いて座る雪、得意そうに鼻を鳴らす亮。

  

そっぽを向き合う淳と亮の間で、雪は小さく息を吐いた。



何だかとっても非現実的



雪はチラリと淳の方を見てみたが、その表情は窺えなかった。



膝を抱えた体勢のまま、雪は天井を眺めながらぼんやりと考え事をする。

「‥‥‥‥」



どうしてこんな所に座ってるんだろ‥。

つーか蓮‥やってくれたよね




アイツ、ウチの経済状況分かってて、敢えてこんな所来たのかな。

だからってこんなのに騙されるか?バカなの?アホなの?

もっと大変なことになって借金背負うことになったらどーすんの?

お母さんもお父さんも元気なわけじゃないって分かるじゃん‥それより怪我はしてないでしょうね?

てか私明日も試験なのに、全然勉強出来てないよ!そして恵とはどんな顔して会うつもり‥?




蓮に対する怒りや心配が頭の中でぐるぐると回る。

居ても立ってもいられないのに、ただ座っているだけの苦痛。

雪の溜息が、白く曖昧な天井にぼやけて消えて行く‥。







淳はそんな雪のことをじっと見つめていた。

雪は天井を眺めながら、重たい溜息を小さく吐き出す。



彼女の頭の中ではさぞ様々な考えが巡っていることだろう。

淳はそんな雪を慮って、彼女の手をそっと握る。



雪は握られた手の温かさを感じて、淳の顔を見上げた。

見つめ合う二人の姿を、亮は視線だけ動かしてチラリと盗み見る。



「河村氏」



モヤッとしたものが胸の中に芽生えることに気を取られていた亮は、

突然彼女から名前を呼ばれて思わず動揺した。

「あ、えっ?!」「ところで実際の所、蓮はどうだったんですか?」

「なんで?!えっ?!」






心配そうな顔で亮のことを凝視する雪の顔が、すぐ近くにあった。

亮はぽかんと口を開けながら固まっていたが、後に冷静になると自身の知る限りの情報を伝える。

「あ‥知らん。居なくなっちまって。他の部屋に連れて行かれたみてー」



「全員ぶっ飛ばして上がってみっか?」

「いえ、結構です」



亮は焦れながら、なんとか突破口を開けたいと地団駄を踏んでいた。

「いいだろ?!一分待ってみて来なきゃ殴り込みだ!」「五分経ったらにしよう」



淳は亮の無謀な作戦に乗る気は無かったが、なんとかしなくてはならないという気持ちは同じだった。

もしかしたら雪に危険が及ぶかもしれないという考えの元、淳は亮に向かって批判を口にする。

「ていうかお前、どうして雪にメールした?するなら俺にしろよ」「は?」



「はいぃ〜?そりゃーこういう時は家族に連絡するだろうがよ」



二人はバチバチと火花を散らし合い始めた。

「聞き捨てならないな。危ないと分かってて一緒に来たのか?」



「あのな、今蓮は彼女に捨てられたくなくて宙ぶらりん状態なわけよ。

んな奴にまともな判断が出来ると思うか?オレにだって止めらんねーよ!」




ヘン!と鼻で息を吐き、亮は前のめりでこう話し始める。

「つーかよ、テメーは理性的すぎて理解できねーんだ」



「おいダメージ、コイツは見た目よりお子ちゃまだからな。

お前の愛の力で包み込んでやれよ?ww」
 そろそろまた始まるか‥



亮の皮肉に目がテンになる淳の隣で、雪はまた二人の言い争いが始まる気配をビンビン感じていた。

思った通り今度は淳が亮に向かって口を開く。

「お前近々出て行くって言ってたよな。どうしてまだここに居る?

蓮君は経験ないからしょうがないにしても、お前はピラミッド商法だって分かってたハズだろ?」


「アイツが正気に戻ってから出て行こうと思ってよ。悪ぃか?」



雪は火花を散らし合う二人に挟まれながら、そのやり取りを黙って聞いている。

「ここ出てく前に色々やることあんだよ、オレにもよ」「だからどうしてお前が?」



「分かってたんなら最初から止めろよ。皆の心配の種を増やすだけだろ?

雪なんて試験期間中なのに駆けつけたんだぞ」
「え?そうなん?」



コクリ‥



素直に頷いた雪に向かって亮は息を飲み、ボソボソと言い訳を口にし始めた。雪は黙って受け入れる。

「そりゃ‥その‥悪かったな。けどダメージどうこうじゃなくて、

蓮とは兄弟みてーな感じだからよ、だから来たんだ。勘違いすんなよ?

つーかオレにもそれなりに事情っつーもんがあんだ。偉そうに言わないでもらえます?お坊ちゃま!」


「そのお坊ちゃまっての止めろ、「ダメージ」も」「はぁ?!」



「坊っちゃん坊っちゃん坊っちゃん坊っちゃんダメージダメージダメージダメージ」

「お前とはもう何も話したくない」 二人共本当お子ちゃま‥



二人はまた小学生男子のようなやり取りを重ね、互いに互いをけなし合っていた。

くだらない言葉が出ては消え出ては消え、白く曖昧な天井に溶けて行く。



そんな二人の間で雪は、頬杖をつきながらふっと笑った。

この狭間は随分と心地が良い。



ホント、非現実的状況だ



騒動と騒動の間の、非現実的なその時間。

雪は二人に挟まれながら、ずっとその温かな体温をほのかに感じていた‥。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<心地良い狭間>でした。

イケメン二人に挟まれる雪ちゃん‥いいですね〜^^

そして雪のことを慮って手を握る淳が印象的でしたね。

急に話し掛けられて慌てる亮さんも良かったです。


さて次回は<脱出>です。


☆ご注意☆ 
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています〜!