幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

やっぱり信州蕎麦・5

2021-08-29 | グルメ

またまた信州蕎麦放談。

ものの本によれば、全国各地の名物そばには、そのルーツが信州だといわれるものがある。

江戸時代、信州から移封になったお殿様が、そば職人を連れていってそばを打たせたとされる。

移封先は、もともと蕎麦の産地だったのであろうが、信州のそば打ちの技法が加わり、独特なスタイルに変化し根付いたようにみえる。

三つの例をみてみよう。

 

1.保科正之公 高遠藩から会津藩(福島県)へ

高遠城址は桜の名所として賑わうが、残念ながら天守は残っていない。

高遠そばは、焼き味噌、辛み大根、きざみネギを混ぜてそばつゆとする独特なもの。

しょうゆベースの汁に慣れていると、違和感を感じるが、これはこれでおいしいものである。

もう1点、「くるみだれ」が付き2種類の味が楽しめる。

 

会津若松城には立派な天守が再建されている。

会津の「高遠そば」は、何年も前、大内宿で食べたことがあるが、変わった形のそばであった。

大きな塗りの器に入ったそばを、大根おろし、削り節を薬味にして、添えられた長ネギを箸替わりして食べるのだった。

箸代わりの一本ネギも薬味としてかじりながら・・・。

 

2.仙谷政明公 上田藩から出石藩(兵庫県)へ

上田城跡には天守は残っておらず、隅櫓や再建された櫓門などがある。

出石では、蕎麦は白いお皿5枚に小分けされて出てくるのが特徴である。

面白いことに、この様式が上田にUターンして、「里帰りそば」として提供されていた。

コロナの影響か、残念ながら、昨年からそのお店は閉じられている。

再開を願うものの一人である。

 

規模は大きくはないが、美しい出石城。

新そば出ると、「出石 新そばまつり」が行われる。

今年の開催はどうなるであろうか?

 

3.松平直政公 松本藩から松江藩(島根県)へ

松本城、松江城のいずれも天守が現存し、人気のあるお城である。

松本城跡では大規模な「そば祭り」が行われるが、コロナ感染の拡がりで中止かもしれない。

 

松江城天守、ここも立派な天守が現存する。

お城の近くで入ったお蕎麦屋さん。

楕円形の三段重ねの器に入ったそばに、つゆをかけて食べる独特のもので、信州では見ない形である。

そばを前に戸惑っていると、店主が、その食べ方を細かく教えていただいた。

 

信州の高遠、上田、松本の各藩から藩主(保科氏、仙谷氏、松平氏)が、お国替えに際してそば職人を連れていったとされる。

きっと、お殿様もそば好きで、移封先でも「信州そば」が食べたかったのであろう。

新たな地で、その形を変えながら名物そばとして発展し、今日に続いているのは興味深い。

今もそこに行けばその蕎麦が食べられるのは、そば好きにとってはこの上もなくうれしいことである。

 

 

 

 


大根の種蒔き

2021-08-24 | 日記

夏草が生い茂って地面も見えなかった畑の草をとり、畝を整えた。

 

今年はコロナ感染の心配もあり、思うように東京との移動ができない。

そのため、例年と異なり、野菜の栽培は大いに手抜きをせざるを得ない。

 

近くの農家に訊くと、大根の蒔き時としては少し早いといわれた。

しかし、最適な時期まで待つのは不可能なので、今日、蒔いてしまった。

また、本来なら、一つの穴に3粒ぐらい蒔いて、発芽してから良いものを残し間引きする。

ところが、間引きの予定も立てられない。

結局、一粒ずつ蒔き、丈夫な目が出ることに賭けた。

その上、成長段階の施肥、草取りなども一切しないことなる。

あきらめと期待が半々の、今年の大根作りである。

 

 


富山湾の宝石「しろえび」

2021-08-23 | グルメ

氷見(富山県)にキトキトの魚を食べに旅行したことがあった。

その時に、初めてしろえびを口にした。

海老特有の匂いも強くなく、おいしかった。

 

昨日、家内がスーパーで見つけたといって買ってきた。

ビールのお供にと、地物の野菜とともに天ぷらにし、揚げたてを次々テーブルに載せてくれる。

 

暑かった一日を終え飲むビール、これぞ至福の時。

揚げたてのしろえびのアツアツの天ぷらに、ついついグラスを干すピッチが速まる。

思わず、暑い夏がもう少し続いてほしい思ってしまう。

 


軽井沢発祥といわれる「駅そば」

2021-08-21 | グルメ

信越線・軽井沢駅の「駅そば」の話である。

 

「軽井澤」のレトロな雰囲気の駅舎。

新幹線開業ですっかり変わってしまった駅周辺だが、一郭に昔の駅舎が残っている。

 

信越線、東京から長野へ向かう列車は、上信国境の碓井峠(横川~軽井沢)を越えなければならない。

横川駅では機関車を増結して、パワーを増し難所に備える。

アプト式が採用された機関車は、列車を力強く引っ張り急勾配を登る。

軽井沢駅に着くと、増結された機関車を切り離すために、少々時間がかかった。

 

ホームにある立ち食い蕎麦屋さんから、ダシの利いたそばつゆの匂いが漂ってくる。

吸い寄せられるように足が向いたものである。

停車時間に一杯の蕎麦を食べ終り、発車ベルを待って車内に戻ることができた。

 

私は、「駅そば」は軽井沢駅で口にしたのが最初だった。

腹をすかせた若者にとって、軽井沢の駅そばはおいしかった。

 

セレブの別荘地「軽井沢」というイメージと「立ち食いそば」は結び付かなかった。

ところが、一説によると、軽井沢は「駅そば」発祥の地と言われている。

新幹線開業後、とんと軽井沢駅は利用しなくなったが、さて、あの駅そばはどうなったのだろう。

 


やっぱり信州そば・4

2021-08-20 | グルメ

長和町(長野県小県郡)の特産品として、ダッタンそばがある。

もともとダッタンそばは苦みが強く、食用には適さないとされていたそうである。

ただし、ここ長和産の「信濃霧山ダッタンそば」は、実際に食べても気になるような苦みは感じない。

私は、日頃、ダッタンそばの実を焙煎したものをお茶代わりに飲んでいる。

健康食品としての効能を期待してである。

 

長和町の「信州 立岩和紙の里」に、「焙煎ダッタンそば」を購入しに出かけたので、そこで昼食をとった。

店頭に下がった暖簾には、”地粉・自家製粉 手打ち”とある。

蕎麦好きにも、そうくれば申し分なしである。

 

写真を撮る時間にも蕎麦の味は変わる。

早速手を付ける。

手打ちのシコシコとした食感、口に広がる蕎麦の香りを楽しむ。

保存状態が良いのか、蕎麦の風味が残る。

そば一本一本は、真四角というより少し平べったく見える。

「どうだ!」と言うばかりに、定規で測ったようではないが、それは手打ちの良さでもあろう。

 

余談である。

そば処を出ると、建物の角に「100均」があった。

そこは、地元の野菜を、すべて一袋100円で販売する無人販売所だった。

お昼を過ぎ、売り切れのものもあったが、ナス、みょうが、ジャガイモを買う。

かなりのお値打ち感がする。