津和野には、郷土料理「うずめ飯」を提供するお店がいくつかある。
江戸時代、倹約令によって贅沢は禁止され、食事についても、人々は他人の目をあざむく工夫をしていたようである。
お椀の底に具材を入れ、それを「めし」で隠してだし汁をかけて食べる方法を考えた。
さだめし「私は贅沢はしてません、ごらんの通り質素な食事です」と見せたといったところか・・・。
事前に観光協会で「うずめ飯の食える」お店を教えてもらっておいた。
そのなかから、殿町通りのカトリック教会の目の前にある「沙羅の木」さんで昼食をとった。
「うずめ飯セット」が出来上がってきた。
意外や彩もきれいで、質素とは言えないものではないか。
うずめ飯の他、そば(出雲そばのような)が付いているし、刺身コンニャクと、エビ天・玉子焼き・かまぼこなどの盛り合わせがセットになっている。
「よくかき混ぜて召しあがってください」と言われた。
上にのったワサビとともに出汁とご飯をかき混ぜる。
お椀の底の方から、埋められていた(隠されていた)シイタケ、ニンジン、豆腐、三つ葉などが現れた。
食べた感じは、呑んだ後の〆に食べるお茶づけのようだった。
シンプルながらダシが効いていて、ワサビの香りと辛みがいいアクセントになりおいしかった。
ボリュームも程よく、ランチとしては良いセットであった。
もう一つの名物は、「源氏巻き」という和菓子で、津和野を代表するスイーツの一つ(津和野銘菓)のようである。
お店に並んでいたこしあん・白あんの二つを買って帰ったのだった。
キツネ色に焼かれた生地であんこを巻いてあり、好みの大きさに切って食べる。
しっとりとした生地にぎっしりとあんこがくるまれていて、濃いお茶に合いそうだ。
私は甘いものが苦手なので、銘菓の味も一口、お味見程度がせいぜいである。
「源氏巻き」のパッケージには、その歴史は元禄の時代に遡るとある。
今もしっかりと土地の銘菓として根を張っているのだ。
話は飛ぶが、津和野生まれの森鴎外は大の甘いもの好きで、ご飯にまんじゅうをのせてお茶漬けにして食べたほどだという。
そんな変わった食べ方をした鴎外はともかく、甘いものに目がない土地柄だったのであろうか?