幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

80歳の壁はどれほど高いのか

2023-01-08 | 

「80歳の壁」 発行:幻冬舎 著者:和田秀樹

 

「人生100年時代」といわれる今日、友人たちも、「まさか自分は100までいくことはない」と思っている人がほとんどである。

ところが、「自分は、100歳まで生きるとすればあと何年あるのだろう」と計算はするらしい。

還暦、古希、喜寿と乗り越えてきて、たしかに80歳は一つのポイントでもあるらしいのでこの本を読んでみた。

参考にするか否かは人それぞれとして、アラ・エイティーの知人にも読むことを勧めている。

 

日頃、残りの人生についてあれこれ考えるが、なかでも「健康」のことは真っ先にくる。

本書には「自分はこうしたい」と思っていることがいくつもあり、「よし!よし!」と、専門家から安心材料を得た気持ちである。

ちなみに、ひとつ、「血圧」について考えてみた。

過去に自分自身が受けた人間ドック(健診)の成績表を引っ張り出してきた。

2003年、今から20年前の「血圧の基準範囲」は、「~160/~90」とされていた。

同様に、2005年には「~139/~89」、2021年には「~129/~84」となっている。

血圧の基準値が、ここ20年の間でずいぶん下がっていることが分かった。

一方、私の血圧は年々高くなり、今は、20年前の基準値に当てはめたとしても基準値をはみ出してしまう。

そんなことから、医師の勧めで血圧を下げる薬を飲んだ経験もあるが、今は止めている。

本書でも、個人差があることだが、「数値」だけで異常と判断し、クスリを飲み続けることはないと指摘されている。

高齢になったら、若いころのレベルにする必要は無さそうである。

 

がん、認知症などの病やクスリに関することだけではなく、「老い」への向き合い方についてもヒントになることが多い。

食べたいものを食べて、やりたいことをやって、気楽に生きていくのが良さそうである。

・・・と言うのはやさしいが、私自身どれだけの覚悟をもって80歳の壁を越えられるのだろうか。

 


農業消滅

2022-01-11 | 

東京と地方との二拠点暮らしも、十年以上にもなる。

十年もたつと田舎にも根を張り、近隣の状況も少しは分ってきた。

田んぼの広がる地域ではあるが、集落の中で農業を継ぐ若者の話しを聞いたことがない。

農業をされる人の高齢化が進み、「子供たちには農業をやらせたくない」と言う声も聞く。

実際、現役世代は、車で通勤する「お勤め」の人たちがほとんどである。

一方、農地を見ると、少しずつ耕作放棄地が増えていく気配がする。

何年前からか、「求む、太陽光発電施設建設用地」の立て看板を見るようになった。

既に農地から転換されたところは、整然と発電パネルが並ぶ無機的な光景に変わった。

そんなところが、私の目に写る農家・農村の姿である。

 

私がお米を買うのは、集落内で米作りを続けているUさんからだが、そのUさんは80歳を超え決して若くはない。

よく「米作りは赤字だ」と言って、苦労話を聞かせてくれる。

日本の農業の実態はどうなんだろうか?、この本が目についたので読んでみた。

 

「農業消滅」 鈴木宣弘(著)、株式会社平凡社(発行)

 

本書によれば、日本の食料自給率は38%とされる。

このまま農業を担う人たちの高齢化が進んだ場合には、日本の農業はどうなる?

少なからず不安を覚えるのは、その点だけではない。

本書では、種や苗の確保の問題、さらには農産物の安全性などについても指摘されている。

「安全なものを不足なく食える」、そんな時代が続くことを祈らずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

 


「スマホ脳」を読んで

2021-05-07 | 

「スマホ脳」 新潮社(刊) アンデシュ・ハンセン(著)、久山葉子(訳)

聞きなれない単語も少なくなく、時には苦労しながらも興味深く読んだ。

 

この本を読んで、スマホは手を延ばせば取れるところから、すこし遠ざけて置くようにした。

ついスマホを手に取ってしまう動きを減らそうと試みている。

私たちは、インターネットやSNS、スマホやタブレットが、あって当たり前の社会に暮らしている。

本書によれば、それは人間の歴史上一瞬のことであり、我々の脳はデジタル社会に適応しているわけではないという。

ちゃんと理解できたわけではないが、デジタル社会が精神に与える影響について分かったような気がする。

 

著者は、「技術の発展は速く、その影響に関する研究が追いつかない」と指摘されている。

いま研究成果として現れているものは、数年前に計画され、調査・分析されたものだという。

これから着手されるテーマに結果が出るのは数年後ということになる。

ITの世界はさらに高速になり、多くのプラットホーム、アプリケーションが提供されるであろう。

本書で危惧されるようなことが、数年後どうなっているのか・・・。

その時点で、もう一度本書を読み直してみたいと思う。

それまでは、本書に「デジタル時代のアドバイス」としてまとめられていることに留意していきたい。