幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

釧路・根室の旅 その7「3通の証明書」

2023-10-31 | 旅行

今回の根室半島(釧路、根室)の旅で、思いがけず3通の証明書を入手した。

 

まず、根室本線・花咲線で釧路から根室に向かうと、終点・根室の一つ手前が日本で最も東にある駅「東根室」である。

日本(アジアも含めて)最も東の端にある駅に到達したという証明である。

 

次は、納沙布岬から北方四島を視察したという証明である。

今回の旅の実態からすれば、「視察」とはちょっと気恥ずかしい表現になっている。

 

あと一つが、日本本土四極のうち、最東端に到達したという証明である。

日本本土四極とは、北海道・本州・四国・九州の島を除いて、東西南北の最も先端にある地点を定義しているとのことである。

ちなみに、あとの北・南・西の3極は、宗谷岬(北海道)、佐多岬(鹿児島県)、神崎鼻(長崎県)ということである。

以前、旅先の途中、青森で会った青年は、バイクで、全国の半島や岬の縁をなぞるように走るのが楽しみだといっていた。

もし彼に「四極到達」が眼中にあったなら、すでにそれを果たしたであろう。

 

私にとって、いずれも何かの役に立つものではないし、自慢にもならない「証明書」である。

ただ、この年に、ここに旅行したという記念として、うれしいものである。

 


釧路・根室の旅 その6「さんまんま」

2023-10-30 | グルメ

ここで食べなければチャンスはないと思った。

北海道・根室半島の旅行の最終日、最後の「昼めし」をどうするか。

何にしようか迷った末、決めたのは「魚政」さんの「さんまんま」だったのである。

 

釧路フィッシャーマンズワーフ(MOO)の中にある「魚政」さんに寄った。

店頭では「さんまんま」を焼いていて、近くに行くとお店の方からいい匂いが漂ってくる。

実は、その前日に、幣舞橋の夕日見物の折りにお店の前を通り、その時の「おいしそうだな!」と印象が残っていたのだった。

お店の脇には、カウンターとテーブルがあり、そこで出来立てをいただくことができる。

見るのも、もちろん食べるのも初めてである。

出てきたのは、まんま(ご飯)にさんまが載った、まさに「さんまんま」である。

食べやすいようにカットされている。

 

ウナギのかば焼き風の味付けがされていて、ご飯にもその味がしみ込んでいる。

今、炉から直行した焼きたてのアツアツをほお張ると、タレとよくバランスしたさんまと御飯が口に広がる。

さんま一尾分にたっぷりのご飯、なかなかのボリュームである。

さんまの水揚げの多い釧路港、根室港が近いとあって、ふっくらとした肉厚のさんまだった。

帰ってから、「あの時食べておきゃよかった」と後悔せずに済んだ。


釧路・根室の旅 その5「くしろ夕日ハイボール」

2023-10-29 | グルメ

ホテルのフロントで仕込んだ情報によると、釧路で、晩ご飯を兼ねていっぱいやるとなると「栄町」。

ホテルからも歩ける距離であり、飲食店の集まる繁華街である。

 

取り敢えずのビールは別として、釧路での一杯は「くしろ夕日ハイボール」は外せない。

専用のジョッキには、沈む夕日に染まる空と、夕日に浮かぶ幣舞橋のブロンズ像がデザインされている。

飛ぶ三羽の鳥(カモメ?)も、「く・し・ろ」と読める凝ったデザインである。

ウィスキー、ソーダに、グレナデン・シロップが加えられているそうだ。

ジョッキを手にすると、その赤は、幣舞橋の上から見た「釧路の夕日」そのもののようだ。

飲み進めると徐々にシロップの甘さがつよくなっていく。

これなら、お酒の強くない人でも甘いカクテル感覚で飲めそうである。

 

その晩、「ここにしよう」と決めたお店が「さかまる」さんである。

釧路は炉端焼き発祥の地とされ、炉端焼きはもちろんであるが、その他にも新鮮な魚、寿しなどもおいしい大きなお店であった。

飲食店がひしめく界隈で、良いお店に当たったと思った。

 

刺身の盛り合わせを頼むと、マグロ(トロ)、カレイ、しめ鯖、えんがわの4点が盛られていた。

その他、好きなポテトサラダ、ナスの煮びたしなどをつまみに日本酒を楽しむ。

ポテトサラダにはいぶりガッコが混ざっていて、コリコリとした食感がいい。

 

おでんはいつも食べるのと変わりはないが、違いは「魚粉」をかけてどうぞといわれたことである。

おでんには「からし」のワン・パターンだったが、新しい味にチャレンジした。

豊かな魚介類に恵まれた釧路ならではの食べ方に、納得。

 

さて、お目当てのひとつ「厚岸のカキ」は、生でもよいが焼いてもらうことにした。

まずは2個注文したのだが、なぜか3個来たので訊いてみると・・・

「今年は海水の温度が高くてカキの身が太らない」、そのため「ひとつはサービスです」ということであった。

カキは、なるほど、予想より小振りであったが、良心的な対応にうれしくなる。

どの程度焼くかはわがままが言え、一個は少し強めに火を通してもらった。

 

日本酒は釧路の地酒「福司」の純米酒を冷で・・・。

やはり旅先では、その地の産物に地酒が一番である。

 

郷に入ったら郷に従え。

地元のおいしい食事とお酒で過ごす夜は、旅の一番の楽しみである。

 


釧路・根室の旅 その4「根室駅 駅そば」

2023-10-28 | グルメ

「にしんそば」を食べたことはあっても、「さんまそば」には初めて出会った。

 

根室駅で見つけたのが「北念仁」と染め抜かれた暖簾のさがったお蕎麦屋さん。

お店の場所と「根室駅そば」の看板から、蕎麦ががサッと出てくる、「立ち食いそば」のお店と勘違いしてしまった。

ところが、北海道産のそば粉と、出汁には羅臼産昆布と枕崎の本枯節とを使っている、本格的なお蕎麦屋さんであった。

 

納沙布岬方面の観光を終えた後のお昼時、まずはビールでのどを潤しながらメニューに目をやる。

めずらしい「さんまそば」が目についた。

 

熱い汁がかかった蕎麦に、さんまの開きとかまぼこが載っただけのシンプルなものである。

汁を一口すすってみると、看板に偽りなし。

鰹節と昆布のダシが良く利いたいい味が出ている。

 

トッピングされたさんまは、甘辛く、型崩れしないで柔らかく煮てある。

蕎麦をすすりながら食べるのにちょうどよい味付けである。

食べる前には、さんまの魚臭さが気になるのかと思ったが、蕎麦を邪魔することはなかった。

 

「さんまそば」を食べ終わると冷たい蕎麦も食べたくなり、お腹を励まし「もり」を一枚追加した。

もりは「摩周そば」そのものの味を、本格的な出汁で楽しむことができる。

こちらも間違いなかった。

そのおいしさに、苦も無く平らげたのだった。

 

偶然ではあるが、思いがけず、いいお蕎麦屋さんに入った。

お店の名前となっている「北念仁(ぼくねんじん)」は、「朴念仁」をもじったものだろうか?

ちなみに「朴念仁」とは、「無口で愛想のない人」、「わからずや」などを意味するらしい。

道内に自前のそば畑を持ち、神田で修行して本枯節を見つけたという、こだわりのご主人である。

頑固に味を追求するタイプの人なのだと想像する。

旅を振り返って、また、あの朴念仁さんの「さんまそば」を食べたいと思い出している。


釧路・根室の旅 その3「釧路 幣舞橋の夕日」

2023-10-27 | 旅行

「幣舞橋」を”ぬさまいばし”と読む。

恥ずかしいことに、今回初めて正しく読めるようになった。

釧路駅から駅を背に、北大通をまっすぐ行くと釧路川に出るが、そこに架かるのが夕日の名所「幣舞橋」である。

 

ちょうど日没のタイミングに、橋の上で夕日を見ることができた。

そこに着いた時には、すでに橋の上には多くの観光客がカメラやスマホを構え、その時を待っていた。

薄明かりが残る時間帯、橋の上に立つ四季のブロンズ像のシルエットも浮かび上がってくる。

 

今まさに、釧路川の河口方向に夕日が沈もうとしていて、徐々に周りの空を赤く染めていく。

「ワー!」、「きれい!」、方々から声が上がる。

 

雲間に太陽が隠れると、空一面が燃えるように赤く染まっていく。

何分間かの短い時間ではあるが、この自然が作り出す光景はあまりに美しい。

 

陽が沈んだ後もすぐにはその場を離れがたく、多くの人たちがしばらくは余韻を楽しむかのようにたたずんでいた。

この夕日を見るには、この橋の上に立つのは当然であるが、天候に恵まれ、日没の時間に合わせることが必要である。

今回の旅では条件が揃い、幸運であった。