信越線・軽井沢駅の「駅そば」の話である。
「軽井澤」のレトロな雰囲気の駅舎。
新幹線開業ですっかり変わってしまった駅周辺だが、一郭に昔の駅舎が残っている。
信越線、東京から長野へ向かう列車は、上信国境の碓井峠(横川~軽井沢)を越えなければならない。
横川駅では機関車を増結して、パワーを増し難所に備える。
アプト式が採用された機関車は、列車を力強く引っ張り急勾配を登る。
軽井沢駅に着くと、増結された機関車を切り離すために、少々時間がかかった。
ホームにある立ち食い蕎麦屋さんから、ダシの利いたそばつゆの匂いが漂ってくる。
吸い寄せられるように足が向いたものである。
停車時間に一杯の蕎麦を食べ終り、発車ベルを待って車内に戻ることができた。
私は、「駅そば」は軽井沢駅で口にしたのが最初だった。
腹をすかせた若者にとって、軽井沢の駅そばはおいしかった。
セレブの別荘地「軽井沢」というイメージと「立ち食いそば」は結び付かなかった。
ところが、一説によると、軽井沢は「駅そば」発祥の地と言われている。
新幹線開業後、とんと軽井沢駅は利用しなくなったが、さて、あの駅そばはどうなったのだろう。