喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

受賞パーティーの、出し物までの道のり

2013-04-04 14:06:46 | 芝居のこと
昨日。演劇評論家・安住恭子さんの和辻哲郎文化賞の受賞パーティーだった。受賞した著書は、「『草枕』の那美と辛亥革命」。演劇関係から、テレビ局や新聞社から、それぞれの道でご活躍の方々がいらっしゃっていた。私なぞはどうやら年齢的にも一番下で、ひよっこみたいなもん。その交遊関係の広さに、改めて安住さんの人柄を感じた。私、実は数日前に司会である、ぴあの小島さんから、安住さんの本の朗読を頼まれていた。リーディングを演出したことはあっても、自分が朗読したことなんぞは皆無に等しい自分が、そんな大役をこなすことが出来るのか、とドキドキしていた。しかし安住さんの本は、たおやかで歯切れ良く、すっと自分の中に入ってくる文章で、また内容も面白く、夏目漱石『草枕』の那美のモデルである前田卓(つな)という女性に、ぐいぐい惹き込まれた。この本と仲良くなれるかもしれない…と光明をちょびっと見出だしながら、読む箇所を選び、空いてる時間を見つけて稽古してみたのだ。改めて自分の声を録音して聞くと、低くて面白い。クリリンの真似してたなぁ、中学生の時。なんてことを思い出した。そんなこんなで、当日。朝、髪を切り気合いを入れる。いざ会が開始した。小林正和さんとキャロさんご夫妻による面白い花束贈呈から始まり、天野鎮雄さん山田昌さんご夫妻による乾杯の音頭。偉い方々のご祝辞、北村想さんのかっこいいギターとお歌…と会は進んでいく。おや…あたいの出番が回ってこない。小島さん、あたいはいつですか?あたいの出番は…。呂律が回らなくなったら困ると思い、この日は烏龍茶で過ごしていた。隣でノノヤママナコさんが「飲んじゃえ飲んじゃえ」と言ってくる。飲んじゃダメだ…飲んじゃダメだ…。会はさらに進み、てんぷくプロ、アベックビーズの方々の素敵な出し物があり…、まだ出番が来ない。そしてようやく林イズミさんからお声がかかった。「かのめちゃん、出番だよ。出し物のトリだから」。マ、マジすか。途端に乾くノド。「…う、う、烏龍茶を貰えますか」。舞台袖でお茶を飲み、気持ちを落ち着ける。小島さんから名前を呼ばれる。いざ本番。朗読をやっているニシムラタツヤ氏に電話して聞いた言葉を思い出す。「自分の声を聞くこと」「読み聞かせるのではなく、自分が読む」。きっと自分が本の内容を楽しみながら読めたらいいんだろう…と思いつつ、あっという間に本番が終わる。なんとか噛まずに読めた。おらなんとかやれただ、何故か心の中で悟空的しゃべりになる。安住さんは横でにこにこしながら聞いていてくださった。席に戻る途中、想さんに「良くやった」と握手していただいた。はせさんには笑いながら「お前朗読下手だなぁ、だけど下手さが可愛いなぁ」と言って頂いた。天野天街さん、小堀純さんも「凄く良かった」と声をかけてくださった。他にも沢山の方に、良かったと声をかけて頂けた。安住さんから「あなたが読むって知らなかった。涙出そうになった」と言われた時に、こっちが涙出そうになりましたわ。その後はようやく飲んで、色んな方とお話しして、歩いて帰路。歩きながら、小島さんたちの期待やお心遣いを感じ、感謝の気持ちでいっぱいになった。で、帰宅して、どこがどうだったのかを一人反省と反芻。松井みたいでやだな、と思った。でもあいつはいつもこんな気持ちで反省してるんだろうな、と思った。ふと、クリリンの真似、今は出来ないなぁきっと、と思った。クリリンが出来たということは、ルフィーも出来たんだろうな、と思った。

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2 コメント

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Unknown (ずし)
2013-04-05 01:30:57
愛されてますな~☆
ちょっと不器用ぽい鹿目さんは可愛いです。
しかし、このブログ内容とても面白い。
あ~面白い。そして元気もらえる。
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そんな (かのめ)
2013-04-05 14:14:23
そんなコメントに元気を貰える私です♪
いやはや、ホントに不器用ですから…(笑)
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