今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

衣替え

2009-10-01 | 行事
10月01日の今日は「衣替え」の日。
「衣替え」(ころもがえ)はもともと「更衣」(こうい)といい、季節によって衣服、調度を改める行事であった。
日本の国では、四季折々の自然の変化に富んでいることから、私たちの先祖は、古くから自然を愛し、自然に親しみ、自然と一体となった文化を育んできた。
それが日常の生活を多様にしてきたのだが、衣生活も自然の変化に従って営まれ、衣服によって季節感を表現することが行なわれていた。それが、「衣替え」(更衣)の習慣を生んだ。
「衣替え」の行事は歴史的には、平安時代の宮中行事から始った習慣で、当時は中国の風習に倣って4月日(朔=1日)に夏装束、10月朔日(旧暦)からは冬装束に着替える習慣があり、衣服によって一斉に季節感を表現していた。
当時はこのような「衣替え」を「更衣(こうい)」と呼んでいたが、天皇の着替えの役目を持つ女官の職名も更衣と言った。源氏物語桐壺)には「いずれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらい給ひけるなかに・・・」とあるように、後に天皇の寝所に奉仕する女官で女御(にょうご)に次ぐ者を指すようになったことから、民間では更衣とは言わず衣替えと言うようになったそうだ(詳しくは更衣 【女官】参照)。
また、鎌倉時代になると、更衣は衣服だけでなく、調度品までとり替えることを含むようになった。その後、この風習は武家や庶民の間にも普及してゆくが、平安時代の貴族の衣服は単(ひとえ)とされていたが、室町時代以後、綿入れ、帷子(かたびら。裏をつけない一重の服)が用いられるようになり、4月1日に綿入れを脱ぎ、(あわせ)を着、寒いときには下に白小袖(こそで)を着る。このことから、4月1日を綿抜の朔日(わたぬきのついたち)とも言った。(広辞苑)。また、武家ではこの日より足袋を用いずという規定もあったようだ。
江戸時代になると、着物の種類が増え、幕府は公式に年4回の衣替えでの出仕を制度化した。武家は、旧暦の4月1日からは袷小袖(あわせこそで)、5月5日からは単衣(ひとえ)、帷子、9月1日からは袷小袖、9月9日から3月末日までが綿入れ小袖というように、端午重陽節句を区切りとした更衣が行なわれるようになった。一般庶民もこれに従ったというが、四季それぞれの庶民の衣服は現存している者は少ないようだ。しかし、数多く残っている当時の浮世絵は、現代のファッションブックとしての役割をもち流行の情報源でもあった。江戸時代の風俗を知る上の資料としての浮世絵は貴重だ。(※江戸時代になると、木綿製ではない絹などの綿入りの服を「小袖」、木綿製ではない(あわせ)の服を「袷小袖」と呼ぶようになり、単(ひとえ) は小袖とは言わなくなったようだ。以下参考の※:夏貸文庫/メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバーの第10号 【単衣・袷・綿入れ】(ひとえ・あわせ・わたいれ)参照)
冒頭掲載の画像は、たばこと塩の博物館蔵の『絵本四季花』に出てくる「菊見」。旧暦9月9日の重陽の節句(新暦に直すと2009年の場合10月26日になる)。袷から薄綿を入れた小袖に着替える季節でもある。この頃の行楽の1つに菊見がある。画像右の内儀(人の妻)の小袖は笹に雪輪の裾模様、帯は芭蕉模様で文庫(女帯の結び方の一。蝶結びの一種)に結んでいる。隠居の老婆は前帯にしている。若侍は白絣(しろがすり。白地に紺・黒・茶などのかすりを表した布)に羽織、左の母親は細い縞に蔦模様の小袖、娘の小袖は萬寿菊(まんじゅぎく)の裾模様。当時巣鴨庚申塚(ここ参照)辺の染井(ソメイヨシノで知られている所)が菊見の名所だったようだ(NHKデーター情報部編、「ヴィジュアル百科・江戸事情」第六巻服飾編より)。
明治時代になると、明治政府は洋服を役人・軍人・警察官の制服に定め、夏服と冬服の衣替えの時期も制定した。1873(明治6)年1月1日より新暦(太陽暦)が採用され、太陽暦6月1日から9月30日が夏服、10月1日から5月31日が冬服と定められた。やがて、これが学生服にもおよび、さらに一般の人達にも定着し、官庁・企業・学校が6月1日と10月1日に衣替えを行うようになった。現在の着物(和服)の衣替えは、太陽暦10月1日から5月31日が袷、6月1日から30日が単衣、7月1日から8月31日が薄物(うすもの)、9月1日〜30日が単衣とされているようだ。衣替えは、豊かな四季の移り変わりがある日本特有の習慣であるが、それだけに着物には、四季を反映した文化が読みとれる。
しかし、ここのところ、寒暖差が激しくて、寒いくらいの日があるかと思うと真夏日に戻り、何を着ようかと毎日戸惑う陽気である。まだ暫くは、夏物と合物を両方用意しておかなくては仕様が無いよね~。だけど、最近の若い人には、季節ものにしても衣替えとは関係なく早々と着ている人や季節に似つかわしくない服装をしている人なども多く、余り、今までの日本人が感じてきた季節感とは違った感覚で衣服を着ているように思うな~。
(画像は、たばこと塩の博物館蔵の『絵本四季花』に出てくる「菊見」NHKデーター情報部編、「ヴィジュアル百科・江戸事情」第六巻服飾編より)。
参考:
和服
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E6%9C%8D
衣替え - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A3%E6%9B%BF%E3%81%88
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E6%9B%B4%E8%A1%A3%EF%BC%88%E3%81%93%E3%82%8D%E3%82%82%E3%81%8C%E3%81%88%EF%BC%89/
更衣 - Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E6%9B%B4%E8%A1%A3%EF%BC%88%E3%81%93%E3%82%8D%E3%82%82%E3%81%8C%E3%81%88%EF%BC%89/
衣替え&衣類整理のラク・コツ3則 - [収納]All About
http://allabout.co.jp/family/storage/closeup/CU20090310A/
袷 - Yahoo!百科事典
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E8%A2%B7/
※:日本の歴史学高座
http://homepage1.nifty.com/kitabatake/
文化史03 平安時代の服装
http://www.city.kyoto.jp/somu/rekishi/fm/nenpyou/htmlsheet/bunka03.html
※:夏貸文庫/メールマガジン「和服の基礎知識」バックナンバー
http://dearbooks.cafe.coocan.jp/mmbn/wafuku-indx.html
節句 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%80%E5%8F%A5
源氏物語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E
今日は何の日/by こよみのページ
http://koyomi.vis.ne.jp/cgi/today/today.php?syy=2009&smm=10&sdd=26.
源氏物語の世界/コラム
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/column.html
http://umi-no-hon.officeblue.jp/kouen4.htm
たばこと塩の博物館 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E3%81%A8%E5%A1%A9%E3%81%AE%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8
浮世絵画像リンク集
http://www.geocities.jp/web_ukiyoe/link2.html


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。