今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

竹酔日(ちくすいじつ )

2008-05-13 | 行事
5月13日(旧暦)は、「竹酔日(ちくすいじつ )」
広辞苑を見ると、「竹酔日(ちくすいじつ )」は、”陰暦5月13日の称。中国の俗説で、この日に竹を植えれば、よく繁茂するという。竹迷日(ちくめいじつ)。竜生日、竹植える日、竹植うる日という”とあった。以下参考に記載の「※木と竹1」によると、この日は、竹が酒に酔った状態になる日で、移植されたことにいっこうに気づかないので、よく活着するという意味から出たもの。中国の徐石麒(しゅしち)によって著わされた「花庸月令(かようげつれい)」には著者が永年にわたって口伝などを集めて実験観察した結果が記録されているそうで、この日に竹を植えられない場合でも、「五月十三日」と書いた紙を植えた竹の枝につるせばよく活着するのだとか・・・。
こんなことは信じられないが、江戸時代の俳聖と呼ばれた松尾芭蕉の句に以下のようなものがある。
「降らずとも竹植うる日は蓑と笠」(真蹟自画賛1、画賛2・笈日記)
以下参考に記載の「芭蕉db」の説明によると、”貞亨元年(41歳)頃から死の元禄7年(51歳)までの間の作品。『笈日記』では、貞亨5年木因亭としているが不明。竹はそのまま植えてもなかなかつかない。この国では新緑の頃に植えないと他の季節ではむずかしい。中国では古来、旧暦5月13日を「竹酔日<チクスイジツ>」といって竹を植える日とされた。意味は、たとえ雨が降っていない日であろうとも、竹を植える日には蓑笠(以下参考に記載の「※蓑笠」参照)を着てやってほしいといった意味で、芭蕉の美意識の現れだ”という。「竹植うる日」は、俳句の夏の季題ともなっており、『去来抄』には「先師の句にて始(はじめ)て見侍(みはべ)る」とあるから、芭蕉がその使い始めであろう(『去来抄』故実 21、魯町曰、竹植る日は古来より季にや参照)。
芭蕉は、41歳の頃に、生活のための点取俳諧に嫌気を感じ、また芭蕉が追慕する先人たち、杜甫・李白や西行の生き方に習い、東海道を上る「野ざらし紀行」の旅に出てからから亡くなる51歳までの10年間は旅の日々であった。野ざらし紀行の後も、常陸(茨城県)の鹿島の旅、郷里上野・大阪から明石へと向かう「笈の小文」の旅、信州の「更科紀行」を終え、46歳の時(元禄2年)に曽良(そら)を伴い、江戸から東北・北陸を経て岐阜・大垣までの「おくのほそ道」の旅に出た。
句を詠んだのが「木因亭」としているが、これは、芭蕉が北村季吟に俳諧を教わっていた時の同門である岐阜・大垣の谷木因(たにぼくいん)の屋敷であろう。大垣は、「奥の細道むすびの地」として知られるが、芭蕉が再々、大垣に来ているのは、よほど、木因が気に入っていたからでもあろう。「竹酔日」を「竜生日」とも言うのは、竹の育つさまが、龍が天に昇る姿に例えられたもの。
また、「竹」と言えば、奈良にある南都七大寺の1つである大安寺は古来、「竹の寺」としても知られている。
「大安寺資材帳」によれば、大安寺の起源は聖徳太子建立の「熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)」であったとされており、これが移転して「百済大寺」→「高市大寺」→「大官大寺」(だいかんだいじ)と改称され、平城京遷都とともに新都へ移って「大安寺」となったと伝えられている。(但し、熊凝精舎の存在は、「大安寺資材帳」以外の奈良時代の史料にその名が見られないことから疑問視もされており日本仏教興隆の祖とされる聖徳太子を創立者に仮託した伝承と見られているようだが・・・)
奈良時代の大安寺には、インド僧・菩提僊那、唐に16年間滞在した留学僧・道慈など、帰化僧・留学僧を含む著名な僧が在籍していた。また、唐僧・鑑真を日本へ招請するため唐に派遣された普照栄叡(ようえい)、空海の師にあたる勤操(ごんそう)、最澄の師にあたる行表も大安寺の僧であり、都が平安京へ移ると次第に衰退したが、大安寺が日本の上代仏教の発展に果たした役割は大きかったようだ。
大安寺HPによれば、この大安寺境内に生える竹が、弘法大師(空海)をはじめ、大安寺の僧によって全国に広められ、河川の堤防、山野の崩壊地、民家の周辺などに植林され、防火、防水、防風などの防災林となって、国を護り、人々の安全を図ってきた。また、丸く、節があり、剛直で空洞を持ち、美麗、強靭であるなど樹木に見られない特性を持ち、様々な民芸品や工芸品、また建築資材や生活道具になり、人々にとって生活の必需品としてなくてはならないものとなるなど、芸術、文化にも多大の貢献をなしたことから、この竹の広大な恩徳に感謝し供養をする法要が「竹供養」だ”という。
「竹酔日」(陰暦5月13日)に相当する6月23日に行われ、本尊十一面観音像の前で、日本人の生活に密着してきた竹に感謝の意を表して青竹を置き供養法要を行った後、境内の竹に注連縄をはり祭壇を設けてこれを供養し、育成を祈願。また、当日、癌(がん)封じの祈祷が行われ、癌封じに薬効があるといわれる笹酒が笹娘によりふるまわれる。しかし、大安寺ではこの6月23日の「竹供養」の日とは別に光仁天皇の命日である陰暦12月23日に相当する1月23日の「光仁会」でも「癌封じの笹酒祭り」が行われている。
これは、『続日本紀』にある故事に因んだものだそうで、大安寺HPによれば、”光仁天皇は不遇な白壁王時代に、しばしば大安寺の竹林にて浄竹を伐り、酒を飲み、中国の故事にいう「林間酒をあたためる」風流を催し、無病息災を保ち、実に62歳という当時としては破格の高齢で帝位につき、73歳まで在位したという寺伝に基づき、この帝にあやかって悪病難病を封じ、健康に過ごそうと催されるのが笹酒祭り”だそうである。(光仁天皇のことは以下参考に記載の「第49代 光仁天皇陵 」など見られるとよく判る)。
以前に7月7日「竹・たけのこの日」でも書いたが、「」は道具の材料になるだけではなく、古くは薬用にも重宝していた植物だったようで、日本古来の和方医学について記した『大同類聚方』や『医心法』にも筍や竹を用いた薬の作り方が多数収められているという。その効能としては美肌、熱さまし、解毒、止血、咳止めと多様で、調剤にも用いられているのだとか。薬は、もともと古代中国での薬方だったものが渡来人によって伝えられたものが多いだろう。『竹取物語』の最初は、”いまはむかし、たけとりのおきなというものありけり。野山にまじりて、たけをとりつつ、よろづのことにつかひけり。・・・とある。『竹取物語』の翁が姫を見つけてから、竹の中に金を見つける日が続きお金持ちになるが、かぐや姫の原型は日本に製薬を伝えた渡来人が竹から薬を作って大もうけしたのかもしれないな~。
(画像は京都・嵯峨の竹林)
参考:
竹 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9
※木と竹1
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/4189/kitotake1.htm
松尾芭蕉- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B0%BE%E8%8A%AD%E8%95%89
芭蕉db
http://www.ese.yamanashi.ac.jp/~itoyo/basho/basho.htm
芭蕉記念館
http://www.ict.ne.jp/%7Ebasho/memorial_hall.html
芭蕉と大垣(1)
http://www.ip.mirai.ne.jp/~binyou/basyou.htm
風雅堂─連歌・俳諧の部屋─(芭蕉紀行文を読む、『去来抄』を読む他)
http://www.h6.dion.ne.jp/~yukineko/hugado.html
大安寺 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AE%89%E5%AF%BA
京都・大安寺HP
http://www.daianji.or.jp/index.html
訓読万葉集
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/manyok/manyo_k.html
竹・たけのこの日
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/2d1e86de8c8472eb2a22ef237cb8b98b
箕と竹の歴史
http://drhnakai.hp.infoseek.co.jp/sub1-48.html
竹取物語
http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/taketori.htm
たのしい万葉集
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/
※蓑笠
http://www.surugaya.com/kiraman/zakkaya/mno.html
大安寺光仁会がん封じ笹酒まつり 1月23日
http://www.kintetsu.co.jp/ensentokusyu/omaturiguide/omaturiguide_info/festival0000035.html
光仁天皇 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E4%BB%81%E5%A4%A9%E7%9A%87
第49代 光仁天皇陵
http://inoues.net/tenno/kounin_tenno.html
瑞光寺 京都通百科事典
http://www.kyototsuu.jp/Temple/ZuikouJi.html
大同類聚方 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%90%8C%E9%A1%9E%E8%81%9A%E6%96%B9
医心方 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E5%BF%83%E6%96%B9
竹類情報館
http://www7.ocn.ne.jp/~bwc/bwc-j/botany01-j.html#bhp

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2 コメント

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僕なら (Linda)
2008-05-15 07:22:06
とーさん、お早うさんです。
竹が酒に酔ったようになるってどんな感じでしょう。ちなみに僕を移植するなら何時でもOKです。だって毎日酔ってますから。
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酒に酔う (よーさん)
2008-05-16 07:20:54
Lindaさん、本当によく判りませんね。
芭蕉のような人にはわかるのでしょうかね。
私も最近は余り飲まないようにしていますが、それでも、毎晩少しだけよっています。(^0^)
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