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今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

しあわせ運べるように

2014-01-17 | ひとりごと
昨日、NHKのあさイチで阪神淡路大震災以降神戸で歌い継がれている歌の紹介があった。
神戸市内の小学校で音楽教諭臼井 真さん作詞・作曲による「しあわせ運べるように」である。
同震災から今年は19年目にあたる。私の母は震災の前年に亡くなり、我が家で49日の法要を執り行い、兄弟並びに親戚一同が帰ったその翌朝の大地震であった。幸い我が家は、地盤の確りしている山の登り口にあるので、倒壊は免れたが、2階のベランダから浜側のJR新長田から高取の間の大火災の光景はいまだに忘れられない。火災のあった後の町の光景は、まさに、第2次世界大戦後の焼け野原と同じであった。
同震災では多くの人が亡くなられたが、震災では無事に命を取り止めたものの、その心労で、震災直後に多くのお年寄りが亡くなられた。
変な話だが、後に震災の話が出るとよく、「あなたのお母さんはいい時に亡くなられてよかったね」といわれた。地震で怖い目をしなくて良かったからである。いわれる通り、非常に臆病で怖がりのおふくろなど、震災の時生きていても、震災後亡くなられた多くのお年寄り同様、1~2か月のうちに心労でなくなっていただろう。
そんなこと考えていたら、学生時代の友人のことを思い出した。震災で家が倒壊し、その時、私より相当早く結婚をしていたので、同居の息子夫婦には子供が生まれていた。その子は1歳になったばかりの女の子であった。
その孫が生きていれば今年は成人式を迎えていたはずだ。親として子供に先立たれたこと、いつまでたっても心の傷は消えず本当につらいことだろう。
早いものだ。心残りであった私の一人息子も震災の翌年に結婚をしてくれた。この正月、我が家に遊びに来てくれた孫も中学2年になっている。震災を知らない世代だ。
神戸の街も、外見は復興したが未だに、震災の傷の癒えない人たちが多い。
6434人が亡くなり、3人が行方不明になった阪神・淡路大震災は今日、発生から19年となる。神戸市内では各地で追悼行事が催され、被災地は祈りに包まれる。
私の住んでいる同じ町内にある私の信仰しているお寺も、毎年、1月17日には阪神淡路大震災犠牲者追悼の供養が行われる。私も今から、お寺へお参りをします。

「しあわせ運べるように」の歌いい歌ですよ。
阪神淡路大震災被災者の、そして、2011年3月の東日本大震災被災者の方々の幸せを願って「しあわせ運べるように」歌ってあげてください。
歌詞の神戸のところは、被災地名に変えて歌ってもいいですね。

「しあわせ運べるように」作詞・作曲 臼井 真
神戸市立港島小学校生徒による合唱は下で聞ける。
>「しあわせ運べるように」神戸市立港島小学校生徒-YouTube


中秋の名月

2013-09-19 | ひとりごと
古くから人々に親しまれている月、とくに天保暦(いわゆる旧暦)8月15日の月は「中秋の名月」として有名。
中秋の名月は、秋分に最も近い満月。
英語に訳すと「the full moon nearest the September equinox」となるらしい。

今年の「中秋の名月」は、2013年は9月19日。上掲の月はPM7:30頃2階ベランダより南方面にあるのを撮ったもの。暦の関係で、中秋の名月は必ずしも満月になるとは限らないが、今年は2011年、2012年に続いて中秋の名月が満月であった。
中秋の名月当夜の満月は、今年を最後に2021年まで見られないそうだ。

日本の関東以西では、この時期、晴天に恵まれる確率が低いので、なかなか綺麗な満月を見ることができないが、綺麗に見えたので写真に撮った。

画像の和歌
「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」(詠み人知らず)

ここでは「月々」をあえて「月月」と書いた(歌の出所は※1参照)。こう書けば、月の字が8回あり、「この月」が8月「仲秋」の月であることを示していことがわかるだろう。旧暦では7・8・9月を秋と定め、7月を「孟秋」、8月を「仲秋」、9月を「季秋」としている。

百人一首では月の歌が12首を数えられる(※2参照)。日本人がいかに月を愛してきたかをうかがい知ることができる。

その中の一首
「月見れば千々にものこそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど」(23番大江千里、古今和歌集」秋上193)
 意訳をすれば、”月を見ているとあれこれと悲しい思いが湧いてくる 秋はわたしのところだけに来るわけではないのだが ・・・」といったところ。

暑い夏から、涼しい秋に入り、月等眺めているとどうも感傷的・おセンチになり、なぜか寂しく、人恋しくなるなるようだ・・・。なぜだろう?
"人肌恋しい"とは「人の肌がなつかしく思われる、肌と肌の触れ合いが恋しい」という意味のほかに「人間らしいかかわり合いを求む」様子であると言われている。

暑い夏、肌に感じる感覚は「暑い」という感覚であるが、それが、「肌寒い」という感覚に変わってくる時期が秋ではないか・・。その秋が過ぎると寒い寒い冬が来る。
冬は動植物にとって死の季節であるともいえるが、人間にとっても、原始時代においては死と対峙しなければならない厳しい季節だったであろう。
秋になると訳もなく人恋しくなるのは、「肌寒い」感覚が、進化しきった私たちの本能に、目前にせまってきている冬が死の季節だというプログラムを呼び起させ、その前に種族の保存をせよというシグナルをだし、それが、人恋しい・寂しい・切ないという感情になって現れてくるのではないだろうか。…そんな気がするのだが・・・。
ただ、もういい年した私などは、肌寒く感じた日には「熱燗」が一番なのだが・・・。

参考:
※1:月月に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 - TOSSランド
http://www.tos-land.net/teaching_plan/contents/5979
※2:百人一首 月のある歌
http://hyakuninnissyu.seesaa.net/article/110232587.html
Q&A: 秋の月はなぜきれい?

七夕はカルピスの誕生日

2013-07-07 | ひとりごと
07月07日七夕はカルピスの誕生日
最近あまり飲まなくなったが子供のころにはよく飲んだ「カルピス」が誕生して2013(平成25)年の今日で94回目の誕生日を迎えた。
日本初の乳酸菌飲料である「カルピス」が発売されたのは1919年年7月7日のことであった。パッケージデザインでおなじみの「カルピス」の水玉模様は七夕生れにちなみ、天の河の「銀河の群生」をイメージしているそうだ。「カルピス」さわやかさを伝える水玉模様・・。
カルピス株式会社では誕生以来のパッケージの変遷をホームページ(※1参照)で紹介しているので参照すると以下の様である。
1919(大正8)年の発売当時は化粧箱入りだったそうだ。当時としては貴重な飲み物だったのだろう。称号はカルピスの前身であるラクトー株式会社。
1922(大正11)年、「カルピス」が七夕の日に発売されたことにちなんで、天の河の「銀河の群生」をイメージした青字に白の水玉模様の包装紙がデザインされた。これが今の水玉模様の始まりである。
因みに、「カルピス」という名前に決定したのは作曲家の山田耕筰だそうで,音の響きが良かったのだとか。これに決定するまでは、複数案あるなかで三島海雲自身は特に「カルピル」が気に入っていたという。その理由等は以下参考の※2を参照されるとよい。
1953(昭和28)年、製品のリフレッシュをはかり、戦前からの青字に白の水玉の代わりに白地に青の水玉の包装紙のデザインになる。この当時の流行語に・・「もはや戦後ではない」(1956年)がある。
1964(昭和39)年白地に青の水玉模様はそのままで、英文「CALPIS」のロゴを中心としたラベルに変わった。
1989(平成元)年、ラベルは英語のロゴはそのままに、地球とさわやかさを表現した水玉が入った。また、このころから包装紙の水玉が小さくなった。・・・とあった。
しかし、上記のHPではカルピスの水玉模様の歴史は詳しく書かれているが、私などの記憶に一番残っている、”パナマ帽を被った黒人男性がストローでグラス入りのカルピスを飲んでいる様子を図案化したイラスト”の商標のことについては触れられていなかった。

上掲のものがそのイラストを描いた包装紙である(画像は私のコレクションより)。これを見て、懐かしく思い出す人は随分と多くいることだろう。
このデザインは1923(大正12)年 、カルピスの創業者である三島海雲が、会社の宣伝と第一次世界大戦終戦後のヨーロッパの貧困な画家の援助を目的に、会社の宣伝ポスターのコンテスト「国際懸賞ポスター典」を主催。ドイツの画家オットー・デュンケルスビューラー(Otto Dunkel)が第3位に入賞したが、1,2位の作品は会社のマークとしては複雑すぎて使用しにくかったため、彼のシンプルなデザインが採用されたのだという。以下参考の※3では1等2等のポスターもあるので興味のある人は覗かれるとよい。

カルピスの包装紙には長い間黒人のキャラクターが、使用されていたのだが・・・。
かって、黒人に対する蔑視は、長く続き、日本でも、戦後、黒人の米兵などを見ると怖がったりした時代もあった。その後、次第に、そのような偏見はなくなるのだが、1980年代になると黒人マークは国際化時代の背景から人種差別的な問題を提起されたり、黒人差別をかかえる国々から反対意見を展開されるようになる。
日本でも、多くの子供たちに愛され人気のあった『ちび黒サンボ』の絵本が、その絵本の題名や人物名が「黒人差別をあおる」と批判されるようになり、1988年に絶版されたのを思い出す。
このとき、当時の我が国では、黒人を引き合いに「不用意」な発言をする政治家などが出てきたことでアメリカから激しい抗議を受けるなどもあり「だっこちゃん」人形が1989(平成元年)に姿を消すと、カルピスの黒人をモチーフにしたこのマークも同年に使用を中止している。
私個人は、カルピスなどのキャラクターが黒人を差別して生み出されたものとは到底思えないが、当時の過剰なまでの黒人差別批判のある時に馬鹿かと思える政治家の不用意な発言などがあると、企業も泣く泣く中止せざるを得なかったのであろう。このことは前に私のブログ「国際人種差別撤廃デー」や「エドガー・ライス・バローズ (米:小説家『類猿人ターザン』)」の忌日」の中でも書いてきたが、どんな政治家がそんな不用意な発言をしたのかまた、廃止となった経緯など詳しくは以下参考の※4:年表(日本)を参照されるとよい。

カルピスは、パッケージの水玉模様が天の川の銀河の群生を表しているところから、そんな由緒にちなんで同社では、七夕に関する意識調査を続けている。
今年第6回となるが、その結果が発表されている。
ここ参照→ 「七夕に関する意識と実態」

「七夕に関する意識と実態」を調査した結果、
1、「短冊に書きたい願いごと」で
1位は、「自分や家族の健康について」であり、「100歳まで生きられますように」(18歳/女性)と言った願いなど、昨年同様、自分自身や家族が、健康で長生きするよう願うものが多かったという。
2位は、「自分や家族の仕事について」であり「働きやすい会社に就職できますように」(21歳/男性)といった、内容としては、就職や仕事が順調にいくように願うもの、また、収入アップや出世を願うものが多く見受けられたという。
3位は、「生活/くらしについて」で、「60歳までに1億円溜まりますように」(51歳/男性)と言ったような楽しい暮らしや豊かな暮らし、そして、安定した生活を願うものが多かったという。
以下は省略するが、やはり厳しい現実を反映しているようだが、私など、100歳まで生きようとは思わないし、会社では、余り出世などは考えたこともなく、自分のやりたいことを好き勝手にやってきたが、そんな自分を会社はそれなりに評価してくれたのであろう・・・、会社はそれなりの待遇をしてくれたので、何とか老後もやっていけそうだ。、
だから「生活/くらしについて」もそんなに欲はない。なんとか、平凡な暮らしを今のまま続けばよいと思っている。私は、死に様を大切にしたいので、いつまでも長生きよりも、平均寿命を超えたくらいで、楽に死ねるとよいと思っている。だから、家人には、「不必要な医療手当をして命を長らえさせてくれるな。ただ痛いのは嫌なので、楽に死ねるように医者に頼んでくれ」と言っている。
しかし、「これまでに七夕の短冊に願いごとやかなえたい夢を書いたことがあるか」の質問には、約7割が「ある」と答えているようだ。そして、「七夕に書いた願い事ごとがかなったことがあるか」と質問したところ、「ある」と答えた人が2割強(23,3%)いた。・・という。
これまでにと言われると私なども子供の頃には何を書いたかは忘れているが短冊に願いごとを書いたこともあるが、大人になってからはない。大体占いごとやこのような神頼みごとはしない。
ただ、毎日仏壇に向かって、ご先祖様に、一家の者の健康と、阪神・淡路大震災のような大災害だけは起こらないようにはお願いしている。、
だけど、「七夕に書いた願い事ごと」のかなった人が23,3%もあるのなら、ご先祖様へのお願いごとだけではなく、神様や仏様にもう少し欲な願い事もしてみたくなるな~。

あゝ!今日このブログを突然書く気になったのは、今朝の朝日新聞の『天声人語』に、「七夕伝説は多くの大人が知っていた。ただ、織姫と彦星(ひこぼし)が夫婦だと正しく理解していた人は1割もなく、9割超が恋人と誤解していた▼2人は働き者だったが、結婚してからは機織りと牛飼いの仕事を怠けるようになり、天帝の怒りを買って引き離された。年に一度しか許されない星合(ほしあい)の物語が、恋の成就を阻まれ、一緒になれない2人というイメージを定着させてしまったか・・」・・・とあったので、前に私も、このブログで「七夕 」のことは書いたことがある(ここ参照)。ひょっとしたら、私も勘違いして間違ったことを書いているかもしれないと思い、急いで見直してみたが、幸いなことに誤りはなかった。それで、「カルピス」のことには少々興味を持っていたことから、ついでにちょっと書いてみた次第。
なお私のブログ「七夕では七夕伝説のことは余り詳しく書いていないので、そのことはWikipediaの七夕の織女星と牽牛星の伝説 を読まれるとよいだろう。
そういえば、『カルピス』は、“初恋の味”というキャッチフレーズで売り出したんだよね~。
今のカルピスは飲んでいないのでよくわからないが、かってのカルピスの味は確かに甘酸っぱい、“初恋の味”・・というキャンペーンがよく合っていた。
織姫と彦星の話は別にして、彼氏と彼女、仲よくカルピスでも飲みながら短冊に願い事でも書いておくと23,3%の確率で願いが通うというのだから、やってみなければ損だね~。

(冒頭の画像は夏の天の河。Wikipediaより)
参考:
※1:7月7日はカルピスの誕生日|「カルピス」七夕特集
http://www.calpis.co.jp/tanabata/
※2:カルピス | 会社名のネーミング
http://www.mothernaturesllp.com/companynaming/calpis.html
※3:NAKACO'S CRAFT'S WEBLOG: カルピス特集
http://nakaco.sblo.jp/article/46059528.html
※4:年表(日本)
http://www.genpaku.org/sambo/nenpyo.txt
※5:朝日新聞デジタル:天声人語
http://www.asahi.com/paper/column.html
「七夕 」・・・今日のことあれこれと
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/898f0aae266b94c0c26840f46de4e0f2
初恋の日
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/47dfa3a29e043da818a57623446b5aa2
七夕 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E5%A4%95
カルピスウォーター
http://softdrinks.org/asd0204a/cw200204.htm

7月文月(ふみづき) 

2013-07-01 | ひとりごと
今日・7月1日は「山開き」、「海開き」の日でもある。
「山開き」は、毎年日程を決めて一般人に登山を許すことであるが、昔、日本の山は山岳信仰の盛んな所が多く、僧侶たち以外何時でも誰でもが山に登ることは禁止されていたが、江戸中期以降、各地に山岳信仰の講(富士講参照)が結成され、山頂に祀(まつ)られている神を拝むための講中登山が行われるようになった。その様子は冒頭の画像葛飾北斎の浮世絵『冨嶽三十六景 諸人登山』(Wikipediaより)でも見られるし、以下の歌川国芳(一勇斎国芳)の三枚続き錦絵でも見ることができる。

国立国会図書館デジタル化資料 - 富士登山諸講中之図
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1304354

このために日数を決めて山を俗人に開放した。これが「山開き」で、初日をとくに「お山開」きとよび、信徒たちは山に登れることを祝った。
最終日は山仕舞いとよび、山はまた僧侶たちのみの世界となった。富士山は7月1日がお山開きであったが、現在はほとんどの山がこの日に合わせて登山が行われている。
2013年の今年は6月に富士山が「信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコにより文化遺産(世界遺産)に登録された。そして、世界文化遺産に登録された富士山が今年になって今日・7月1日に初めて山開きした。
世界文化遺産に登録されたことで観光ブームが期待される一方、登山者の大幅増に伴う事故や環境破壊が懸念されている。
山梨、静岡両県は、徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」の自粛やマナー順守などを呼び掛けているという。
富士山の7月と8月の夏山シーズン中の登山者は、去年はおよそ32万人であったが、世界文化遺産に登録された今年は当然これより大幅に増えるとみられ、山梨県などは登山道の誘導員を去年の2倍に増やして、安全の確保を図る計画だというのだが・・。

富士山山開きへ 次々登山者訪れる
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130630/k10015696801000.html

本来、富士山の世界遺産登録は、自然遺産であるべきなのだが、世界遺産委員会が定める「自然遺産」としての評価基準に適合出来なかったことから「自然遺産」としての国内の候補地としても入ることが出来ず、やっと文化遺産として認められたということをしっかりと認識してもらいたいものだ。以下参照。

富士山を世界文化遺産に - 富士宮市
http://www.city.fujinomiya.shizuoka.jp/isan/sekai-hujisan.htm

浮世絵などの見られるごとく、富士山を遠方から見れば確かに美しいが、大写しの写真などを見てもわかるが、自動車道、登山道、ブルドーザー道が山腹に無数に切り刻まれており、これだけで「自然遺産」には無理だと思われる上に、マナーの悪い登山者等のゴミ問題もある。ユネスコの担当者が富士山を見て、そのゴミのひどさに驚いたという話を聞く。
日本人は、何かあると我も我もと集中する。節度ある行動と、品格を失わないでもらいたいものだ。
今まで、富士山の自然を守るため必死にごみ収集などをしていたボランティの人たちは、これまでも手に負えなかったので、もし世界遺産に登録されて後、大勢の人達がどっと山に登るようになるとごみの収集なども全く手に負えなくなる・・・。だから、富士山の自然を守るためにも「世界遺産への登録をして欲しくない」・・と言っているのをテレビ報道で見た。
私も、富士周辺の観光業の人達や、観光業者が金儲けに、どんどんと観光客を集めれば、ますます自然景観は失われ、下手をすれば、「文化遺産」としての登録さえ抹消されかねなくなるのではと心配している。

海開き」は、山開きのようにとくに日附は決まっていないが、夏の海水浴シーズンを前に神主などによる海での安全を祈願する神事を執り行うことが多い。
因みに、神戸の場合、今年は、須磨海水浴場は7月5日に海開きを行い,8月31日まで58日間開設する。海開きの行事としては、幼稚園児の記念水遊びと海開き神事を5日に須磨海水浴場東端(須磨海浜水族園南東砂浜)で行われるよていである。
海水浴場の場合 水質検査、漂着物やゴミの除去、海水温、を考慮して期間を決めて海開き宣言している。期間以外での「遊泳禁止」は、気象状況などで発令されたときだけだが、まだ、この時期は、天候等によって、水温の低い日もあるので、注意しなくてはいけないのは当然だろう。

さて、日本では、旧暦7月を文月(ふみづき、ふづき)と呼ぶ。
天保暦よりも前の定義では、処暑を含む月を7月(旧暦)とする。
新暦では7月下旬から9月上旬ごろに当たる。現在では、「文月」を新暦7月の別名としても用いている。
文月の由来は、7月7日の七夕に詩歌を献じたり、書物を夜風に曝す風習があるからというのが定説となっている。
これは、平安時代の 藤原清輔(きよすけ)の『奥義抄』に「此(こ)の月7日、七夕にかすとて、文どもをひらく故に、文ひろげ月といふを略せり」とあり、「文披月(ふみひらきづき、ふみひろげづき)」が転じたとするもの。以下参照。

文月 和歌歳時記
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/saijiki/humituki.html

しかし七夕の行事は奈良時代に中国から伝わったもので、元々日本にはないものである。そこで、稲が穂を含む「穂含月(ほふみづき)」や稲穂の「含月(ふくみづき)」から転じた という説(山岡浚明著『類聚名物考』)もあるようだ。
また、この月は諸人が親の墓に参詣するからふづき(親月)というとする説((貝原好古著『和爾雅(わじが)』)などがある他、「秋初月(あきはづき)」、「七夜月(ななよづき)」の別名などもあるようだ。

いずれが本当か私などにわかるはずもないが、「(ふみ)」(字源はここ)は、もともと、文字で書き記したものをさす言葉。昔は、手紙に限らず、書物や記録などのことも、「文」といった。また、特に、漢詩や漢文のことを、「文」と呼ぶこともある。
文を書くには言葉を知っていなければならない。私のように学生時代から、国語を大の苦手としてきたものには辞書は手放せない。困ったときに「広辞苑を調べるが、普段は今でも学生時代から使っていた旺文社の『新総合国語辞典』を使っている。もう、真っ黒になっている。
朝日新聞の今朝7月1日朝刊の天声人語におもしろいことが書かれていた。そのまま以下に引用する。
「何もする気が起きない時、辞書を読む。調べる必要があっての「引く」とか「当たる」とかでなく、ただ興味の赴くままに読み進む。言葉の海は広く、深い。その都度なにかしら新しいことを知る。
▼お笑い芸人で日本語学の学者でもあるサンキュータツオさんの本が面白い。『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』。200冊のコレクションを誇る「辞書オタク」が読み比べを熱く勧める。「大人なら国語辞典は二冊持て!」と、
▼たとえば「恋愛」という言葉を、〈男女間の〉愛情とするものあれば、〈特定の異性に対して〉と表現するものあり。〈まれに同性同士〉という記述を定義に加えるものもある。どれも似たり寄ったりと思ったら間違いで、それぞれ特徴がある。
▼確かに新明解国語辞典のような「ひとこと多い」個性派を読み出すとやめられなくなる。辞書ならぬ字書も誘惑に満ちている。漢字の字源を明らかにする白川静 (しずか) 字統』を開くのは危険である。一つの文字から関心が広がってきりがなくなる。
箴言(しんげん)集も学びの宝庫だ。〈憎悪、敵意、粗暴は、弱さの所産である……弱者が自分以上の弱者を餌食にするときの、あの酷薄さ!〉(エリック・ホッファー魂の錬金術』)。今の日本の世相に照らして考え込む.。
▼7月は文月(ふみづき)。だからというわけではないが、たまには言葉の海を遊泳して心の肥やしにしたい。時を忘れがちになるのが玉に瑕(きず)だが。この原稿も、そういう成り行きで大あわてで書く羽目となった。」・・と。
天声人語ではないけれど、実は私も今日はこのブログを書く予定ではなかった 。今別の日の別の0テーマーで準備中だが、少し、前回のブログから日数があくこととなること、富士山の山開きのニュースを耳にしたことなどで急に書く気になった。
それと、朝の散歩時に、ラジオの毎日放送「子守康範 朝からてんコモリ!」の中で、聞いた話が面白かったことがある。
放送の途中からだったので、よくわからないが、どうもお笑いタレントハイヒールモモコとリンゴの会話からのことらしい。
女性が「今日の天気はどうなんかな~」と聞いたとき、「そんなこと知らんがな~」と答えたら、女性の気持ちは分かっていないのだという。それは、何もお天気のことを聞いた女性は天気が良いか悪いかを聞いているのではない。その女性は、お天気のことなどどうでもよくて、聞いた人から「どうしたの、お天気が悪いと何か都合の悪いことがあるの?」と聞き返してくれることを望んでいるのだという。
要するに何か別に話したいことがあってそれを聞いてもらいたいためにお天気のことを聞いただけなのだという。・・・モモコは女性らしい女性で、リンゴは「そんなことわからんわ」と答える男性的な女性だと言えるのだと・・・。
何か面倒くさい話なのだが、そんな質問をする女性の気持ちをわかる人が、女性というものを理解している人であり、そんあ質問の意味がわからない人は女性を理解していない人…と言うことになるらしい。あなたたちはどうですか・・・?
私など、しょっちゅう女房からこのような質問をされているのだが、そのような質問の意味がわからずにいい加減な返事ばかりしているので…女房殿のご機嫌を損ねているのだが・・・・。
急に思い立って書いたのでなにか摂りとめのない話になってしまった.。
気象庁の予想では、本州の梅雨明けは、まだまだ先のこととなっているのだが・・・。皆さん、食べ物や紫外線、水不足による熱中症などに気を付けてくださいよ。
参考
近代デジタルライブラリー - 類聚名物考. 第2冊 地理部
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/898154
貝原 恥軒 - 古典籍総合データベース
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/search.php?cndbn=%8AL%8C%B4+%92p%8C%AC
『国語辞典の遊び方』 (サンキュータツオ 著) | 著者は語る - 文藝春秋WEB
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/639
840夜『波止場日記』エリック・ホッファー|松岡正剛の千夜千冊
http://1000ya.isis.ne.jp/0840.html
藤原清輔 千人万首
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kiyosuke.html
気象庁 | 平成25年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/baiu/sokuhou_baiu.html

マンセッション

2013-04-23 | ひとりごと
今「マンセッション(mancession)」という言葉が流行しているらしい。
マンセッション(mancession)」は「男性(man)」と「不況(recession)」を組み合わせた造語(男性不況)で、男性の失業が女性よりも深刻な状態を指す新語だそうだ。
4月19日付の朝日新聞「天声人語」(※1)でも触れていたので、ちょっと書いてみる気になった。
自民党の野田聖子総務会長は、当面の重要政策課題をめぐって、4月2日、都内での経団連との意見交換の中で、以下のように述べたと言う(※2)。
「今後、日本がかつてない人口減少社会に突入するという認識のもと、規制改革成長戦略を実行したい」(※3の「成長戦略」とは?参照)
「『ウーマノミクス』(※4参照)という言葉があるが、女性を活用すれば、GDPが15 %は上がるといわれている。他方、男性の失業率が女性の失業率を上回る『マンセッション(男性不況)』になっている。これが、少子化の一因となっている」
「2020 年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30 %程度になるよう期待するという政府の目標は、女性の活躍推進に向けた思いの表れである。すべての分野で優秀な女性が活躍できるよう、尽力したい」と述べ、党として成長戦略や規制改革など、さまざまな課題に取り組む姿勢を示したという。

この「マンセッション」という造語はリーマン・ショック(2008年9月)後の米国で流行し始めたものらしい。
このショックによる不況の原因は、欧米での住宅・不動産バブルの崩壊と金融危機(サブプライム住宅ローン危機)だが、前者は、欧米での住宅・建設需要の大幅な減少をもたらし、後者は、特にリーマンショック以降全世界的に、自動車をはじめとする耐久消費財の需要や企業の設備投資意欲の大幅な縮小を引き起こした。
男性の雇用が多い建設業や製造業・運輸関連などでは非常に大きな供給能力の過剰を抱え込むこととなり、リストラを迫られ、男性失業者が大幅に増加することとなった。
一方、教育や医療に代表されるサービス産業は、この時の不況の原因ではない上に、自動車や家電の企業のように先行き不安などから消費がすぐに落ち込むといったことにはなり難いが、特に先進国では共通して高齢化が進んでおり、医療・福祉関連にはその傾向が強い。
サービス産業でも景気全体の悪化の影響を受けない訳ではなく、それ相応に雇用の削減はある。したがって、医療・福祉などのサービ産業に努める比率の多い女性の失業率も悪化はするものの、その程度は男性に比べれば小さいもので済むことになる。
この男性失業率の大幅な悪化は、バブルの歪みがもたらしたものであるため、欧米諸国では、その調整が一巡し、供給能力に見合った需要が回復するまでは、今のような傾向が長期間続く可能性が高い。その後、米経済の回復とともに、失業率の男女間格差は縮まってきたが、依然として、男性の失業率が女性を上回る先進国は多い。
その背景には、雇用を生み出す産業構造の変化と共に男性から女性への主役の交代があるとされている。ただし,これら 女性の仕事には、賃金水準が相対的に低いという問題が絡んでいる。
一方日本は、自動車などの輸出の大幅減少が雇用悪化の引き金となっており、自国内に原因があるわけではない為、輸出の回復に伴って製造業の雇用も徐々に回復していくものの、輸出の回復は中国やアジア諸国といった新興国での需要の拡大がもたらしている。このことが円高と相まって、生産拠点が海外へ移転していく状況を引き起こしているようだ。また、公共事業削減の影響が大きい建設業の需要が落ち込んでいる。

少し話は横道にそれるが、米マサチューセッツ州の州都ボストンで今月の15日に開催されたボストンマラソンのゴール付近で2回の 爆発が起きた。
当日は、アメリカ独立戦争開始の特別な記念日「愛国者の日(ペイトリオッツ・デイ)」で、同州では祝日だったため、多くの人が応援に駆けつけていたことから、大勢の負傷者を出し、8歳の少年を含む3人が死亡する事件が起きた。
オバマ大統領は翌16日の会見で、現段階で犯人像をつかめていないとした上で、「米国は悪に対処する」と述べ、連邦当局も当初より残虐なテロ行為とみて犯人と見られる2名の男性を公開捜査をし、早々と逃亡中の2名の犯人(チェチェン人兄弟)と銃撃戦の末、1名は死亡、1名は逮捕して、取り調べている旨昨22日には報道があった。
どうも、同兄弟は、別のテロ事件も計画していた可能性があったようであること、イラン国内に拠点を置く国際テロ組織アルカイダの支援を受けていたらしいとの報道も耳にはするが、米国内では、頭もよく真面目だったという青年が、どうしてこのような大それた事件を起こしたのかその動機等は正確にはまだ解明されていないようである。
ただ、ボストンマラソンでの爆破事件が起きたとき、その爆発物の爆発力が小さかったことなどから、一部専門家筋は、「専門のテロ集団とは異なり、米国に不満を持つ国内在住人による、何かしらのアピール目的が強いのではないか」と話していた。
私は、そのような爆破事件の報道を聞いて、リーマンショック以降、いまだ、男性の雇用問題がなかなか改善されない現状にあって、この「マンセッション(mancession)」という言葉と関連して、働きたくても働けないことに不満を持っている人たちの中の一部過激派がお祭り騒ぎで騒いでいる人たちに不満をぶつけた事件であり、日本で起きた秋葉原通り魔事件的なものかもしれないなどという思いが頭をかすめ、急にこのブログを書こうと思った次第である。

日本は,欧米よりも失業率は低く、男女格差も小さかったが、失業率も徐々に高まり、欧米と同様に、男性が女性を上回るようになったのは1997年~1998年かららしい(日本の失業者数・失業率参照)。
最新データーとしては、総務省が発表した平成25年2月の労働力調査(速報)によると、完全失業率(季節調整値)は前月より0.1ポイント上昇し4.3%となった。男女別では、男性は前月と同水準の4.6%、女性は前月より0.1ポイント上昇し、3.9%となっている。
また、男女別にみた対前年同月比は、男性は6万人減少の171万人、女性も6万人減少の106万人となっている(※5:「総務省統計局・統計データー」の労働力調査(基本集計) 平成25年[2013年)]2月分結果の概要参照)。
総務省は失業率悪化について「国内景気の回復期待で、職を求める女性が増え、結果として失業者増となったため」と分析。今後は女性の就業が進む可能性があるため、短期間のうちに大きく悪化する公算は小さいとしている。
また、有効求人倍率は、求職者1人当たり企業から平均何件の求人があるかを示すが、人手不足感の強い医療・福祉などで高水準の求人が続く一方、自動車など製造業の求人が前年に比べて減少したという(※6)。 

失業を測る尺度である失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合で定義される。
失業者とは「働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にある人」を指すので、仕事探しをあきらめた人は失業者には含まれない。
ちなみに、労働力調査では、働く意志があるとは、ハローワークに通って職探しをするなど仕事を探す努力や事業開始の準備をしていること、・・・とされている。
したがって、病人を介護している、幼い子供がいる(保育園に入れなくて待機中)、アルバイトやフリーターなどしている。また、就職難で職 に就けないので就職を半ばあきらめハローワークへ行っていない人など失業者に含まれていない者が多くいる。
政府が雇用維持を目的に、雇用調整助成金を支給したことによって、本来は解雇や派遣切りの対象となっていた可能性のある就労者の雇用が守られている人も失業者には含まれていない。そして、近年この様な雇用調整金がなければ、解雇や 派遣切りの対象となる人が増加しているようであるが、このような人は失業者にカウントされていないので、「隠れ失業者」と呼ばれており、この「隠れ失業者」が、日本の失業率を過小評価し実態を反映していないという指摘もある。
もしこれらの人々を失業者にカウントすると、日本の失業率も発表されている数字の培ぐらい、つまり10%近い高い水準になるのではないかと言われている(労働力調査における失業者や失業率の定義については、「労働力調査」の項目参照)。

総務省統計局の2013年4月16日発表の報道資料:人口推計(平成24年10月1日現在)によると、
日本の総人口は1億2751万5千人となり、前年に比べ28万4千人(0.22%)の減少と2年連続で大きく減少している。
そして、総人口の老年人口(65歳以上)は3079万3千人となり、前年に比べ104万1千人増加、初めて3000万人を超えている。
これまで総人口の増加幅は縮小傾向で推移していたが、平成17年に戦後初めて前年を下回り、以降減少を繰り返し、自然増減は6年連続の自然減少(出生者数<死亡者数)であり、男女別にみると、男性は8年連続、女性は4年連続の自然減少となっている。
人口性比(女性100人に対する男性の数)では94.7%となっており,女性が男性より345万6千人多くなっている(1、人口動向参照)。
また、年齢別人口をみると我が国の人口ピラミッドは、第一次ベビーブーム期(1947年から1949年)生まれが65歳になり、前にも書いた老年人口(65歳以上)に含まれている。
我が国の人口ピラミッドは、近年、出生児童数が第2次ベビーブーム期(1971年から1974年)をピークとして減少傾向が続いていることを反映し、二つのベビーブーム期の人口が膨らんだひょうたん型に近い形となっている。
年齢3区分別にみると、年少人口(0~14歳)は、1654万7千人で前年に比べ15万8千人の減少、生産年齢人口(15~64歳)は、8017万5千人なのに対して、老年人口(65歳以上)が3079万3千人で、104万1千人の増加となり、初めて3000万人を超えた。なお、75歳以上は1519万3千人で48万5千人の増加となっている(2、年齢別人口を参照)。

このように、日本の人口は、1940年代後半のベビーブームが起きて以降、1950年代には希望子供数(※7)が減少し多産少子型→少産少死型(人口転換参照)へと変化しており、これは先進国共通の現象ではあるが、日本は、先進諸国に比較して急速に進展している。
今の人は「しょうしか」と言う言葉を聞いて「少子」という漢字を思い浮かべる人たちが多いと思うが、このようになったのは、最近のことであり、「少子」と言う言葉は、本来は「一番若い子。末子」と言う意味で「子供が少ないという言葉ではなかった。
しかし、『広辞苑』では第5版(1998年)から、「少子化」と言う言葉を掲載し、「出生率が低下し、子供の数が減少すること」と説明し、「1992(平成4)年度の『国民生活白書』で使われた語」と言葉の出所を明らかにしている。
「少子化」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、この白書以降とみられるが、そもそも出生率の低下が社会的な関心を集め、政策課題として取り上げられるようになったのは、1989(平成元)年のいわゆる「1.57ショック」からである。
これが、『平成4年度国民生活白書』では、「出生率の低下やそれに伴う家庭や社会における子供数の低下傾向を「少子化」「子供や若者が少ない社会」を「少子化」と表現している。
人口学の世界では、一般的に合計特殊出生率が人口を維持するに必要な水準(人口置き換え水準)を相当期間下回っている状況を「少子化」と定義している。
女性が平均2人の子供を生むと(合計特殊出生率が2.0の状態)と人口規模は維持できる。より正確には生んだ子供が、今度は自分が産む番には亡くなるケースがあるので、人口置換水準は2,07(平成17年版厚生労働白書)となるそうだ。
日本では、1970年代半ば以降、この「少子化現象」が続いているが、これに関しては、まず、近年の女性の結婚行動の変化があげられる。
わが国では、北欧諸国とは異なり、婚外出生の割合が低く(1980年0.80%→ 2003年1.93%にアップしている(婚外子割合の国際比較参照)が、結婚してから子供を産む場合が多く、日本において、女性の結婚行動と出生率は直接関係しているともいえるだろう。
近年の女性の高学歴化と社会進出により、「男は仕事、女は家事」という従来の価値観が変わってきた。特に経済的に自立している女性は、結婚が絶対に必要なことではなくなった。
この様なことが女性の平均初婚年齢の上昇、いわゆる晩婚化・晩産化につながるが、それがさらに進み、そのことが、世代ごとの比較を見ても、出生率を押し下げる結果となっている。
また、そのような晩婚化の進展に併せて、男女ともに生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)が上昇しており、2010(平成22)年には、男性で20.1%、女性でも10.6%にもなっており、今後も、男性の出生数が女性より多いことなどもあり、特に男性の生涯未婚率が上昇し、2030(平成42)年には、およそ男性の10人のうち3人、女性の10人のうち2人が生涯未婚であると予測されているという。
このような、晩婚化や非婚化など好んで結婚しない人達ばかりではなく、未婚の女性にとって出産は、男性社員とは違って、キャリアが中断されるというデメリットがあるため、女性の就労のあり方が問題となる。
近年、社員ではない派遣労働やパートタイム労働者の採用増など企業の雇用形態が変化して来ており、これら派遣、パートタイマー等の場合は、特に正規社員以上に育児休暇を取得後の職場復帰の難しさがあり、安定した職業に就けない不安を生む。
また、多くの女性が就労しているサービス産業などの職種は、男性が主として就労している第1次、2次産業などに比して低所得であることが多いが、日本では、子供の教育に多くの費用がかかるため所得がないと子供が育てられない。そのため、結婚したくても将来の計画がみえないために結婚を諦めざるをえないケースも増えているようだ。

労働力が高い国は出生率も高いといわれる。これは働きながらでも十分に子供を産める環境や制度があることを示し、育児と勤労を両立できることによって、1人が第1子、第2子と産める経済的なゆとりができる。
核家族化の進んでいる日本にあって、保育所の不足は自身では解決できないし、小児科の医師不足においても同様に解決できない問題である。社会全体が子供を持つことで不安にならずに安心して暮らせる状態を作ることが大切である。
出生率を回復させるためには、公的給付や、子供を持つ世帯に配慮した税制、仕事と家庭を両立させるための出産・育児休暇制度の改善などにより、「子供を持つことで損をしない、子供を産んで良かった」と感じられる状態を作りだすことが少子化対策の最も大切なことであるとは考えるのだが・・・。
少子化の問題には、それを招く要因はいくつもある。、今取り組まなければいけない課題などは、『平成24年版厚生労働白書』(※5参照)の第1部第6章 日本社会の直面する変化や課題と今後の生活保障のあり方で明らかにされているし、参考※8:「内閣府>共生社会政策》少子化対策」の中にある公表資料『平成24年版 子ども・子育て白書』(旧少子化社会白書)の中で、少子化への具体的な対処施策が述べられている。
要は、これが、実現できるかどうかであるが、この様な、少子化の問題や解決すべき課題などはすでに『平成16年版 少子化社会白書』で、明らかにされていることであり、ただ、それが、問題解決には及ばず、むしろ、結果的には、男性に職がなく、女性の能力も十分にはいかされず、若い人は結婚も出産もかなわず、少子化と高齢化は止まらず、人口減少が進むばかり・・・といった状況が続いているのである。
天声人語で、「子をもちたい人を後押しするのは当然としても、その流れを変える特効薬は見当たらない。いまどき“産めよ、殖やせよ”はありえないし、対症療法はあっても追いつかない。問題の根はずっと深いのだろう」と言っているがまさに通りだろう。
今問題となっている、年金問題、医療費問題等も同じだ。
汚い話だが、子供を産んで幸せを感じるにも、つまるところは、「お金のゆとりがあるかないか」・・・にかかわってくることなのだろう。
今、日本はデフレ経済からの脱却、名目3%以上の経済成長の達成などを目標にしたアベノミクスへの期待が高く、円安効果で、株価は急上昇し、輸出関連企業にいい影響が出ているので、このまま狙い通りに経済が上向いてゆけば、ひいては、サラリーマンの雇用や給与アップも改善され、それが、少子化問題をはじめ日本の諸問題の改善にもつながってゆくのだろうが、「早くも息切れを示し始めた」・・・と警告を発するエコノミストも現れ始めた(※9参照)。
もし、失敗すれば、そのつけは・・・、などと考えるとゾッとする。
将来生まれて来る子供達に大きな付けを残さないようぜひ成功してもらいたいものなのだが・・・・。

(画像は、重要政策課題について発言する野田自民党総務会長。参考※2より借用)
※1:朝日新聞デジタル:天声人語
http://www.asahi.com/paper/column.html
※2:野田・自民党総務会長との懇談会開催 - 日本経済団体連合会
http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2013/0411_03.html
※3:世界一を目指していきたい~成長戦略の策定に向けて(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html
※4:“ウーマノミクス(女性経済)”が日本を変える - NHK クローズアップ現代
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_2983.html
※5:総務省統計局・統計データー
http://www.stat.go.jp/data/index.htm
※6:時事ドットコム:【図解・経済】完全失業率と有効求人倍率(最新)
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_jobless-rate
※7:希望子供数とは - 人口統計学辞書 Weblio辞書
http://www.weblio.jp/content/%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E5%AD%90%E4%BE%9B%E6%95%B0
※8:内閣府>共生社会政策》少子化対策
http://www8.cao.go.jp/shoushi/index.html
※9:早くも息切れを示し始めたアベノミクスマジック
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-1f0c.html