ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

天才・宮崎駿と秀才・堀辰雄

2013年08月21日 | 日記

 7月に封切られた宮崎駿監督の「風立ちぬ」、タイトルと看板の絵を見て驚いた。

 風立ちぬ? 堀辰雄の小説がアニメに?

「風立ちぬ」は私が高校生の時読んで感動した小説だが、タイトルを見たとき宮崎駿アニメにそぐわない、と思った。後でゼロ戦の設計者・堀越二郎をモデルにした映画で、堀辰雄の作品からもイメージを得たと知った。

 宮崎氏は堀辰雄の愛読者で「美しい村」「晩夏」が気に入っている、と新聞の文化欄で読んだ。改めて読み直すと宮崎アニメの美しい世界にどんどん入り込む。堀は昭和初期から太平洋戦争の終わる20年までに多くの作品を書いている。信州・軽井沢のサナトリウムを舞台とするものが多く、フランス文学のプルースト、ラディゲ、コクトーなどの文体を取り入れ、ハイカラで知的な小説家だ。軍国主義、戦争の時代に、あのような作品を書き続けられたのはものすごい強い意志だと思う。

 ところで私は「若い頃読んで感動した小説は?」と問われれば、「風立ちぬ」とジイドの「狭き門」をあげることにしている。どちらもロマンティックで、高校生の時に強い影響を受けた。だが、以降、堀辰雄の作品をまともに読んでこなかった。宮崎監督の「風立ちぬ」をきっかけに、この夏、堀辰雄の作品に親しみ、精神を浄化しようと思っている。

 映画のほうはDVDが出てからゆっくりと観よう。 

 絵はサナトリウムと八ヶ岳     8月9日 岩下賢治

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする